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取材2

同僚たちがややざわついた。そうなんだ、という声が聞こえた。後戻りできない。なにか感想、しかも他のメンバーよりいい感想が求められている。




「えっと......」




みんなが言ってないことで、味がわからなくても言えること。




「......七星さんって、食べる人のことを考えるのが得意だと思っていて」 




全員の視線が、急に俺に集まったのを感じた。カメラがぐんとこちらを向く。


考えながら、言葉を話した。緊張しなくていい、編集で全部なんとかなる。小夜さんに聞いておいてよかった。




「俺はもともと自分が試したい味を作ることが多くて。その方が楽しいし正しいと思ってたけど、七星さんにそれは違うとずっと言われていて。


七星さんは試作のときも、ずっと食べる人がいつ、誰と、どんな部屋の温度のなかで食べるかまで気にしながら作ってました。そういう本人の優しさが出ている味だと思います」




瞬間的に、やばいこと言ったなと思った。短くまとめるつもりが、カメラがずっとこっちを向いていたので話し続けなければと焦り、最後にすごくいらないことを言った気がする。




顔がほてるのを感じた。晴人が視線を送ってくる。口元をおさえ、笑いをこらえるような仕草をされた。




おい。こっそりと親指を下に向ける。


半分ぐらいはお前の「ななっちは本当は優しい」というマル秘情報のせいだからな!?




「......いまのは編集で絶対に使われそうなコメントでしたね」




一切表情を変えることなく、先輩が言った。同僚から笑い声が漏れる。


その後の試食では、先輩は俺を当てることはなかった。他のメンバーが次々と感想と褒め言葉を送り、いつも通りの朝の準備へと散っていく。




「七星さん、今日どこか空いてます?」




カメラが止まり、同僚たちがホールから去っていくのを確認してから声をかけた。さっきのあとで話すのは恥ずかしかったが、いましかない気がする。




「ランチならいけると思います」


「ちょっと話したいことあって。外でもいいですか?」




眉があがった。少し考えたあと、答える。




「......わかりました。山手公園にあるカフェで」

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