022 スライムリアクター
その後も本島では散発的な敵性体との戦いはあっても、組織だった敵の攻撃は無く、調査・開拓は順調に進んでいた。
「さてここ最近、怖いぐらい順調に開拓が進んでいる。 本部基地の東150km地点には第2基地も完成、更に飛行母艦の6~8番艦3隻が第2基地から100km地点の周回警戒を開始した事で、本島全域を勢力圏とする事を達成した。 それで、今後についてだが・・・」
各班から様々な意見が・・・
・ 本島の高度開発。
・ 海底資源の探索と採掘場の設置。
・ 大陸への進出。 (本島での1年以上にわたる観測の結果、生態系の汚染等の兆候が見られず。 安全と判断、大陸進出が解禁された。)
・ 衛星への派遣部隊増強。
・ 洋上部隊の増設。
するとピッツ班長が、
「皆さんお忘れですか? 拡大政策は相手を刺激するかも知れませんよ?」
「すると、本島の開拓ですかね? 出来れば各地の地下資源の割り出しなどしておきたいのですが・・・」
「今のままでは大赤字ですからね。 4~5年後に来るであろう救助隊の事を考えると、船長が交渉材料を増やしておきたい気持ちも分かるのですが・・・」
「・・・大規模区画整理に造成、連絡道路建設、大型宇宙港の建設、エネルギープラントの建設、本国からの開拓団用の施設等を用意しておくのも交渉材料になるのでは?」
「だが、我々が救助されてから本国が開拓団を送り込むまでどの位かかるか・・・ 設備の旧式化は免れないぞ。」
「そもそも、本国はこの星を開発するのだろうか? 正体不明だが・・・ ほぼ確実に敵が居ると分かっている状態だ。」
「しかし、これだけ居住条件の良い星はまず無いぞ? 本国だって欲しがるはずだ。」
「それに大型宇宙港が有れば、屯田2号の本格的な修理が出来ます。 応急修理だけでは不安も大きいですから・・・」
それからも話し合いは続き、区画整理と大型宇宙港建設が第一目標と定められた。
だが実際に作業するのは機械やボット達、人間は時々作業の進行状況をチェックするのみである。
因みに、宇宙港は本部基地と第2基地の中間点、本島のほぼ中央に建設する事になった。
各艦の冷却システムの改装が終わりに近づいたある日、支援班のイブ班長が突然、
「皆さん、新型のバイオリアクターが完成しました。」
「!? バイオマスでは無くリアクターですか? しかも新型?」
「そんな事が可能か? 専門の研究所じゃあるまいに・・・」
「で? 説明をしてくれるか?」
「はい。 従来型のバイオリアクターは有機物を細菌等の力を使ってエネルギーに変えていましたが、細菌をスライムに替える事で変換効率が飛躍的に向上しました。 しかも、有機物だけでなく無機物もエネルギー変換が可能となったのです。
但し、制御が難しく、余りに不安定過ぎて実用に耐えられる物ではありませんでした。 しかし・・・」
「先頃の一件か?」
「はい。 スライムが死骸となっても多少の特性を残している事は皆さんもこの間の事件で知ったと思います。 そこで、生きたスライムを死んだスライムに替えた所、変換効率が下がったものの安定した運用が可能となりました。 変換効率が下がったと言っても、従来型と比べれば遥かに高効率ですし、今後の主力となりえるかと・・・」
「なるほど、スライムリアクターか、ここでしか出来ない発想だな。 今作っている宇宙港に組み込んでみるか? 長期に亘って使用できるか試験運用してみよう。」
こうして新技術の発見と実用化が・・・
今回、土日の投稿はありません。
すいませんが、野暮用が・・・




