002 基地運営
一通りの基地設置と資材搬入を済ませた上陸班の人達だったが、ここにきて少々困った事態に・・・
基地の侵入者警報が鳴りやまないのだ。
「山下護衛班長、この音何とかなりませんか?」
「ピッツ班長・・・ いやはや、此処の動物たちは好奇心旺盛の様で、シャトルの行き来が終わって静かになった途端様子を見に来る事見に来る事・・・ 動体センサーが反応しまくりです。
調査班の人達には申し訳ないと思っていますが、今、半径1000メートルの円状の外周部に堀を作っています。 完成すれば侵入者も無くなると思うので、それまで我慢をお願いします。」
「分かりました。 確かに此処の動物は活発の様です。 分類資料の参考にしたいので、センサーで捉えた行動記録と映像記録のコピーをお願いします。」
「了解です。 共通サーバーに順次アップロードしておきます。 それと、数体の動物については電気ショックで気絶していますが、研究用に回収しますか?」
「なっ、それを先に言って下さい。 直ぐに回収します。 ポジションをアップしといて・・・」
ピッツ班長は、そう言いながら調査班の下に駆けて行った。
こうして、初日は慌ただしく過ぎて行った。
そして二日目の朝、上陸班の10名は作戦室に集まり母船とのビデオ会議を行っていた。
「皆さん、おはようございます。」
「「「おはようございます。」」」
「さて各班長、現状報告をお願いします。」
「はい。 護衛班山下です。 当初の予想を上回る数の現地動物による敷地内への侵入が発生しており、戦闘ボットによる音響威嚇や電気ショックでは対処が難しいと判断、敷地外周部において約6kmの堀を作りました。 本日は硬化剤を使い堀の整地と、掘り出した土砂を使い堀の内側に土塁を築きます。」
「ふむ、了解です。 当面はそれで様子を見てみましょう。 次!」
「はい。 調査班のピッツです。 昨日は検体を確保できたので、本日はそれらの検査と敷地内での植物や昆虫のサンプル採取を行います。」
「了解です。 次!」
「はい。 支援班イブです。 調査班からのデータとドローンからの環境データを精密調査しました。 現状のデータでは信じられないくらい母星に近い数値が出ています。
又、微生物に関しても問題になるようなものは見つかっておりません。 外出時は簡易防護マスクをしていただけれは完全防護服の着用は必要ないと判断します。」
「分りました。 防護服を着ないで済む事は、上陸班にとって朗報ですね。
それと、そこまで母星と似た環境となると、この星の価値は非常に高いと言えます。 今後の調査で問題が出なけれは本格的な入植拠点を設置する事になるので、支援班は候補地の選定と設置も視野に入れて行動して下さい。」
「「「了解。」」」
こうしてビデオ会議が終了すると、早速とばかりに作業を開始した。
護衛班と調査班が予定通りに仕事をする中、支援班は入植拠点の設営に必要となる各鉱石の鉱脈を捜す為、衛星軌道上の『屯田2号』からの解析図を基にUAVによる精密探査を始めた。
特に、鉄、銅、ニッケルが第一目標とされ、硝酸系の鉱石や堆積物と綿花等の火薬の原料については第二目標とされた。 大気圏内ではレーザー兵器より実包の方が取り扱いやすいが (特に雨天は)、音響兵器と電気ショックを多用する事で、実弾の消費を少なく出来ると判断された。 又、携帯性に難があるがレールガンを使用すれば炸薬 (火薬)を使用しないで済む事も考慮された。
因みに、ベースの設置場所は大陸から程よく離れた北海道程の大きさの島である。 これは、生態系の汚染を警戒しての事であり、万が一の場合島ごと浄化する為であり、その事から各資源も極力大陸の外での採取を目指している。
小規模ながら、鉄、銅、ニッケルの鉱脈はこの島でも見つかっており、先ずはこれらの採掘から始められた。
次回から、ファンタジーな世界観が入ってきます。