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震える指先
待ち合わせは駅の近くのカフェの前で、
いつも京太と出掛ける時にはここで待ち合わせる。
仕事帰りに待ち合わせる時は、
予約してくれたお店で直接会う事が多いけど、
休みの日はこうして駅前で待ち合わせた。
「ごめん、待たせた?」
京太の声で振り返ると、ほぼ同時に、
「はじめまして、弟の…」
名前なんて、聞かなくても分かる。
あの時の胸の奥のザワザワは、
間違いでも、勘違いでもなかった。
マンガなんかじゃよくあるベタなシーン。
驚き過ぎて、ボサッとするあまりに、
手に持っていた鞄なんかを落とすってやつ。
その気持ちが、行動が、痛いほど理解できた。
手土産にと持っていた紙バックが、
指先から滑り落ち、バサっと音を鳴らして、
地面に落ちた。
「あ、ごめんなさっ…」
「え、…先生?」
紙バックを拾おうとした指先が、
寒くもないのに、小さく震えていた。




