乙女ゲーのヒロインの覚悟を知りました。
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「お、お兄ちゃんと結婚って、君は何を言ってるんだ?正気か?大丈夫か?」
混乱した不知火先輩が直球すぎる言葉で突っ込んできた。
まぁ、わかるけどね。
「あの。うちの家、再婚なんです。だからお兄ちゃんとは血が繋がってないので、結婚できるそうです。民法上で血縁関係のない連れ子同士の結婚は問題ないと認められていますから」
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・しばしの沈黙ののち、聞いたら不味い事を聞いてしまったような、納得したような微妙な雰囲気が男子3人の中で生まれる。
いや、気にするような事でもないと思うのだけれど?
「というわけで、お兄ちゃんも私にとっては、法律的にも倫理的にも異性ってことになるってことです。勿論、私の私情としても・・・・・です。」
その言葉で隆盛の顔色が変わった。
「要するに、お前は今、兄貴のことを好きってことだな?」
私は軽く頷いて「うん。でも決定的じゃないけどね。”ああ、この人カッコいいな。好きかも”って感じなの。」と、答えた。
隆盛は、私をじろっと見ながら「じゃぁ、俺たちと同じ立場ってことだな?」って言ってきた。凄い自信だね。
カッコいいけど・・・・。
「うん。そうかな・・・・・。でも、正直、皆、それぞれ違う方向でイケメンだから、今すぐ決めろって言われて、くじを引くような感覚で好きな人を決めるようなことはしたくないの。
・・・・・私って優柔不断でいい加減かな?」
その言葉を聞いて、今度は不知火先輩が私に詰め寄る。
「そ、そんなことはないよっ!!むしろ、僕にとっては戦うチャンスが残されているから、ラッキーだ。
僕のことをもっと明に知ってほしい。
そうすれば、明も僕が君に相応しい男だってわかってくれるはずだからっ!!」
やだ、どうしよう。滅茶苦茶カッコいいっ!!
中性的な美しさで男女を魅了してきた不知火先輩だけど、今の・・・・すっごく男らしいっ!!
そうだよね。レストランの時でも隆盛に私がいじめられていると勘違いして助けに来てくれた時でも、不知火先輩はすっごくカッコいい男子だった・・・・。
私が思わず不知火先輩に見とれていると隆盛が割って入ってきた。
「先輩。悪いですけどね。俺だって同じ気持ちですからね。男らしく正々堂々、明と接して、どちらが明に相応しいか決めてもらいましょうよ。」
不知火先輩も対抗して「でも、僕の方が有利かな。同じ部活だからね。」と、ニヤリと笑って挑発し返す。足震えてるけど、カッコいいっ!!
最後に私に初が言った。
「わ、私も負けないんだからねっ!!明ちゃんっ!!」
・・・・・なんで、この状況で私に向かって言うの?
ああ、他の男子に面と向かって言うのは、怖いってことね。
仕方ないよね。一番、体小っちゃいし・・・・。
とにもかくにも・・・・・
そんなわけで、なんか乙女ゲームのヒロインみたいな立場に立ってしまった私でした。
「罪な女じゃのう・・・・まぁ、お前に罪はないのじゃが・・・・
誠実さは時として裏目に出る。
じゃが、よく覚えておけよ?お前は少なくとも、一人を選び、三人を切ることになることをな・・・・・」
き、切るって・・・・そんな、お姉様。
「・・・・・・・・・・・・・」
お姉様はしばらく腕組して黙って目をつむっていたけど、やがて眼を開けて私に「ええか、よく聞けよ。明。」と私に言った。
「そのぐらいの覚悟をしておけ。お前は一人と恋を成就させるだけじゃが、他の3人は失恋することになるのじゃからな。」
・・・・・っ!!
・・・・・・・・はい。
私は、お姉様の言葉を魂に刻む。
だからこそ、誠実に私は4人を選ばないと・・・・・・。
ああ、そっかぁ・・・・乙女ゲーのヒロインってこんな覚悟が要るのね・・・・
逆ハーレムって羨ましいって思ってちゃ駄目ね・・・・・
昼休みが終わると、私と隆盛は同じ教室に戻る。
私を同じクラスの隆盛は不知火先輩に向けてガッツポーズをとる。不知火先輩はムッとした顔をして「放課後は僕のものだから‥。」って、捨て台詞を残して去っていった。その後ろ姿にメロイックサインをする隆盛ってやっぱり、子供っぽくてバカで・・・・可愛いよね。
「不知火先輩は、確かに美男子だけどさ。俺だって結構イケメンだろ?
俺、負けねぇから。
それにさ、最初にお前の変化を夢で悟った俺とお前って運命的って思わねぇか?」
・・・そうなんだよね。
隆盛って、私が女の子になることを予知夢で見てるのよね。確かに運命的なものを感じるけど・・・・
そもそも何で隆盛ってそんな予知夢を見たのかな。
「妾が見せたからじゃ。」
・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・はい?
「いや、その方が面白いかなと思って・・・・今は反省しておるぞ。
そんな涙目で妾を見るでない。
そもそもな・・・・お前を女体化せたのは、お前を喜ばせるための行為ではなくて、罰じゃったんじゃ。
それがまさか、こんなに喜ばれて・・・・・これではまるでご褒美じゃ。しかも妾の社をお前の親が建てると言ったのを邪魔されるとは思わなんだ。
完全に誤算じゃった。
妾、一人が被害者な気がする・・・・・・。」
あ、お姉様。凹んじゃった。
うーん。でも・・・・
それって、隆盛は神様のいたずらの運命に翻弄されているだけで、本当の意味で私のこと好きなのかなぁ・・・・
「それに、夢の中のお前のオッパイのデカさと言ったら・・・・。あの感触は生涯忘れんっ!!」
・・・・こ、このバカ・・・・。
「要するに色ボケってこと?私よりも胸の大きい女子なんか学校にいくらでもいるじゃない。
そんな理由なんだったら、その子に手を出したら?」
私が軽蔑したように言うと初も「そうだよっ!女の子の魅力は胸だけじゃないんだからねっ!!」なんてフォローを入れてくれた。
まぁ、初の場合、切実な問題かもね。
最終的にはホルモン入れたりするのかしら?
私と付き合うことになっても・・・・・・・?
うーん。可愛いから見てみたい気もするし、彼氏にオッパイがある状況って想像できない。
なんてことを真剣に悩んでいたら、隆盛が
「お前の人間的な魅力は一杯あるぞ!!そうじゃなかったら、お前を親友として特別扱いしたりしなかった。
お前が自分の魅力に気が付いていないなら、それを俺がこれから教えてやるさっ!!」
隆盛は清々しい笑顔を見せて私の頭にポンッと手を載せると、先に教室に入ってしまった。
もうっ!!なによそれ、もう自分の彼女気取りじゃないのっ!!
でも、そうだよね。
隆盛って私が男の子の頃から、クラスの男子に自分のことを呼び捨てになんか絶対にさせないくらい強面のくせに私を対等に扱ってくれたのよね。
隆盛なんて、名前で呼んでいいの私だけだし・・・・・・
そっか、ずっと前から。私って隆盛にとっては特別な存在だったのね・・・・・。
女の子になる前から、私のことを一番わかっててくれたのは隆盛なんだ。
今更ながら、そんな当たり前のことに気が付いた私の耳に初が両手を胸の前でグーにして「うう~っ!」って唸っている声が聞こえてきた。
そして、教室に戻る前に私にもう一度言うのだった。
「明ちゃん。私、負けないんだからねっ!」
そういうとパタパタ音を立てて隣の教室へ戻っていった。
なんだろう。女の子になったのに、可愛さにおいて初に勝てる気がしない。
小っちゃいからかな。あの天性のベビーフェイスにあの小っちゃさは反則よね。そして仕草まで一々可愛い。
本当に抱きしめてナデナデしたいくらい可愛い子ね・・・・。
そうして、放課後が来た。
隆盛は美術室までついてきてから、美術室の前の廊下で不知火先輩と目が合うと「・・・・うす!」と、小さく挨拶してから、空手部の部活に向かうのだった。
恋敵でも年上に対する礼儀作法が身についているのって、ポイント高いよね。
礼儀のなってない乱暴な男って、女の子は大嫌いだもん。
でも、不知火先輩は去り行く隆盛の背中を見ながら、私に言った。
「・・・・彼、空手部のエースなんだろ?
気持ちはわかるけど、部活前にわざわざ寄り道するなんて・・・・・。
これはやりすぎだよね。君からちゃんと言った方がいいよ。」
不知火先輩はあくまで年上として苦言を言うのだった。
まぁ、理性的な意見だけど、野性的な直感で動く隆盛とは、考え方に温度差があるようなきがするなぁ・・・・・。
不知火先輩はいつものように美術室のカギを開けると、絵の準備をする。
キャンバスに油と絵具とパレットを用意する。
キャンバスには、今まで描いていた絵とは違う、デッサンが描かれていた。
あれ?それって、先日、私をデッサンしたときの絵?
「うん・・・・・君をね・・・・。僕の君を完成させたいんだ・・・・・。」
不知火先輩は、そんな素敵なことを言ってくれた。
そして、センパイは、油で汚れないように腕まくりしたかと思うと、シャツの前をはだけさせるのだったっ!!!
ちょ・・・・・
ちょっ!!
ちょっと、まってっ~~~~~~!!
そ、そんなエロい格好して、絵を描く必要ないじゃないっ!!
なんで?どうして?
腕まくりだけならわかるけど、エプロンもしないで油絵なんか書いたら、色がついて不知火先輩が彩られちゃうじゃないっ!!
ど、どどど、どうしようお姉様っ!!
わ、私、前回の腕まくりと胸元や首筋の血管と筋肉だけで死んじゃいそうだったのにっ!!
こんなエッチなの見せられたら、本当にドキドキしすぎて死んじゃうよっ!
「問題ない。続けよっ!!」
お姉様っ!!よだれっ!!よだれっ!!
「ええいっ!!明なんでスマホで不知火の痴態を動画撮影せぬっ!!?
はようせいっ!!家に帰ってから一緒のおかずにしようっ!!」
いやあああああー------っ!!
お姉様っ!!正気に戻って!!
お姉様っ!!
そんな私の胸の高鳴りとお姉様とのコントを見透かしたかのように不知火先輩は、すかした笑みを見せて言う
「明。前の時、ずっとそういう目で僕のことを見てたよね。」
ああっ!!か、確信犯だっ!!これっ!!
ワザとやってる!!
ワザと私に肌を見せて誘惑してるんだわっ!!
不知火先輩。なんて恐ろしい子・・・・・・
「・・・・・明よ。余計なお世話かもしれんが、確信犯ってそういう意味じゃないらしいぞ。」
お姉様、うっさい!!
こんなの百姓読みと一緒で、今はこっちの勝ちなのっ!!
っていうか、どうしよう!?
私、このままだと不知火先輩の罠にはまっちゃうっ!!
「他の女の子と同じで、あの日、君は僕をそういう目で見ていた・・・・・。
でもね。他の女の子の目線は不快だけど、僕は君に見られたい。
君に見つめられると、僕の胸は締め付けられるように高鳴るんだ。
・・・・・これって、恋だと気が付いたんだ。
だから、僕はこれからもこうするよ?」
不知火先輩は、勝ち誇ったように宣言する。
「だから言ったろう?部活が一緒の僕の方が有利だってね・・・・・。」
その美貌から怖いほどの自信に満ちた残酷な笑みが生まれる。
綺麗で、優しくて、・・・・でも暴力的な笑みだった。
不知火先輩は、色気の暴力で私の心を支配しようとしている・・・・・。
でもね・・・・
でもね、先輩っ!!
これからもそうするって、この先、冬になってもそんな格好していたら風邪ひいちゃうんだからっ!!
「お前、つくづくいい性格しとるよな・・・・・。
神罰を与えた相手が明でよかったわ。退屈せぬわ・・・・本当。」
現在、既になろうでの連載が終了した拙作「俺の赤ちゃん、産んでくれ!!」のボイスドラマを自費制作中です。
本作品と同じくTSラブコメです。
2022年春ごろに公開予定していますので、ご期待ください。
あと、女性声優は既に決定していますが、男性声優はもう少しTwitter上で募集期間を延ばしていますので、良かったら情報拡散願います!!よろしくお願いします!!