021 またもやスライム
さて、同時進行中だった衛星進出については、一足早く基地が完成しており小規模ながら調査活動を開始している。
因みに今現在の基地には人が生きていける施設は無く、遠隔指揮で運用しているが通信のタイムラグが約3秒あり、持ち込んでいる機材の少なさもあって動きは鈍い。
そして、恒例の会議が・・・
「ここ半年程敵性体の組織だった攻撃を受けていない。 私は、相手が戦況に鑑みこの島を諦めたと考えているのだが・・・」
「我々と敵対しても割に合わないと思ったのでしょう。 お陰で順調に衛星と海辺に基地の建設が出来たのですが・・・
居るかどうかも判らない正体不明の相手ですからね。 何を考えているか全く分かりませんが、我々が活動域を広げた事で反発して攻撃を再開して来るかもしれません。」
「確かに海洋進出は、相手を刺激したかもしれませんね。 警戒レベルを上げておきましょう。」
すると、タイミングが良いのか悪いのか・・・・
「艦隊旗艦AIより緊急報告! 『対処艦04号、リンク切断、航行不能。 応急部署発動中。』以上です。」
「くっ、言ってるそばからこれか・・・ 艦隊の現在地は?」
「はい、本部基地の北北西120km地点です。」 (艦隊は本島一周の訓練航海中)
「コンピューター、UAVを現場に回せ。 後、対処艦04号のログを出せ。」
「了解。 UAV現場に向かいました。 ログを2番モニターに出します。」
三浦船長達、艦船クルーが中心となって確認していく。
「艦の冷却装置が機能不全を起こしたようだな?」
「その様です。 艦内機器保護の為セーフモードに移行しようとして失敗、おそらく熱暴走ですね。 フリーズ状態の様です。」
「攻撃を受けた様子は有りません。 冷却装置を修理し、再起動を行えは問題解決かと・・・」
「で? 機能不全の原因は?」
「今、プローブドローンと作業ボットからデータ受信中・・・」
「・・・」
「受信完了、メインモニターに出します。」
「「!?」」
「マジか・・・」
「そっかー スライムか・・・ 海水の取水口に死体が詰まったのか・・・」 (各艦は海水を利用した水冷方式で各機材を冷却している。 その為、艦底部に海水の取り入れ口が存在している。)
「船長、チャートを見て下さい。 近くに河口が有ります。 この辺りには、川に流されたスライムの死体が流されて来ているのでしょう。 運が悪かったとしか・・・」
「・・・そう言えば、取水口には入り込んだクラゲをミンチにして排除するスライスカッターが装備されていなかったか?」
「勿論ありますが、スライム相手にはには効果が・・・」
「死んでいてもスライムはスライムか・・・ 厄介だな。 だが、対処法を考えないとまた同じことが起こるな。」
「取り敢えずは、訓練航海を中止して港湾基地に戻しましょう。 戻るまでの時間で対策を考えるようにすれば・・・」
2000トンクラスの戦闘艦がスライム一匹により行動不能に陥ると言う出来事に、何とも言えない理不尽さを感じる一同であった。
「死んでも多少の特性が残るのか・・・」そうつぶやくイブ班長の目が怪しく光るが、誰もそれには気がつかなかった。
念の為、各基地やダンジョンの警戒レベルを上げたが、スライム詰まり事件以外は静かなものだった。
因みに、戦闘艦の冷却システムは海水を直接取り込むのを止め、循環タイプの熱交換式となった。 水面下の船体の一部をヒートシンク化し、内側に循環パイプを這わす事で冷却する方式だ。
これにより、以後の目詰まりは無くなるのだが、船体の外側が暖かくなるので、赤外線センサーには反応しやすくなってしまう事に・・・
もっとも、敵対勢力が赤外線誘導ミサイルを持っているわけも無く、何の問題も無いと判断された。




