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小話と登場人物紹介

 現在は置いていないweb拍手のお礼です。

 しょうもない会話文です。

ピアノを弾きまくりたい(両思い後)


「一月に一度くらいは、外出せずひきこもってピアノの練習にあてたいです!」

「構いませんが……大丈夫なんですか、それは」

「え? たかが八時間弾くくらいですよ?」

「たかが……なんですかね……?」

「勤務時間もそんなものじゃないですか」

「まあ、そうですね」

「だからべつに普通ですよ、普通」

「あなたのピアノに関しての普通の概念は、大分私と違う気がしますが」

「でも職業にしてるひとだと、コンサート以外の練習も仕事のうちで、十時間とかザラですし」

「ちなみにあなたはどうしていたんです? たしか、夕方からでしたよね」

「ええ、突発がないかぎりは、朝ちょっと遅く起きて、練習して、仕事に行く感じでした。でもたまには一日中弾いていたんですよ」

「まあ、大丈夫なら構いませんが……」

「あ、勿論最後には披露しますよ、聞いてほしいですし」

「それは嬉しいです、あとは二人きりの時に構ってくださいね」

「……わ、わかり、ました」



新年は?(両思い後)


「わたしの世界の新年ですか?」

「ええ、どういうものがあるのか、気になって」

「根本はあまり変わらないですよ。新しい年を祝って、神殿みたいなところにお参りして、ご馳走を食べて……」

「なるほど、たしかに似ていますね」

「まあ、新しい年っていうと、そうなるんじゃないですか? なんとなくおめでたいですし」

「そうですね、なにがめでたいのか、昔はわかりませんでしたが」

「…………今は?」

「今はあなたと一緒に迎えられる年なので、嬉しいですよ」

「……それはよかったです」

「ええ。それと、あなたの世界のご馳走には興味がありますね」

「あー……でもわたし、つくりかたを知らないんですよね。いつも母がつくってたし」

「あまり料理は得意ではないですものね」

「控えめな表現ありがとうございます……着物も着せられて窮屈だったなぁ」

「キモノ?」

「わたしの世界の伝統衣装です。今では不便だからって、日常着るひとは減りましたけど」

「どんなものか想像できないので、見てみたいところですが……」

「流石につくりかたはわからないです、それにあれ、袖が邪魔だから着たままじゃあピアノ弾きづらいですし」

「そうなんですか?」

「ピアノは他の国から入ってきたものなので、わたしたちの国の服とは壮絶に相性が悪くって」

「なるほど、そういうのはあるでしょうね」

「……あ、そうだ、スマホに……」

「あなたの世界の道具?」

「そうです、ええとたしか……あった、これが、着物を着たわたしです」

「…………綺麗ですね」

「え、あ、ありがとうございます……」

「……是非見てみたいですし、こういう模様は見たことがないのでうまくいけば新しい産業にもなりそうですね……そうなると……」

「あー……思考の海に入っちゃった。でも領主の顔と恋人の顔、半々になるとこ、きらいじゃないんだよなぁ」



とある休憩時間(59話後)


『おつかれー……』

『どうしたウェンデル、疲れた顔してるぞ』

『ちょっとね……もーいつになったらくっつくの旦那様とセッカ様』

『それは全員思ってることだぞ』

『賭けに勝ってるの何人だっけ? もっと早いと思ってたのにな……』

『我慢できなくて旦那様はヘタレだと思うって言っちゃった』

『旦那様にか!?』

『いやセッカ様に』

『ああ……で? なんだって?』

『かっこいいと思うって。あの時叫ばなかった私を褒めたい!』

『叫ばなかったのか!?』

『すげぇな! 女同士の恋愛話がかったるいって俺らのところにくるお前にしてはよくやった!』

『でも旦那様も私に、悲鳴がしたら許可を得ず入室してぶん殴っていいとは言ってきたんだよねー』

『なんだそれ夜這いの予告か?』

『いやでも旦那様が手順をひっくり返すとは考えにくいけどなぁ』

『だよねー、絶対気取った告白からだよねー』


「……ウェンデル、真顔で無言で護衛三人がいると、とても恐いと苦情が出ています」

「ええー、でもフリーデ先輩、あれは読唇術の復習兼ねてるから、趣味と実益なんですよー」



「おねえさんたち」(多分まだ両思いじゃないころ)


「あなたが職場のかたを話す時、なんとなく含みがある気がするんですが、気のせいでしょうか」

「ああ、おねえさんたち、ですか?」

「ええ、それです」

「よくわかりますね、わたしはずっと自分の国の言葉で喋っているので、細かな部分は伝わらないと思ってました」

「たまにわからない単語も混じりますが、雰囲気はつかめますよ。これでも食えない連中を相手している領主ですからね」

「仰るとおり、含みっていうかはあります」

「差し支えなければ伺っても?」

「いいですよ。……でも、まだこっちでそういうひと見てないから、ちょっと反応が恐いけど……」

「??」

「ああ、すみません。えーっとですね、職場のおねえさんたちは、中身は女性なんですけど、身体は男性なんです」

「……………………」

「そういうひとたちが営んでいるお店だったんです、あ、いかがわしいところじゃないですよ」

「それを聞いて安心しましたが……珍しいところで働いていたんですね」

「でも、いいところでしたよ。おねえさんたちは優しかったし、化粧もとっても上手だったし。そういう店だから知人は敬遠してましたけど、お給料もよかったです」

「あなたの判断基準はピアノですからね、そういう意味で公平なのは、素晴らしいことだと思いますよ」

「でもピアノをけなされたら、たとえ偉いひとでも全力で逆らいますよ?」

「……喧嘩をする前に私に言ってくださいね」



素足文化(両思い後)


「そういえば、素足の場所が欲しいと言った時、ずいぶん気にしながらでしたが、なにかありました?」

「ああ……そのー……」

「言いにくいことなんですか?」

「まあ……今ならそこまでは。その、もといた世界では、基本土足の民族のほうが多くて」

「そうでしょうね、我々もそうですし」

「で、国によっては、靴を脱ぐ=そーゆーコトをしてもいい、という意味のところがあって……」

「……なるほど。この国もそうだったらどうしようと思ったわけですね」

「そうです、特にそうじゃなかったみたいでほっとしました」

「今ならどちらでも問題ありませんけどね?」

「……そういうのむっつりスケベって言うと思います」



ハロウィンネタ(両思い後)


「トリックオアトリートって知ってますか?」

「いいえ? なにかの呪文ですか?」

「もとの世界の……はじめは宗教的なものだったんですけど、今ではただのお祭りですね」

「お祭り、ですか」

「お菓子をくれなきゃいたずらするぞーって、子供が家々を回るんです」

「それはなかなか面白そうですね」

「はい。ほとんどの家がお菓子を用意しているので、子供は大喜びみたいですよ」

「あなたは回ったことはないんですか?」

「わたしが子供のころは、まだ浸透してなかったんです」

「なるほど、あなたの国では新しい催しだったんですね」

「そもそも死んだひと? に連れて行かれないように、似たような格好をするのが、仮装に変わった……んだったかなぁ……」

「なるほど、ありえる風習ですね」

「まあ、わたしの国では宗教関連というより、変な仮装して練り歩くのが主になってましたけど……」

「変な仮装、ですか」

「物語の登場人物とか、あとは動物に模したりとか……」

「……動物」

「そうです、耳と尻尾をつけてみたり」

「……セッカ」

「はい?」

「作らせたら、つけてくれますか? 耳と尻尾」

「え」

「黒猫が似合いそうですね、それも長い尻尾のほうが」

「あ、あの……」

「駄目ですか?」

「……………………似合わなくても引かないでくださいね」




登場人物紹介/ネタバレあり


たちばな 雪花せっか

 二十代半ば/155cm弱


 ピアノ>越えられない壁>その他。

 音楽に関わること以外にはあまり興味がなく、

 表情にも出ないため普段はなにを考えているかわからない、と言われがち。

 弾く曲のジャンルは問わず、とにかく弾くことが好き。

 天才ではなく、努力型の秀才系。


 家事能力は全般に低く、放っておくと食事を抜いて演奏している。

 どれも得意ではないが、特に料理は大の苦手。

 ピアノ以外に興味がないので、恋人は数人いたが、いずれも破局している。

 一番長続きしたのが本文中に出てきた相手。

 勿論運動も苦手。趣味もピアノ以外に特にない。


 小さいころテレビでピアノ演奏を見て「これがやりたい!」と言ってはじめる。

 中学高校と教師に頼みこみ、放課後のグランドピアノを使わせてもらっていた。

 おかげで学校の怪談になりかけたとかなんとか。

 ただし姉が「バカは許さない」と勉強をさせたので、一応の知識はつけている。

 異世界に飛ばされて「お姉ちゃんの言うとおり勉強しておいてよかった」と思っている。


 イタリア語的発音のほうがなんとかなる、とは、龍也の影響で少し勉強していたから。

 ちなみに歌は音痴ではないが、音程がずれるとものすごく気になるので歌いたがらない。


 最終話の「枳」とは「橘化して枳となる」の意。



クヴァルト

 三十代半ば/175cm程度


 ベルフ領を治める公爵。

 誰に対しても丁寧語を崩さず、温和な表情の紳士。

 ……なのは外側だけで、中味は生い立ちやらなんやらで見事にひねくれている。

 ワーカホリック気味だったが最近緩和されてきている。

 

 わりと小器用でなんでもこなせてしまう。

 身支度も一人でできるのだが、寝起きが超絶に悪いので起こしてもらっている。

 ついでに寝付きも悪い。本人はセッカの寝顔が見られるから問題ないと思っている。


 酒に関しては対外的にはそこまで強くないと言っているが、

 実際はザルに近く、よほど飲まないと酔うこともない。

 が、知られると厄介なので誤魔化している。


 護身術はたしなんでいるが、強いほどではない。

 ただ、セッカとの年齢差を考えて、健康でいるべく最近は色々頑張っているとか。

 姫抱っこで結婚式をしたいとか、わりと考えがベタな傾向にある。


 長らく無趣味だったがセッカにつきあってお菓子づくりをしたところ、

 ハマってしまい、暇を見つけると厨房を借りて菓子をつくっている。

 セッカより上手で彼女は拗ねつつおいしそうに食べるので、誰も止めない。



ジャン

 四十代/175cm程度


 アディの長男で、クヴァルトの補佐。

 あくまで彼個人の補佐なので、領主補佐とは異なる。


 勤務時間内しか働きたがらない。残業も却下、休日は仕事をしない主義。

 仕事中は丁寧語だが、プライベートではかなり雑な口調になる。

 その際はクヴァルトに対してもぞんざいになるが、

 幼なじみということで不問になっている。

 またその時は「クー」と呼んでいる。


 武芸にも長けており、クヴァルトにとって公私共に必須の存在。

 フリーデと休日を合わせてくれたセッカに感謝している。

 妻がセッカ寄りなので最近特にクヴァルトに冷たい。



フリーデ

 四十代/160cm程度


 外から公爵邸に勤めていたが、

 ジャンと結婚し敷地内に住むようになった。

 そのためクヴァルトの事情も知っており、

 身近にひとを置きたがらないクヴァルトの側で働ける、数少ないうちの一人。


 ただし現在はセッカに肩入れしているので、

 クヴァルトへの態度が時々とても冷たい。

 どんどんたくましくなっており、ゆくゆくはメイド頭を継がせたい、

 と義母でもあるアディが考えているらしい。

 子供もいるが給仕係になるべく勉強中の身なので、邸にはいない。



ウェンデル

 三十代↓/150cm程度


 軍人経験もあるメイド。

 セッカから見ると年上に感じられるのだが、実際は大差ない年齢。

 小柄だが態度が大きいためか、小さい印象は受けない。


 本人いわく「軍よりメイドのが面白そう」で軍を辞めてメイドになった。

 もとはシュテッド公爵のもとで働いていたが、

 前公爵の口利きにより、クヴァルトの元へやってきた。

 武芸に秀でており、メイドとしてもごく一般的な水準には達している。

 ただしどうもユルさが抜けないところがある。

 だがそこがセッカには好まれているので、最近はうるさく言われない。

 恋愛ごとには興味がなく、あまり邸の女性とは絡まないが、

 フリーデのことは先輩と呼び尊敬しているらしい。

 クヴァルトの事情は知らないが、察している部分はある。



ディディス

 三十代弱/180cm程度


 いわゆる乙女ゲー王道的イケメン。

 孤児院出身だが、それを引け目には感じていない。

 奨学金で高等教育まで受け、合間に武術の鍛錬にも精を出し、

 しっかり主席で卒業したチート級のデキる男。


 武芸に秀で、頭脳も優れており、眉目秀麗と三拍子整っていて、とてもモテる。

 従って男性からは大変に評判が悪い。

 ……のだが領主補佐としての仕事は完璧にこなすので文句は言えない。

 女性とみれば口説いてかかるため問題児扱いを受けているが、

 刃傷沙汰にまでは発展していないので注意される程度。


 クヴァルトの事情は知らないが、

 恋愛ごとに関しては超能力かと言うほど勘が働くところがあり、

 時々からかい半分でちょっかいを出しては怒られている。

 ちなみに、勝手にヴァルトと呼んでいた。


テオドール(前シュテッド公爵兼領主代理)


 前シュテッド公爵。書類上のクヴァルトの祖父。

 現公爵は彼の長男が継いでいる。

 早い段階で家督を譲っており、長くベルフ領主代理をしていたので、

 領主代理と呼ばれるほうがしっくりくる、とは本人談。

 現在は自称のんきな隠居。


 王都にあるベルフ公爵の邸の手入れは、シュテッド家の給仕係が定期的に通っている。

 あまり王都にきたがらない孫の代わりに、情報を入手して知らせていたりもする。

 なんだかんだで孫に甘いので、隙あらば神殿の弱みを握っておこうと探っているとかいないとか。

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