24笑顔
ラナの主室ではマールがお茶を入れてくれている。カップからゆるゆると湯気が立ち、香りが広がっていく。
「いい香りね」
「入れ方にコツがあるんですよ、ふふ」
嬉しそうにマールが話す。
「そういえば、正式にニアが私の護になりました!ね、ニア」
「どうぞよろしくお願い致します」
ニアが控えめに答える。いつも余計なことは決して言わない。
「ん?ではイリュー様は、正式に第三王子に就任されたってことですか」
「ううん、もともと一年前に王都から正式に任命はされてたんだけれど、現国王の密命で北国と東国について調べてたから、特にロドルとは接触しないように公には出ないで仕事をしてたみたい。外へ出る仕事はシアが王子の代わりをしてたみたいよ」
「シア様が、王子の代わり?想像できないですね、そんな真面目な仕事もできるんですか」
「側近中の側近!だよ!」
マールのシアへの評価が最初からちっとも変わってなくて笑ってしまった。
「ようやく東国の第三王子はこんな人っていうのが夢見族の中でも認識されるんですね」
「この国の人にとってもね」
「たしかに。今回の件がなければ、この国の人にとってはロドル様が統治者って感じでしたもんね」
「そうね、これから力を試されるって感じかな、イリューも、私も!少しでも夢見の力認めてもらわないとね」
「いつもおそばで応援しています」
マールがいつもの笑顔でラナを見る。
「あ、でもよりおそばにいるのはイリュー様ですかね」
マールが慌てて笑いながら付け足した。
その時、ラナの主室の扉が鳴った。
「ほら、噂をすれば、じゃないですか」
扉が開く。
ラナは満面の笑顔で彼を出迎えた。




