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賢者の胆石  作者: 佐藤謙羊
第2章
89/119

28 昇進試験1

 ……バッカッカッカッ! さぁさぁ、ついにやってまいりましたカァ!

 “聖鈴の”シトロンベル・イーンシーニアスさんの『昇進試験』が、間もなく始まろうとしております!


 普段は賢者(フィロソファー)候補生のクエストしか、中継されることはありませんガァ、今回は特別っ!

 従者(サーバトラー)候補生ごときのクエストを中継したところで、何の意味もないのですガァ……!


 彼女は我が学園の次期、絶対聖母アブソリュート・マドンナと呼ばれる、超絶美少女!

 こんな美少女があられもない痴態をさらし、ヤラれる様をみんなで観ないわけにはいきません!


 我が『レッドトップス学園新聞部』では、その決定的瞬間を集めた写真集を発売予定です!

 ああ、そんな生き恥のようなモノが出回ってしまったら、彼女は絶対聖母アブソリュート・マドンナになれなくなってしまうではありませんカァ~!


 しかもこの、天地の塔の前に作られた特設ステージでは、多くのスケベどもが詰めかけております!

 ナマで観ようというわけですカァ~! やっぱりナマがいちばんですカァ~!


 しかし当の彼女は、そんなつもりは全く無いようです!

 かつてない難易度の『昇進試験』だというのに、棄権することなく、無謀にも挑もうというのですカァら!


 バッカですカァ!? 女ってのは顔がいいほど頭がカラッポってのは、本当だってんですカァ!?


 しかも、しかもですよ、彼女は自分の身体を使って、犠牲者を集めようとしていたそうですよ!

 パンチラのひとつもくれてやって、ファンクラブの男どもを悩殺しようとしていたそうですよ!


 でも、ダメでしたカァ~!

 誰も引っかからなかったようで、彼女が引きつれてるのは、たったの4匹だけですカァ~!


 その5匹のバッカどもが、いまステージの横を通って、試験会場である天地の塔に入ろうとしています!


 バッカどもの先頭に立つのは、ご存じ“聖鈴の”シトロンベル・イーンシーニアス!


 彼女はあんなにかわいい顔してるくせに、とんでもない男好きで有名だそうですよ!?

 観客の皆様もご存じのとおり、無宿生(ノーラン)にキスしてる瞬間を何度も『レッドトップ』されているんですからねぇ!


 無宿生(ノーラン)ですよ、無宿生(ノーラン)っ!

 無宿生(ノーラン)にキスするってことは、男なら誰でも構わないって意味ですよねぇ!?


 それ以上の階級にはもっとしてるっていう、決定的な証拠といってもいいではないですカァ~!

 だって無宿生(ノーラン)って、この学園では、ホームレスと同じなんですカァら!


 そしてそんな淫乱にまんまとハマしまった、モテない男どもが彼女のあとを金魚のフンのように続いております!


 まずはこの前、『スレイヴマッチ』で敗れてしまった、“激襲龍”ズングリムック!

 負けたせいで従者(サーバトラー)候補生から下僕(ペットレイヴ)候補生ランクダウンしてしまったバッカですカァ!


 今までは従者(サーバトラー)候補生だったから、まぁだデブでも良かったのに、下僕(ペットレイヴ)候補生でデブだなんて、産廃じゃないですカァ!


 そしてその後ろには、バッカ兄妹、いや、チャン兄妹!

 ”暴風小龍”アバレル・チャンと”静風小龍”クリス・チャンですカァ!


 せっかく『風紀委員の証』を手に入れたというのに、それを返上してしまったのです!

 いやホント、バッカ兄妹!


 妹のほうは最近、乱暴っぷりが問題視されており、兄のほうは……えーっと、何か……。

 何にもない? ……バッカッカッカッカッ! ともかくバッカってことで!


 そして大トリは、この学園始まって以来の希代のバッカ!

 下僕(ペットレイヴ)候補生にもなれない、万年落ちこぼれ!


 無宿生(ノーラン)のセージですカァァァァァッ!!

 さぁ観客のみなさん、ご一緒にぃ! やぁーい! やぁーい! バァーッカ! バァーッカ! ベロベロバァーッカ!!


 いやぁ、こうして見ると、本当にバッカですねぇ!


 バッカみたいにバッカでかい、黒い犬を連れております!

 自分がちびっ子だから、コンプレックスの裏返しなのでしょうか!


 バッカでかい犬を連れても、自分は大きくならないというのに……。

 むしろかえって小さく見えてしまうというのに……。


 救いようのないバッカというのは、彼のような事をいうのでしょうカァ!

 しかもまだ6歳だというのに、わざわざ死にに行くだなんて……!


 でもこのまま生き続けたところで、無宿生(ノーラン)なんてお先真っ暗!

 100年生きて路地裏で朽ち果てるくらいなら、今死んだほうが地球にやさしいではないですカァ!


 役立たずの無宿生(ノーラン)でも、世の中に貢献できることがあったなんて、知らなかったですねぇ!

 バーッカッカッカッカッカッカッ!!


 あっ、そうそう!

 死ぬといえば、山分けクイズのほうもあったですカァ!



 『1千万ポイント山分け! セージの結末クイズ!』


  アリのように踏み潰されてペチャンコに … 約4000票

  蚊のように叩かかれてペチャンコに … 約4000票

  途中で怖くなって、試験開始前に逃げ出す … 約4000票

  試験開始早々、仲間を見捨てて自分だけ逃げ出す … 約4000票

  『スレイヴマッチ』の時のように、インチキをして誤魔化す … 約4000票

  昇進試験を達成する … 2票



 バッカッカッカッカッカッカッ!

 見事に票が5つに割れておりますカァ!


 前回の山分けクイズの時は、へんな五流新聞部が仕切ったせいで、得票数バラバラでしたけど……。

 今回は超一流新聞部である我が『レッドトップス新聞部』が設定しましたので、バランスよく分れておりますカァ!


 ちなみにこの中の項目に、ひとつだけ仲間はずれがあるの、わかりますカァ?

 そう……! いちばんセンスがなくてダサい、『昇進試験を達成する』ってヤツ!


 そんなの、絶対に無理だってのにねぇ! バーッカッカッカッカッ!!


 ここだけの話なんですけど、あの項目は弊誌が入れたわけじゃないんですよぉ。

 五流新聞部の部長が、無理矢理ねじ込んで来たんですよぉ……!


 でも結果はこのとおり、たーったの2票!

 だから無くてもよかったっつーの! だからいつまでたっても五流新聞部だっつーの!


 バッカッカッカッカッカッカッカッ!


 ……バカァーっとぉ!?

 いまシトロンベルの乳頭が、入塔しましたっ!


 では、後ろをご覧下さいっ!

 弊誌の背後にある、天地の塔の水晶壁に、中の模様が映し出されましたっ!


 おおっ、デカいデカい! シトロンベルの毛穴まで見えそうなくらい!

 チビのセージ君も、巨人のように大きくなって映っておりますカァ!


 これからこの巨大スクリーンにて、バッカどもがヤられる様を、あますことなくお伝えしたいと思っております!

 そしてぇ、実況はご存じぃ……!


 ある時は、超一流新聞『レッドトップス学園新聞部』の部長!

 またある時は、バッカのバッカぶりを暴き出す、賢者(フィロソファー)候補生!


 そしてその功績が認められ、ライバル新聞部のヘナチョコ部長を差し置いて、生徒会役員となった……!


 『”赤烏(せきう)の”マスゴミー・レッドトップス』ですカァァァァァァァァァーーーーーーーッ!!


 バッカッカッカッカッカッカッカッ! バーッカッカッカッカッカッカッカッ!!

 バァーッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカァーーーーーーーーーーッ!!!!

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