策略家肉食系女子と無口おバカ男子 :文
策略家肉食系女子と無口おバカ男子の恋。
策略家肉食系女子は、見た目は爽やか勤勉女子。中身は罠を幾つにも張り、陥れて頂く女子。獲物は取るまで逃さない。お前は何処かのハンターか。
そんな肉食系女子がなんの間違いか、おバカ男子に恋をする。
無口おバカ男子は、見た目は寡黙でスポーツマンな男子。中身はよく考えず行動する、からだを動かすのが好きなただのおバカ。悩んだらとりあえず動いてみる。ただの脳筋である。
出会いは、少しの偶然だった。
気まぐれに朝早く肉食系女子が登校すると、広いグラウンドに、ポツリと一つの影が落ちていた。
彼女が近づいてみて見れば、そこにはそう、静かに淡々と体を動かし、キラリと光る汗を流すおバカ男子の姿があった(乙女フィルター装着済み)。
肉食系女子のハートは盛大に撃ちぬかれました。バッキューーーーーン
それからと言うもの彼女は、有無を言わせず、彼を捕獲するために周りに協力をお願いする。上下左右全てに罠を仕掛け、自らも使いおバカ男子のハートを取ろうと奮闘したのである。
「◯さん! これ、どうぞ。家で作ってみたよ!(どうだ、手作りスイーツの威力は!?)」
「(あ、オレの好きな甘いモンだ。うわあ、〇〇さんっていいひとだな)……ん、ありがと」
「…………い、いいえ。部活、頑張ってね(ああああ、反応がよくわからない! くそ、そんなところも可愛いんだよ!)」
でもおバカ男子は鈍感なので、なかなか肉食系女子の好意に気が付かない。
そんなある日。
階段を肉食系女子が降りていると、おバカ男子が下の方から段を上がってきた。
思いもよらない鉢合わせに動揺した彼女は、ズルっと階段から足を滑らせてしまう。
下の方にいたおバカ男子は落ちてくる肉食系女子に驚き、守ろうと手を伸ばす。
そのまま二人は下まで落ちてしまった。
はっと気が付けば、二人の唇はひたりと合わせられていた。
そのまま数秒間固まり、状況を理解した肉食系女子はおバカ男子の上から飛び退く。
「うあ、え、ご、ごめん!」
「…………あ、いや」
「助けてくれて、ありがと! じゃっ!」
「……ちょ、」
ダダダダダダ…………(走り去る音)
恥ずかしさにお礼もそこそこに、肉食系女子は逃げ出す。
未だ理解が追いついていなかったおバカ男子は、駆けて行く音が聞こえた時に、やっと状況を理解する。
カァァと染まる頬。仲良くしていた人の初めての唇の感触は――――
――――――――とても、柔らかかった。
この事件により、彼の方も肉食系女子への恋心が芽生える。
やっとこさ芽生えた恋心と、彼女の執念により、二人の距離はぐんと近付く。
クラスメイトから、知人に。
知人から、友人に。
そして、友人から――――――――――――――――
「ずっと前から、大好きだよ。…………付き合って、くれませんか?」
――――――――恋人に。
見事おバカ男子の心を掴んだ彼女は、おバカ男子の本性を知る。
だがしかし、そんなところも可愛い! と肉食系女子は関係ないとますます彼への愛を深まらせた。
おバカ男子も、策略家な彼女のことをおバカなりに理解し、包むように彼女の事を愛した。
そんなこんなで、二人はラッブラブに過ごしましたとさ。