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記憶
私は、数えきれないほどの数の人生を経験した。
様々な問題が起こり、様々な方法で解決した。
様々な知識、考え方、感情がなだれ込んできた。
何度も何度も、身体の衰えに苦しみ、あるいは病魔に侵されて苦しんだ。
子どもを育む喜びと、次の王を誰にするのかを決める煩悶も、何度も経験した。
そして最期は、自分の持つすべての記憶を譲り渡す…
私は、私であって、同時に、そのすべての王たちになった。
初めはその量の多さに圧倒されていたが、
次第に、私の中にそれらを溶け込ませていくことが、できるようになった。
畢竟、私と同じ“人間”の記憶にすぎない。
似たようなことを、毎回少しずつ違った経緯と方法で行ってきただけのこと。
人間とは、単純なものだ…
終わりは、始まりと同じように、唐突に訪れた。
私はゆっくりと瞬きをすると、おもむろに立ち上がった。
医務室の出入り口を見据えると、そちらへと歩き出す。
全身に痛みが走る。
だが、そんなことは気にしていられない。
私が今、しなければいけないこと…
私にしかできないこと、なのだから…




