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秋雨  作者: 桜田環奈
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自惚れ


ギュッと、強く目を瞑って、それから下を俯いた。


髪を撫でるヒラケイの手が止まる。



「先生、何で髪伸ばしてるの?」



「別に、伸ばしてない、切れなかっただけ。」



無愛想に答えると、そっか、と小さく呟いた。


ヒラケイの手が頬に触れ、


頬に触れた指先が唇に触れる。


肩を押す片手の力が強く込められると、


唇を割って、指先が口内へと滑らされた。


濡れた指先は、私の首筋を這い、


そのまま、長く伸ばした毛先を触った。


その瞬間にヒラケイはハッと顔を上げた。



「待って、先生、ごめん。


自惚れだったら、本当にごめん。


…でも、自惚れじゃないよね?」



答える前に、京太が寝返りを打ち、


ソファから勢いよく床へと転がった。


私達はどちらからともなく身体を離し、


それでも眠る、京太にブランケットをかけ、


足早に玄関を後にした。


自惚れなんかじゃない。


あの日、あの公園で、触れられた髪を、


どうしても切る事が出来なかった。






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