嘘はバレなければ真実となる
魚人と海底デートをすることになった綿子。
雰囲気はバッチリ。相手は微妙。
「話って言ってもどんな話が良いの?」
「地上の話を聞きたいのです
私はこの通りエラと尻尾がないため泳ぐことが出来ず外に出ると溺れてしまいます
他の子に頼んでも外は危険らしくて連れていってもらえません」
泳げない魚に綿子は驚く。
上半身が人で下半身が魚なら美しいのだろうが顔が鮎で下半身が人の奇妙な生物。
じっくり見ても何から産まれたのか見当が付かず言葉にならない綿子である。
「確かに外は危険かも・・・
私もこの前死にかけたし変態や変人しかいないから普通なのは私くらいだもん
鮎さんが地上を歩いてたら料理長に食材にされて食べられちゃうよ」
あたかも自分はまともで周りに振り回されてる被害者のように話を盛る綿子。
そんな綿子に鮎ママは生き証人の話を聞いて怯えるのだった。
「ノコノコたちが言ってたことは本当だったのね・・・
あの子が良い人を連れてきてくれて本当幸運でした」
「本当だよ?
私以外のやつを連れてきてたら今頃ここも破壊されてみんな食材になってた頃だから運が良かったね!」
ほとんどの話を嘘で塗り固め自分の評価をあげる。
綿子を知ってる者が聞けば半殺しにされてもおかしくない状況である。
「そうだ!
綿子さんもここに住みませんか?
危ない地上と違い、ここはとても平和で争い事もほとんどありません」
ここに住めばニート生活を満喫できるかもしれないということ、今までの過酷な境遇から抜け出せることがあって綿子の心が揺れる。
「ここにいれば何もしなくても角煮を食べられるかも・・・」
「角煮とはなんでしょう?」
「豚の肉です!」
今まで丁寧な言葉遣いをしてた魚頭が突然怒りだした。
「ぶ、豚!?
魚以外の料理を食べるなんて汚らわしいことを地上の方はしてるんですか!?
そのようなことは絶対許せません!
ここで魚以外を口にすることは許されないのです!!」
いきなりの怒鳴り声に驚く綿子だが、これまでの経験で言い返せるくらいの修羅場は潜ってきていた。
「共食いするなんてあり得ませんよ!
角煮が食べれないのであれば私は元いた場所で至高の角煮を追い求めます!
利用できそうな人達と最高の角煮を作って幸せな王子様と暮らすんです!」
「・・・分かりました
あなたとは分かち合えないようですが初めての生きたお客様です
今晩は最高のおもてなしをさせてください
きっと魚の良さが分かるはずです」
魚も美味しいと思うが角煮への思いが強すぎたあまりにせっかくのニート暮らしを手放して地上に還ることになるのであった。




