第14話 ばれた
4人でご飯も食べてお腹が膨れたところでさっそく研究室に向かった
長い階段を降りてまた例の大きな扉の前に着いた
バルドが蹴破った壁のドアは直っていたので、今日は何処がドアなのだろうとキョロキョロしていると反対側の壁が開いた
ここドアにする意味ある?
目の前の大きなドアは一体いつ開くんだろうと来る度疑問に思いそうだった
相変らず研究室は広くて、今日の出勤人数も結構な数だった
どこら辺で研究するのだろうとメイと一緒にヴァイス達の後を着いていったら結構奥まで歩いたと思う
室長室と書かれた札が見えて、ガチャリとドアを開けて中に入るよう促された
「ヴァイス?ここ室長室なのですが、ここで研究するんですか?」
こっちを向かないヴァイスを不思議がっていたら、サイさんが口を開いた
「さて、薬草ポーションの話ですがその前に。」
「?」
「この薬草は一体どうやって手にいれたのかしら?」
「それは企業秘密だと言ったではありませんか」
ヴァイスは確か生まれた時の血の件を知っているはずだったけど、サイさんはどうなのか分からないからとりあえず黙っておこう
「そう言われてもねぇ、さっきの畑を見たあたり土にも関係は無いと分かったわ。肥料だけぢゃこうはいかないのよぉ」
あれ?畑に連れて行ったのまずかったかな
この間もっていった青い土を浄化する花の作り方は詳細載せてないようだったし
花に水をあげたら咲いた花が浄化の力をもってましたってことだったもんな
「それは、どういう…」
「私からお話します。この薬草ですがココ最近で聞いたことはありません。ですが形状からするにこの状態にするには月日が必要なのです。だとしたら何処からやってきたのか、先程の畑といいニジンといいこの薬草もそうですが、こちらが出てきたのはココ最近。王子、貴方が農作業をしてからなのです」
結構、秘密裏にやってたつもりだったけどすぐバレるものなんだな
うーん、この2人になら言ってもいいような気がするんだけど…
(メイ、この2人に話しても良いと思う?)
(癪ですがこの2人は信用しても良いと思います。バルドさんからは一応了承を得ております)
(え?了承って話てもいいか聞いたの?)
(いえ、バルドさんがおつかいに出る前に言われたのです。もしこの2人に聞かれたら研究においての追求が凄まじいので話してしまった方が楽だと)
(なんか取り調べみたいだね)
だけど流石バルドだ、この展開を読んでたとしたらすごい
ヴァイス達に背を向けてコソコソ話していたけれど、ひとつ咳払いをして改めて向き直る
この先何かあっても、この人達なら協力してくれるだろう
ゴホンッ
「ん゛ん、観念します。これは僕の種を撒くというスキルなんです」
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とりあえず、バルド達にやったようにヴァイス達にもニジンの作る方法を教えた
「な、なんてすごいスキルですか」
「これは、作物の概念が全く変わってまうじゃない」
うーん、せっかく研究してくれてるのにこんなチートすぎると研究するのが嫌になったりしないか心配してたけど、大丈夫そうだ
「ルシアンちゃんたらこんなのを隠してたなんて、悪い子」
「え゛。いやそんな生まれた時に公表されてないと聞いていたので出してはいけないものかと」
「ふふ、冗談よ。これは研究員としてとても興味深いわ」
「はい。薬草ポーションが速攻で出来るというのも納得がいきました」
「そうね、あとはそのポーションがどれだけの効果を発揮するかだけど」
「普通に討伐依頼が毎日きているので問題ないでしょう」
「それもそうね」
さらっと怪我する前提で討伐に行く感じなのが、怖すぎる
「決まり!明日この効果を試す為に討伐に行きましょう」
「ヴァイス達が討伐するんですか?」
研究員ぢゃないの?
「何を言ってるんです。当たり前ぢゃないですか」
「最初は魔王軍の討伐部隊にお願いしてたんだけど…研究材料として持って帰り忘れたり、全て倒しちゃったり、持って帰ってきても伝えたものと全然違うのよね」
「これだから脳筋は困るんですよ」
「ほんと、戦闘好きって困るわよね。すぐ戦って解決しようとするし」
困ったもんだ。みたいな空気出してるけど俺からしたら貴方達もそこそこですがとは言えない
「ちなみに薬草ポーションは今作れるんですか?」
サイさんが討伐に行く準備をしながら聞いてきたので、種をを量産すればいけることを伝えた
「ほんと凄いですね、そのスキル」
「ははは。全然扱いきれていないですけどね」
「そういえば、検査結果ってどうなったんですか?」
「ああ、現実から目を背けたくて考えないようにしてたのですが青い土はしっかり毒素はなくなっていました。コップの水やフェンリルを助けた時に出た反応とはまた違って、微生物が活性化してました。治癒と合わせて細胞を活性化させる効果も出ているようです。」
そんな効果が出てるなんて驚きだ。
さすがにそこまですごいとは思わなかったな
「川の方はどうでしたか?」
「こっちは王子の言ったとおりでした。なんの汚染もされておらず、ですが何故か魚一匹泳いでないのはおかしいです」
「やっぱり…先ほど堀った畑の近くにあった川がそうだったのですがどうしても気になっていたので、何もなくてよかったです」
「何もないというのは良いことですが、では魚がいないのはなぜなのか新しい検査対象ができましたね」
たしかに。まあとりあえずあの川から田んぼに水をひいても大丈夫ならそれでいい
魚がいない理由はサイさんが調べてくれそうだし
とりあえず持ってる稲モドキを薬草に変えて明日に備えることにした。
「ルシアン様、あんなにあっさり良かったのですか?」
「うーん。まあでもバルドが話してもよいと判断したのであれば大丈夫だと思う」
長い階段を上がりながら、そういえば何かを忘れている気がしてならなかったがその時はお腹が空いたのでご飯のことしか考えられなかった。
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次回は一緒に討伐します!




