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Laughrain Circus  作者: 鬱乃みや


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8/8

支配

「ちょっとまってよ」

クラリスが笑う。いつもの調子に戻ったみたいに。でも、ほんの少しだけ声が硬い。

「勝手に決めることないんじゃない?」

「それ、クラリスが見つけたんだからな」

2人はわざとらしく肩をすくめる。その奥にわずかな苛立ちが滲む。

「所有権の主張か?」

ノクスの声が落ちる。静かで、冷酷。

「違うよ~」

クラリスがくすくすと笑う。

「ただの順番。先に見つけたのはアタシってだけ」

その言い方は、まるで物でも扱うみたいだった。

「…ならいい」

あっさりと返される。迷いもなく。

「最終的な所有は私にある」

絶対的な前提。覆せない何か。クラリスが一瞬だけ黙る。笑顔のまま。

「…チッ」

静かな空間に舌打ちが響く。ヴェラだった。

「だから嫌いなんだよ」

敵意も隠さずに吐き捨てる。

「全部自分のものだと思ってやがる」

鋭い視線が向けられる。けれど、ノクスは気にしない。

「事実だからな」

淡々と。否定の余地すら与えない。その視線が再びこちらへ向く。

「セラ。こちらへ」

命令だった。拒否もできない。足が勝手に動く。止めようとしても止められない。

「…触るなっつってんだろ」

ヴェラの声が割り込む。明確な警戒。

「壊れる前に終われよ」

忠告だった。怒りではない、本気の忠告。

「壊れる程度なら、価値はない」

ノクスは即答する。価値。それで測られている。存在として。

「…安心しろ。別に壊す気はない」

優しさのような響き。でも、中身は空だった。

一歩近づく。距離がゼロになる。

「完成させるだけだ」

次の瞬間、ほんのわずかに指先が触れる。それだけで、世界が歪む。音が消える。視界が揺れる。内側に何かが流れ込む。強制的に。歓喜、怒り、悲しみ、恐怖、名前のつかない何か。全部が一気に混ざる。それでも…壊れない。

「……やはり」

ノクスの声に、わずかに満足感が混ざる。

「適応するか」

その瞬間、全てを見透かされた気がした。

「これは使える。今日から君は、私のものだ」

抗えない声で言い渡される。はっきりと。

世界がそれを肯定するように静まり返る。何も言えない。何もできない。

逆らえないものに触れてしまったと、遅れて理解した。

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