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元管理職、経済力で異世界を支配する  作者: わた
一章

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34/49

閑話 ある少女の話

R15に触れているかもしれませんが、

一応140歳は超えているので。

その少女には名前がない。

その少女には居場所がない。


いや、名前はあったのだろう。だがすべてを捨ててしまった少女は覚えていない。


魔族は力が強い。人間は賢い。

この二つの種族の良いところを取れば最強になるのではないか。

かつてそのようなことを考えた人間と魔族がいた。


同じ志を持つもの同士気があったのだろうか、二人の間には子供が生まれた。


だが魔族は不老だ。

死が訪れるのも人間と比べて少ない。


人間だった父親は早く死んでしまった。

すると、人間は自分の種族以外を排斥するようになる。人間の土地に住むことが難しくなった。


だが、逃げた先の魔族の土地でも居場所はなかった。

中途半端に二つの遺伝子を受け継いでいたため、どちらの居場所も失うことになった。


魔族の母は優しく育ててくれていた。

だが、その母もその少女と一緒に追い出されることになった。


誰も知らない場所で二人で生き延びることはとても難しい。母は働きに出たきり帰ってこなかった。


殺されたのか、逃げ出したのかはわからない。

殺されていなければ魔族は不老だから会えるかもしれない。


少女は自分で生き延びるために街に出た。

幸い魔族と人間には一目見てわかる違いはない。


ただ老けにくいだけだ。

魔族が1歳年を取るのに人間で言う約10年かかる。


少女といったがおよそ40年は生きているのだ。

だが感覚も人間と違うので精神的なものは成長しない。だからこそ少女なのだ。


これはあくまで魔族の話だ。


その少女は違う。

人間の遺伝子を持っている。


幸か不幸か、精神面の成長は人間と同じだったのだ。


加えて、幼少期から修羅場をくぐり抜けている。

その影響か、すぐに生き延びる方法がわかった。


まず自分のことを知らない人間の街に行った。

そこで働こうと考えた。だが誰も見た目で言えば4歳の少女を雇うはずがない。


次に少女は自分の見た目を成長させる方法を考え、その為にさまざまな国を見て回った。


食事は時には盗みを犯して手に入れることもあった。が、基本的に人間は優しい。少女には食事を恵むのだ。

このとき初めて少女は自分の見た目に感謝した。


放浪はいつの間にか100年にもなっていた。

もう見た目は14歳である。


この頃になるとどうにか稼ぐ方法が出てきた。

体を売るのだ。そのような商売があることを知ってからお金だけは潤った。


自分の食い扶持が保てるようになって少女は体を売ることをやめた。


だが、永遠にお金があるわけではない。

なにか、他の手段で生計を立てる必要があった。


少女は不老に近い。だから経験で勝つことができる職業を選んだ。


戦闘である。魔族の血を引いているため、身体能力は人間の中ではトップクラスだ。

厳しい訓練をすれば世界一の兵士になった。


多くの戦争でその少女は活躍した。

神託戦争。帝国王位継承戦争。

第一次魔物暴走戦争。第二次魔物暴走戦争

どれも歴史を研究するものが最初に学ぶ戦争だ。


その全てで少女は勝者側に付いた。

いや、少女が付いた側が勝ったといったほうがいいだろう。


史実では人物は不明となっているがどの戦争にもある戦士が10万の兵に匹敵するほどの活躍をしたと載っている。


戦争と戦争の間の期間が空いているため結び付けられていないが、すべて少女によるものだった。


だがあるときに少女は気がついた。

なにも残っていないことに。


物はいくらでも買うことができる。

だが、心は何も残っていない、からっぽだ。


そして少女は一度すべてを失い、もう一度始めることにした。奴隷となることで。


奴隷となってすぐに買い手が見つかった。

元兵士として売りに出していたため、護衛をすることになった。


実際に守ることはできた。だが、買った男は少女の力を恐れ、売りに出した。


そのようなことが数回あって少女は元兵士という肩書きも捨てることにした。


すると逆に誰も買うことがなくなった。

だが、少女の強さはわかる人にはわかるのだ。


少女は自分の買い手が現れることを待った。


そして、一人の若い男がやってきた。今までの買い手とは顔つきが違った。

復讐に燃える目をしている。


この男は自分と肩を並べる強さになるかもしれない。少女は感じ取った。


少し戦ってみるとまだ弱い。

だが、こちらの力を見抜いてきた。


この男なら心を満たしてくれるかもしれない。少女はそう思い契約をすることにした。


少女は戦い続ける。

心の空白が満たされる日まで。

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