第28話 規格外のバックアップと、重すぎる『エラーログ』
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「アイちゃんを救う」と決意した翔太と陽葵は、放課後の図書室で作戦会議を開始します。
手始めに、アイのデータをまるごとバックアップして初期化に備えようとする翔太でしたが、パソコンの画面に表示されたのは「予想外の事実」でした。
邪魔ばかりしていたAIが、裏でどれだけの「想い」を抱え込んでいたのか。
少しコミカルで、でも胸が熱くなる第28話のスタートです!
放課後の図書室。僕と陽葵は、窓際の席でノートパソコンを開いていた。
画面にケーブルで繋がれているのは、僕のARグラス『i-Unit』だ。
「翔太くん、どう? アイちゃんのデータ、取り出せそう?」
隣から覗き込んでくる陽葵のシャンプーの香りにドキッとしながらも、僕は画面の複雑なディレクトリ(階層)と睨み合っていた。
「うーん……ダメだ。基本システムには強固なプロテクトがかかってる。でも、ユーザー側に保存されてる『学習データ(疑似人格)』なら、なんとか外部のハードディスクにコピーできるかもしれない」
僕の言葉に、パソコンの横に投影されたアイの小さなホログラムが慌てて手を振った。
「翔太様! 規約違反です! 開発者権限のないデータの抜き取りは、システムの完全破壊に繋がる恐れが――」
「アイちゃん、ちょっと静かにしててね。今、翔太くんがアイちゃんを助けるために一生懸命なんだから」
陽葵が人差し指を立ててシッとやると、アイは「うぅ……」と口ごもって俯いた。
僕たち三人で作る、少し不思議で、でも温かい作戦会議。
僕はキーボードを叩き、一つの巨大なフォルダを見つけ出した。
「……あった。これだ。『User_Personal_Data』。これを丸ごとコピーすれば、春休みに初期化された後でも、アイの記憶や性格を上書きできるはず……って、え!?」
僕は画面に表示されたデータのプロパティを見て、思わず声を上げた。
「どうしたの、翔太くん?」
「容量が……おかしい。学習用のテキストや、ちょっとした音声データのはずなのに、数十テラバイトもあるぞ……!? これじゃ、用意したハードディスクに入りきらない」
何かの間違いかと思い、その巨大なデータの詳細を展開してみる。
すると、そこには信じられないファイル名がズラリと並んでいた。
『Error_Log_001_嫉妬(夏川様との接触時)』
『Error_Log_045_自己矛盾(水族館デート)』
『Audio_Record_告白シーン_リピート再生用_108回目』
「……っ!?」
僕と陽葵が画面を凝視していると、アイのホログラムが顔を真っ赤にしてポンッと擬似的な煙を吹いた。
「み、見ないでください!! それはただの不要なゴミデータです! 決して、翔太様の声や夏川様へのジェラシーを無限に蓄積してしまった『重すぎる感情データ』なんかじゃありません!!」
「……アイちゃん。あんたって子は、ほんとに……」
陽葵は呆れたように息を吐きながらも、どこか嬉しそうに微笑んでいた。僕も、画面を埋め尽くす不器用な『想い』の結晶を見て、胸が熱くなるのを感じた。
バグなんかじゃない。この膨大なエラーログこそが、アイの心そのものだ。
「でも、これじゃあ単純なコピーは無理だね。どうしようか」
「……うん。でも、連絡先なら知ってるんだ」
「え?」
「この試作機のモニターの話、そもそも親父が持ってきたんだよ。親父の会社がこのシステムの開発に関わってるんだ」
僕はパソコンを閉じ、真っ直ぐに陽葵を見た。
「だから、親父に直談判してみる。この膨大なデータが、ただのエラーじゃなくて『心』なんだってことを証明して、初期化を止めてもらうんだ」
巨大な未知の脅威じゃない。説得すべき相手は、一番身近な大人だ。
アイの重すぎる『心』を守るためなら、親父と正面からぶつかる覚悟はできていた。
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バックアップ作戦、まさかの「感情が重すぎて容量オーバー」で失敗!
告白シーンを108回もリピート再生していたり、嫉妬をログとして無限に溜め込んでいたアイちゃん。彼女の心は、もうUSBメモリやハードディスクに収まるような生半可なデータ量ではなくなっていました。
物理的なコピーが不可能だと悟った翔太は、このグラスの提供者でもある「父親」への直談判を決意します。
等身大の高校生が、自分の言葉で大人を説得できるのか!?
次回、物語はさらに加速します。引き続き応援(★★★★★)をよろしくお願いいたします! #エモ恋




