003 スライム?発見
それは、護衛班2名と調査班2名が各作業機械と戦闘ボットを引き連れ、ベース周辺の採掘ポイントへ向かっていた時だった。
先頭を進んでいた護衛班の一人、ミゲルが・・・
「まて! 全周警戒!」
戦闘ボットが散開し警戒行動を開始する中、すぐさま姿勢を低くした隊員達が集まって来る。
「ミゲル、何があった?」
「3時の方向を見てくれ、俺には焚火の跡に見える。」
「何?、これは・・・ 確かに焚火の跡だ・・・ 何らかの知的生命体が居るのか?」
それを見て、早速とばかりに調査班の2名が分析装置を使ってデータの収集を開始するが、
「この荒れ具合だと、2~3日前の焚火だな・・・ この辺りはUCAVの活動範囲だ、基地のサーバーにアクセスしてセンサー記録を確認してくれ。」
「了解・・・ 見てくれ、それらしき赤外線映像の記録がある。 全高1メートル程の生物が3体・・・ 小型種なのか子供なのか?」
「これだけでは何とも言えないな・・・」
結局、先住民が居る可能性が出てきた事により、採掘は中止となり4名はベースへ戻る事になった。
その後、母船との会議が行われ今後は正体不明知的生命体の発見と調査が最優先目標とされる事に・・・
おかげで活動範囲を広げる事になり、母船に残されていた予備の機器、機材、全てが地上に降ろされる事となった。
又、今回の件で鉱物資源の収集が先延ばしになった事は不安材料だが、基地周辺の動植物が自動調理器のフードカードリッジの原材料として使用可能と分かった事で、食料事情についてはひとまず安心出来る状態であり、最悪の場合は『屯田2号』を海に降ろし、海水から各鉱物資源を抽出する事で必要最低限の資源を集める事が可能な事から、B-010081星の調査続行が決められた。 (母船の大気圏突入は、船と星互いへの各種汚染のリスクが跳ね上がるので、最後の手段と言える。 テラ19に戻った時の除染作業が何か月もかかるし、費用もシャレにならない事になる。)
そして、『屯田2号』では船長の三浦が胃薬を飲んでいた。
「船長、また胃薬ですか?」通信士のルーナが半ば心配する様な、呆れる様な感じに問いかける。
「最近、ストレス案件が増えてきたからね。 責任者は辛いよ・・・」 (テラ19にもたらされたのは空間圧縮航行システムの技術のみ、空間圧縮通信の技術を持っていない。 本国に通信で指示を仰げない為、船長が全ての指示を出し、責任を持たなければならない。)
「分かりますけど・・・ 」
「程々の任務と程々の給料で良かったんだけどな・・・」
「それも分かりますけど、この星をものに出来れば特別ボーナスで一生左団扇で暮らす事も夢ではありません。 乗員皆の為にも頑張って下さいね。」
おー、金が絡むと目の輝きが違うな・・・ 仕方ない・・・
「分かってる、任務を放り出したりはしないよ。 そこは心配しなくても大丈夫だから・・・」
「はぁ・・・」 返事をしつつもルーナは心の中で、全然わかってない! 船長のストレスを和らげようと思って励ましたつもりなのに、通じてないよ・・・
何か私もお腹が痛くなってきたかも・・・ 状況の改善はまだまだ先の様だ。
実際、衛星軌道への観測衛星の追加や、地上ベースへの器材増強等、休む間もない程忙しくストレスを発散する暇も無かった。
逆に、観測機器増加に伴い解析するデータが増え、別のストレスが増える始末・・・
そんな折、地上ベースでは新たな生物サンプルが捕獲された。
基地の周囲を巡る堀に溜まる雨水等の中に足 (口腕)の無いミズクラゲの様な生き物がいた為回収されたのだ。 調べてみるとクラゲみたいな開口部は無く、その見た目からスライムと名付けられたのだが・・・
物を溶かして吸収する性質、何らかのエネルギー結晶体と思われる核のような物・・・ 当初冗談でスライムと名付けたが、これぞ本物に違いないと・・・ 遂に空想上の生き物を発見したと、ピッツ班長と調査班のテンションが変な方向に・・・
「落ち着けピッツ。」
「あ、山下班長・・・ 」
半ば白い眼を向けて来る護衛班の人達に気付き、正気に戻ると言うか羞恥心に苛まれる調査班であった。




