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 起床。

 いい夢を見た。誰かに固有能力の手解きをしてもらったが、それ以外は覚えてない。美しく輝かしい景色と芳香が一瞬脳を掠めた。

 実験してみたところ真理だった。不思議なこともあるもんだが、もう慣れた。

 貧しい人のために金銀財宝を現出させようとしたが無理だった。差し詰め、貧しい人が善人とは限らずギャンブルに金銭を投じてしまう可能性があるから、といったところか。タブレットなども出せなかった。オーパーツになるからだろう。剣は出せなかった。必要性が無いからだろう。

 賃料の支払いで金銭が無いからか、食事は出た。しかし、貧しい人に与えようとしたら消えた。自分で食べようとしたら再び現れた。貧しく信仰心が篤く多くの人・動物に慕われている者を訪ねると、食事が出せて与えられた。異世界では宗教やスピリチュアルの偽善性が魔法で看破されているため、信仰心とは哲学的に神が存在すると措定することを言う。端的に言うと、何となく神が存在する気がするから、だ。きっと真理とは子供の口から出るのだろう。大半の大人は議論という、無意味で醜く空虚で原始的な縄張り争いを石器時代から現在まで続けているわけだから信用できない。対話は善意で行われなければならないし、そうでなければ意味を為さない。対話とは言葉ではなく心の交信に他ならないがために。




 一週間後。

 そういえば何となしに友人へ手土産を渡したいと思い華でも出そうとしたが出なかった。やはり手土産は心を込めるために自分で購入するのが最善か。最善でないことは怠慢/不正だから得心した。

 私は市場へ赴いた。

「こんな場所でお会いできるとは思いませんでしたわ」

 露店のアクセサリーから目を逸らすと、そこにはフィリアがいた。

 私は数日前魔獣に襲われていたフィリアを助けたのだが、その際発現させた剣がとんでもない出力のエネルギーを纏っていて一振りの衝撃波で魔獣を討伐できてしまったので、魔力探知で識別され固有能力を隠すことはできなかった。とはいえ事情を説明したら秘密にしてくれたので、今では私やソフィアの良き友人だ。フィリアの高貴な言動と優雅な身のこなしから、両親は収入は多いがほぼ全てを慈善活動に充てており質素な生活をしている貴族であることが明瞭判然に推察できる。尚、衝撃波が発生しているから剣速は音速を超過しているわけだが、周囲に危害が及ばなかったのは偏に勇者の加護によるものだろう。

「君やソフィアにプレゼントを贈りたいと思ってね」

「それは嬉しい報せですこと」

 フィリアは上品に微笑んだ。

「でもわたくしにとっては、こうして貴方と時間を過ごせることが一番のプレゼントですのよ……?」

「まあまあ」

 私はフィリアの背を押し、なし崩し的に買い物へ連れて行き菓子を一緒に食べたりアクセサリーをプレゼントした。日本では健康的な菓子は高価だったが、ここでは魔法で簡単に作れるから安い。

 なんだか、幼稚園の幼馴染二人へ手作り義理チョコのお返しに美しい包装のハンカチを贈ったのを思い出した。私は小学生でよくわからなかったから全て母に選んでもらい渡してすぐ帰ったのだが、よく思い返してみると、彼女らは私と昔のように仲良くしたかったのだろう。あまりに淡白な対応をしたものだから、私が何ら興味を持ち合わせていないように見えたのかそれ以来関わりは無かった。私はきっと、あの時と同じにならないよう人との繋がりを大切にしたいのだろうな。

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