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10①


 加戸家での話し合いの結果、僕らの交際は結婚を前提とした交際に昇格された。加戸家の人たちは責任を取れとは一言も言わなかった。それどころか、暴言を吐いたり暴力を振るったりしたら即交際終了だと思えと萌さんに釘を刺してくれた。

 「将来は結婚も考えています」

 と萌さんの家族に告げたら萌さんが泣き出した。

 「どうして泣くの?」

 「だって結婚も考えてるって言ってもらえたの、生まれて初めてだから」

 「三年つきあった元カレとはそういう話はなかったの?」

 「おれが誰かと結婚してもおまえとの関係は続けたい、って言われたことならあるけど……」

 萌さんの母親が慌てて話題を変えようとして墓穴を掘った。

 「和田さんが優しい人でよかったわね」

 「うん。セックスしても嫌なことも痛いことも一度もしてこないんだ」

 萌さんと違って眼鏡をかけて真面目そうな妹の顔が真っ赤になった。萌さんの元カレの話は加戸家の人々には初耳だったらしく、その話のあと、ますます僕に優しくなった。


 土曜日、今日の予定は萌さんの車でドライブデート。毎晩萌さんが僕の家に会いに来て、休日は萌さんの車で遠出。ほんの一ヶ月前まで勤務時間以外は一人ぼっちだったのが嘘みたいだ。とうとう僕もリア充の仲間入りか。なんて調子に乗るときっと奈落の底に落とされるのだ。躁と鬱を繰り返し、萌さんと恋人になってから僕のメンタルはジェットコースターのようだ。

 隣の運転席に座る萌さんの顔をついチラチラと見てしまう。

 「あたしの顔に何かついてるか?」

 「休みの日に恋人とドライブなんて夢みたいだと思ってさ」

 「あたしも夢みたいだと思いながら運転してた」

 「でも君は元彼とアスルヴェーラの試合を見にスタジアムに行ってたんだよね」

 「元カレは自分が見たかっただけだ。あたしの希望なんて聞かれたことない。彼が好きならあたしも好きになろうと考えたのが、あたしがアスルヴェーラを好きになったきっかけだった。あたしはただの運転手。元カレはいつも後部座席でふんぞり返って寝てただけ。元カレが車の中で起きてたのは何か食べたくなったときとしたくなったときだけ。目が覚めるのが遅すぎた。もっと早く別れておけばよかった」

 ん?

 彼女は軽い気持ちで言ったようだけど、したくなったとき?

 それってつまりこの車の中でもしていたということ?

 僕のメンタルはふたたび躁から鬱へとシフトチェンジした。


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