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第二階層の終盤。

気づけば、周囲にいる人数はかなり減っていた。


――三十人前後。


ほとんどが英雄コース、もしくは成績上位者。

剣も魔法も、それなり以上に扱える連中ばかりだ。


僕?

僕はね。逃げまわってたら、なんか生き残ったんだよね。


まぁ正面から戦う理由なんてないし。

勝てない相手からは距離を取って、危ない兆候が見えたら、迷わず下がる。


我ながら素晴らしい動きだ。


そんなことを考えてる内に

前方――

先頭集団の動きが、わずかに止まった。


「レインじゃないか!!」


聞き慣れた声が響く。


「そんな後ろにいたのか!

ずっと探してたんだぞ!!」


振り返ったのは、セシリアだった。


「……え」


思わず、声が漏れる。


周囲がざわつく。


「あのセシリア様が……?」

「誰だ、あいつ」

「8組の雑兵じゃなかったか?」


英雄コースの一人が、恐る恐る尋ねる。


「セシリア様……その方とは、どういったご関係で?」


セシリアは、即答した。


「親友だ!!」


「えっ」


今度は完全に声が出た。


「親友……?」

「そんなにすごいやつなのか?」

「でも雑兵だぞ……?」


小さな囁きが連鎖する。


(しれっと雑兵呼びしてんじゃねーよ)


そんな空気の中、セシリアは僕の肩を叩いた。


「レインも先頭に来て、一緒に戦おう!!

お前なら大丈夫だ!!」


「いやー……僕は、そんなに強くないし……」


本音を必死で隠す。


「そんなことはない!!

ここまで来れてるじゃないか!!」


(それは逃げてたからだよ)


(あと先頭で戦えって、

それほぼ“死ね”って意味だからね)


(優秀な君たちが前で戦って、僕は後ろを一生懸命歩く。それでいいじゃないか。僕は、まず戦いたくないし。怖いし。)


心の中でだけ、そう呟く。


少し離れた位置から、二つの視線がこちらを捉えていた。


――剣聖レイン・グランハルト。

――主席候補、ヴァレリア・アストリア。


二人は言葉を交わさず、ただ状況を見ている。


(セシリアが目をつけるほどの男……

やはり、只者ではないか)


その視線の意味に、僕はまだ気づかない。


分かっているのは一つだけ。


(先頭は危険だ)


(でも、目立ちすぎるのも、同じくらい危険だ)


さて。

どうしよう。


ダンジョンは、まだ終わっていない。


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