¥5
翌日。
目を開けて時刻を確認すると既に午前九時だった。
昨日の殴られた痛みは消えずに痣となって残っている。
学校へ向かおうという意思は少なく、布団の上から彼の体を起き上がらせようとしない。
手にしたのは黒い円状の学校で使われる小さな端末で、それを転がしながらうつ伏せに横になっていた。
お金が全ての世界。壊れればいいと願った世界。
瞬間、地震に似ているが少し違う地響きのようなものが優介を起き上がらせた。
頭の中にいくつものクエスチョンマークが浮かび上がる中、地響きによって棚から落ちたものがテレビのリモコンを押して、テレビが点いた。
テレビの画面を見たとき、一瞬にして優介の目は見開かれる。
報道されていたのは衝撃的なニュース。そして、優介の願いを聞き届けたかのような内容だった。
『Time is money institution Main body――Time is money制度の本体の停止』
つまり、それが意味する事はTime is money制度にお金をつぎ込んできた者の全てが水の泡となったと言うことだった。
先日のお金で筋肉と格闘術を手に入れた者も今となってはただの何もできない一高校生と成り果てたのだ。
優介はゆっくりと口元を歪めたが、同時に喪失感に襲われる。
望んでいた事が現実になった。だが、父親が帰って来る事はない。
『どんな世界でも恨むな』
少しだけその言葉を残した意味が分かったような気がした。
すると、優介の中に一つの疑問が浮上する。
(……だったら、さっきの地震は何だったんだ?)
その瞬間もう一度、優介は地震に襲われた。
テレビの電源はプツンと音を立てて切れ、代わりに学校で使われる黒いリング状の端末が光る。
宙に映し出されるのは黒板の内容などではなく、ただの言葉だった。
『我らは人類を害虫と見なす』
表示された言葉に首を傾げる。
(我らって誰だ……?)
外の様子を窺うために窓を開けた。
そこには壊れ行く世界が広がっていた。
ところどころ煙が上がって、爆発音が響くのは毎日見てきた光景。
優介は窓を閉じて、その場に立ち尽くす。
信じられない光景を受け入れるのには時間がかかり、夢ではないのかとも思う。
頬をつねると痛みを感じ、これが現実であると確信した瞬間、優介は学校の制服に着替え始めた。
赤いTシャツの上に学ランを着て、ズボンをはいた。
黒いリング状の端末を右手首につけて、家の鍵を持ち、次地震が起きれば倒壊してしまいそうなぼろいアパートを後にする。
走って学校に行く道中に“それ”に出会わなかったのはまさに幸運だった。
だが、“それ”の傷跡は道路や信号などに深く刻み込まれていた。
(……なにがどうなってるんだ?)
学校に着いた優介が見たのは、明らかに様子のおかしい校舎。
いつも遅刻してきた際には静まり返っているはずなのだが、今日はそこら中から悲鳴や爆発音が鳴り響いている。
息を整えながらその校舎を見つめる優介の中には恐怖の花が根を張ろうとしていた。
あと一歩で校門の中に入る。その一歩が踏み出せない。
ここに来た目的が見えなくなった。
修一たちは関わらないでくれと突き放し、篠沢菜緒にも会わせる顔がない。
黒い手袋のはめていない左手はその銀色が露になっており、優介はそれをじっと見つめる。
「オレは……」
何かを呟こうとしてやめて前を向き直り、足を一歩踏み出して校門に入った。
向かった先はいつも授業を受けていた教室。
だが、校舎の中に入って廊下の惨状を目にした時、優介の心は折れそうになった。
血のにおいと廊下中に散乱した紅い色。
それは吐き気を催すには十分すぎるほどの不快感で、優介はその場に汚物を撒き散らした。
(なんで……こんな……誰が……?)
すると、優介の右側から悲鳴が聞こえた。
膝に手をついた状態で右を向くと、階段がある。そこにも大量の紅い跡は付いていた。
自分の教室に向かう事をやめて、優介は階段を上り始める。
一階から何かが入ってきて襲ってきたのなら、上の階に行くほど生き残るために逃げてきた生徒がいるに違いない。
いや。いてほしかった。何故なら、今日一回も生きている人に会っていないから。
血で滑らないようにゆっくりと階段を上がっていく優介が向かうのは最上階にある場所。
そこが希望で、彼女がそこにいるとも限らない。だが、そこにいなければ彼女は既に死んでいるようなそんな気はしていた。
無事に最上階に着いた優介は図書室に向かう前に廊下で倒れている男には見覚えがあった。
優介がリーダーとなった不良グループに入っていた者の一人だ。
「おい! どうした!? 何があった!?」
近寄ってその体を少しだけ揺すると男は目をゆっくりと開ける。
「……ア、アニキ……」
辛うじて口を開くことができる状態。
最期の言葉となるかもしれないのに男が発したのは優介を気遣うものだった。
「逃げて……奥には……」
「修一は!? 他の奴は!?」
「奥に……」
廊下の先を指差すと男は眼を閉じて呼吸をやめた。
(……こんなに……人が死んでいいはずがねえだろ……)
男は奥に何かがあると言っていた。
ナニカ。それはこの状況の元凶だろう。
左手を強く握り締めながら、優介は廊下を進む。
そして、角を曲がった図書室の直前にあるものが目に入る。
それはこの学校のセキュリティーロボット。ドラム缶のような形をした“それ”は大量の血を付着させて、優介の様子を窺うように動かない。
するとその瞬間、図書室の入り口から男子生徒が飛び出し、血に染まったドラム缶を蹴り倒した。
そして、男は優介の方を振り向いて、声を張り上げた。
「アニキ!」
「修一! 生きてたのか!」
「俺が死ぬわけないじゃないすか!」
安心したような笑顔で近寄ってくる彼の姿に優介も安堵の息を吐く。
だが、それも束の間、修一に連れられて図書室に入った優介は唖然とした。
図書室にいたのは三十人程度の生徒たちだけ。
「こんだけ……? こんだけしか生き残ってねえのか……?」
修一は首を縦に振る。
「多分、ここに来れなかった奴らは全員……」
それ以上は告げなくともここに来るまでの惨状を見れば分かる事だった。
「誰がこんな事しやがった?」
「……機械が暴走したんすよ……」
「……機械? じゃあ、さっきお前が蹴っ飛ばしたあのドラム缶が全部やったってのか?」
修一は黙って頷き、優介は目を見開いたまま、無意識のうちに右手で左腕を掴む。
(機械が……暴走……)
嫌な記憶が思い出され、体の奥に刻み込まれた恐怖も蘇る。
「アニキ……?」
「いやなんでもない……」
心配そうな表情で自分の顔を覗き見る修一にそう言うと、彼は何か思い出したように口を開く。
「彼女ならちゃんとここに来てるっすよ」
修一の指差す方向には不安そうに両手を胸の前で握り締めながら、優介の方を見る彼女の姿があった。
「も、もうダメだ……俺たちも死ぬんだ……」
優介が彼女の元へと向かおうとした時、図書室にいた男子生徒の一人がそう告げる。
今の状況下での男の言葉はただ、生徒たちの不安を掻き立てる要素にしかならず、男はそれに気づかない。
「ここにいたってただ殺されるだけ……なら外に出たほうがいいじゃねえか!?」
「……そ、そうだ……」
「そうよね……」
「校舎の外の方が安全かも……」
男の言葉を肯定するような意見が飛び交い始める。
「ナニ言ってんだ、てめえら! ここの外にゃあドラム缶がまだいんだぞ!」
修一はそんな生徒たちの行動を止めようとするが、そんな言葉よりも生徒たちのこの状況に対する不安の方が強かった。
図書室の閉じられた入り口の方に集まり始める三十人の内のほとんどの生徒たち。
それを必死に止めようとする修一だったが、その努力も虚しく図書室のドアが開けられてほとんどの生徒たちが廊下に出てしまった。
しかし、外に出ようと言う声を発した男子生徒は図書室に残ったままで、その口を大きく歪めて見せた。
「まったく莫迦だよなぁ……」
「おい……てめえ……」
男の目の前で驚きと怒りの入り混じった表情をする修一。
次の瞬間、修一の表情は何かに苦しむように歪み、自らの腹を見る。
「う、うそだろ……? おい……」
修一の腹には男の右腕が突き刺さっていた。
大量の血を口から吐き出しながら、倒れこみそうになる。
そんな右手の貫いた彼の背中を見ていた優介はただ、目を大きく見開いた。
そして、図書室の外の廊下から、外に出た生徒たちの悲鳴とその体を引き千切って血が飛び出すような音が鳴り響いた。
篠沢菜緒は自らの耳を塞いで、その場にうずくまる。
だが、修一はすぐにでも意識が飛びそうな状況に自分が置かれているのにもかかわらず、冷静だった。
「ア……ニギ……」
最期に振り絞るような声を上げる修一は後ろにいる優介の方に目を向けながら、男の右手を両手で掴んだ。
バランスを崩して倒れようとする彼はその最中も優介から目を離すことなく、何かを必死に伝えようとしていた。
立ち尽くしていた優介が彼の考えている事を理解した時、既に足は動き出し、左手を握り締めながら振り上げていた。
そんな優介の行動には気づかない男は目の前の修一に向けて、言葉を発する。
「早く死ねよ。クズ」
そう言われた本人である修一は目の前の男を睨みつけながら笑みを浮かべてみせた。
男の右手は修一に握られたままで、修一は地面に倒れようとしている。
男の目にはその修一の影から急に優介が現れる光景が映った。
銀色に輝く左拳を思いっきり、男の顔に向けて振るう。男がそれを防ごうとする頃には優介の拳は顔面に直撃していた。
そう。修一の伝えようとしていた事は、自らの倒れゆく影からの奇襲。
勢い良く振るわれた鉄の塊に顔面を殴られたといっても過言ではなく、脳震盪は確実。
そのまま修一と同じように地面に倒れるかに思われた男だったが、倒れたのは修一だけで、男は眉間にしわを寄せながら突っ立っていた。
「いってえなぁ」
そして、優介によって殴られた肌から覗かせていたのは優介の左腕と同じ銀色をしていた。
これで生徒たちを外に誘導した事も修一の腹を右手で貫いた事も納得がいく。
「お前は……何なんだ……?」
「俺か……よくよく考えてみると、自分の事なんて一つも分からないな」
考え始める肌色であるはずの肌から銀色がむき出しになっている男。
考えられると言うことは男にはちゃんとした知能があった。
つまり、ただの機械人形ではない。
表情も人間のように豊かで、優介が殴ったときも怒りを向けていた。
「そうだな。こうしよう」
悪魔のような笑みを浮かべる男。
「俺はお前に絶望を与える為に此処にいる。そう言うことでどうだろうか?」
「……はぁ……?」
男の言っていることが分からない。
居心地の良い場所になりつつあった学校を崩壊させ、修一をただの血液を垂れ流す死体にした。
右手で頭を抱え、呼吸が段々と荒くなる。
状況がどうしても呑み込めない。
学校のセキュリティーロボットが暴走し、全校生徒の殆どを殺し、男は人間の姿をした機械。
世界は本当に壊れてしまった。
「……ふざけんなよ……」
右手を頭から離して、目の前の男を睨む。
「てめえ……何様のつもりだよ! 人に絶望を与えるって? ざけんじゃねえ! 俺らは――」
「――思い上がるのも大概にしろ。お前らはTime is money制度によって作り上げられた世界最大のコンピュータにより排除すべき対象と導き出された。だから、我々は人類を滅ぼす。そして、抵抗なんてできないほどの絶望を与える」
男の口調が淡々とした無感情のものに変わる。それはまるで全ての機械の総意であるかのように。
「そう。例えばお前の目の前でうずくまってる女を殺すとかな」
ビクッと体を震わせる彼女を優介が後ろを振り返って見ると、男は全力疾走して優介の横を通り過ぎた。
「く、くるな……くるなぁぁあああああ――――」
図書室に残っていた生徒の一人が修一と同様に男によって腹を腕が貫き、絶命する。
「やめろ……」
次々と図書室に残った生徒が首をもげられ、頭を潰され、それぞれの方法で殺されていくのを男の動きが速過ぎて阻止する事もできない。
そして、血に染まった図書室に残されたのは篠沢菜緒と浅葉優介のみとなった。
「この光景こそ絶望だ」
それはまさしく絶望の光景だった。
血の飛び散った世界。だが、そこにもまだ希望はあった。
彼女が生きている。
「俺が時間稼ぐから、その間に逃げて」
彼女の耳元でそう囁くと、優介は彼女に背を向ける。
「さて、どうやって殺すかな」
彼女に近づこうとする男の前に立ちはだかると、男は笑みを浮かべる。
「お前の目の前でゆっくりと死に近づけてやろうか?」
「やらせるかよ」
「止められるとでも思ってるのか?」
普通にやり合っても止められるわけがない。だから、頭を使うしかない。
しかし、男は優介に考える暇など与えなかった。
男の右手が優介の首元に伸びて、すぐには殺さない程度の力で掴んだ。
「カッ……ハッ……」
呼吸する事を、生きる事を阻害するその手は段々と力を増していく。
「人間は脆い生き物だ。力強く握っただけで死ぬ。それなのに何故、自分たちが全ての始まりだと、全ての上に立っていると思っている? 森林を壊し、オゾン層を破壊し、月を黒く染め、食物が足りなくなるまで繁殖する。破滅の道に自ら近づき、それに抵抗しようとする。同じ事を繰り返すばかりだ」
優介は最後の力を振り絞って左手で男の右手を掴んで抵抗する。
「科学力を自分たちの力だと過信しすぎたんだ」
男の言うとおりだった。
彼女は彼の後方で顔を上げて、首を絞められながら体を持ち上げられる背中を見る。
「篠……ざ……早……逃げ……」
「この世界のどこにも、逃げる場所なんてない。終わりだ」
(……終わり……? 終わる、のか……?)
薄れていく意識。それでも尚、生きる事に執着したかった。
「やめてぇえええ!」
彼女がそう叫び、男の手が優介の首を握りつぶそうと力を入れようとした時、図書室の窓の外が一瞬だけ光った。
図書室の時間が止まってしまったように男も優介も篠沢も静止し、次の瞬間、男の手から優介の首が離れる。
地面に倒れた優介は咳をするとともに、自らの体にすぐに違和感を覚えた。
(……左手が……動かない?)
同様に男も動かない。つまり、さっきの光は機械を故障させるか、一時停止させるもの。
激しく咳き込みながら、考えたのは固まっている男からどうにかして離れなければならないということ。
だが、それを実行に移す前に優介の前に目の周りを赤くした彼女が現れる。
「生き……てる……?」
涙を頬に垂らすその顔は恐怖から解放された安心したような表情で、地面に座った状態の優介に抱きついた。
さっきの男の腕とは違って人の体温が感じられ、それが感じられる自分も彼女も生きていると確信する。
涙が出そうになるのを抑えていると、彼女は鼻をすすりながら口を開く。
「わたし……前に浅葉くんのお父さんのこと羨ましいって言ったの……覚えてる……?」
「うん……」
「わたしのお父さん。お金のことしか考えてないの……だから、わたしの為にそんなことしてくれない」
彼女は優介に抱きつくのをやめて、彼の制服から顔を出した銀色の左手を見る。
それ以上、自分の父親の事については話そうとはしなかった。
「これから……どうしよう……?」
生き残ったが、周りの状況は悲惨なもので多分、この学校だけじゃなく、他のところもこんな事になっているはずだった。
「分からない……けど、こんな状況でも生きてる……生きてるんだ……」
確かな生の実感がここにある。
「一緒に生きよう」
そう言って右手で彼女の手を握った。
対して彼女は涙を浮かべながらも笑顔でそれに頷いて、口を開こうとする。
だが、その瞬間、優介は確かにその声を聞いた。
『絶望を』
後ろを振り向く優介だったが、そこには動きを停止させた男の姿しかなく、優介もすぐに彼女の方を向く。
瞬間、動かなかった優介の左手が優介の意思を介さずに勝手に動き出すと、彼女に逃げる暇も与えることなく、機械の左手は彼女の首を掴み取った。
「どう……して……?」
衝撃を受けている彼女の表情に優介も意味が分からなかった。
「ち、違う……! オレじゃない!」
必死に左手が勝手に動いた事を説明しようとするが、言葉がうまくつながらない。
勝手に左手が動いた。つまりは、自分の左腕が暴走していると言うこと。
さらに、その左腕は段々と彼女の首を圧迫する力を強くしていく。
「クソ! どうなってんだよ! 放せ! 放せよ!」
必死に自らの左手を右手で殴りつけたり、指を緩めようとしたりするが、機械の力に人間が敵うはずも無かった。
「浅葉……くん……わたし……」
彼女の苦しむ表情が目に溜まった涙のせいで見えづらくなる。
「浅葉くんのこと……好きだ……た……」
その言葉を聞いた優介はなんとしてでも彼女を助けようと自らの左腕を思いっきり、何度も殴って壊そうと試みる。
「けど……浅葉くん……わたしのこと……嫌いに……なって……? そうすれば……苦しまずに――――」
何かが壊れる音がした。
いや、それは彼女の首が地面に落ちた音か残った胴体が血を噴出す音だったのかもしれない。
優介の左手は彼女を殺した。
「あ……ああああ……」
血の雨が彼の体に降り注ぐ。
『どんな世界でも恨むな』
父親の言葉を受け入れる事などできない。
この世界を恨むしかなかった。
――人類が進化を追い求めるだけ、世界は終わりに近づいていたのかもしれない。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ――――……」
そう感じ始めたのは何もかもが染まってしまった後、鉄の臭いのする場所でただ一人。
哭き叫んだ。
◇
同日。
暗い部屋の中で何台ものパソコンを前にカタカタとキーボードを鳴らしながら、画面を見つめる女が一人。
「危ない危ない。ホント対策してて良かったー。まさかEMPまで使うなんて、政府もぼくのゆーこと信用して準備してたってことかにゃー?」
笑みを浮かべてみせる女はキーボードを打つ手を止めない。
そして、彼女はパソコンの画面に映るメールボックスを開いた。
「まあ、どちらにしてもぼくの有用性には気づいたみたいだねー。ホント焦らしてくれちゃってー
でも――――」
彼女はマウスを動かして、新着メールを開いて内容を確認することなく削除した。
「――もう遅いよ。一つの時代は終わりを向かえ、人類はノアの箱舟に乗る事はできなかった」
何台ものパソコンの内の一つの画面が黒く染まる。もう一つ、もう一つと次々に暗くなっていき、気づけば彼女の目の前のパソコンの画面だけが光を発していた。
「そして、人類は絶望を知り、光を失い――――
――――光を求めて絶望から這い上がる」
二十一世紀。人類が直面した科学の叛乱は世界の人口の約半分を失う結果となった。
日本も人口の三分の二の命が奪われた。
狙われたのは殆どが都会で、高層ビルの建っていない田舎などで襲われたところは少なかった。
死体がそのままの状態の都会には烏が横行し、疫病を流行らせるという二次災害も生む結果となる。
崩壊した都会には人間を殺すだけの存在となった機械が蠢き、人類は絶望を味わった。
だが、それでも人類は懸命に抗って生き続けていた。




