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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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道を進むって素敵やん

 三重塔は非常に美しいものだった。

 自然の一部かのような佇まいには、これを建設した人々の自然への畏敬の念が現れているようであった。

 頂上で弁当を食べてしばし休憩をし、我々は来た道を戻った。

 来た時と同じく、俺とキーケちゃんは最後尾でケガ人などが出ないか注意しながらの下山となる。

 幸いな事に気分が悪くなる人もケガ人も出ずに無事に下山する事が出来た。

 家に着くまでが遠足とは良く言ったものだが、ほとんどの者が寮住まいの我々にとっては学園到着を持って遠足終了で、間違いなかった。

 校庭でジマオウ先生が解散の挨拶をし、遠足は無事終了となった。

 俺とキーケちゃんが職員室に行くと、他の先生たちは既に戻っており、どうも俺たちが最後のようだった。

 職員全員が揃い、今日一日の問題などを話し合うが、本日の遠足ではどのクラスからもケガ人や迷子などは出ず、いたって順調だったようだ。

 そうして、お疲れ様の挨拶をして我々職員も解散となった。

 食堂に向かおうとしていた俺たちに、理事長が声をかけてきた。


「皆さん、今日はお疲れ様でした。明日は学園もお休みですし、少人数ですがちょっとした慰労会をしようと思いまして、どうですか?。」


 という事で俺たち4人は理事長達と、お疲れ様会をすることになりました。

 学園近くの大きな酒場ケニングホルンで、参加人数は我々含めて12人。

 俺の感覚で言えば結構な大所帯での飲み会だ。

 ケニングホルンは大きな酒場なので、12人がいっぺんに座れる大きな円卓もあり我々一同はその席についた。

 アルスちゃんとシエンちゃんは安定のノンアルコールだが、それ以外は皆、お酒オッケーという事でとりあえずエールを注文。

 そして、飲み物が届くまでの間に食べ物も適当に頼む。

 今回の参加者は理事長と用務員のフレーナさんそして俺たち4人を含めた制服組教員の他に、貴族商会サイドの先生もいらっしゃる。

 生徒のみならず、教員間でも貴族や大商会の関係者であるにも関わらず、制服組に好意的な感情を抱いて下さる人が増えてきており、非常に学園内の空気が良くなっているのが最近の傾向なのだ。

 飲み物が届いて理事長が簡単な挨拶をする。


「本日は皆さんお疲れ様でした。皆さんのお力添えの甲斐あって生徒たちにケガ人もなく無事に遠足を行う事が出来ました。それでは、改めてお疲れ様でした、乾杯。」


「お疲れ様でしたー!カンパーイ!。」


 という事で働いた後のエールは最高ですな!


「お疲れ様でした。クルース先生の所はハイデル山でしたか。」


 話しかけてきたのは隣の席に座る大商会サイドの男性教師、ニーブル先生だ。

 デンバー商会とも馴染みのある大商会の次男だそうで、この学園に来る前から階級に寄らない商売の強みに感心があったようで、比較的早い段階から制服組とも積極的に関わってくれていた先生だ。


「ええ、ニーブル先生はどちらへ?。」


「うちは、ライマークの街で史跡巡りでした。生徒たちに前もってコース設定させるのが大変でしたよ。」


「ありゃー、それは大変だったでしょうねー。うちは登って降りる一本道でしたからね、そういう苦労はありませんでしたよ。しかし、よく何もトラブルが起きずに済みましたねえ。街中じゃあ、色々と目も行き届かないでしょうに。」


「いやー、それがですねー、風紀委員が頑張りましてね。チェックポイントを決めたり、班リーダーを決めたりと色々やっておりましたよ。私もこの学園に来るまで幾つかの学園で教師の経験はありましたけど、こんなに自主的に生徒達が動く学園は初めてですよ。正直、驚いてますよ。」


「あー、確かにそうですね。私は教員経験はこの学園が初めてではありますけど、それでも生徒たちの積極性には驚かされますもんね。」


「あー、先生もですか!実は私もなんですよね。」


 ニーブル先生の隣りから話しかけてきたのは学園初期メンバーの女性、モイラ先生だ。

 身を乗り出して話すモイラ先生に、かなり密着されたニーブル先生はドギマギしている。


「モイラ先生もそう思いましたか?。」


「はい、私もこの学園が教師としての初学園なのですが、学生経験はありますからね。自分の学生時代と比べても、やっぱり違うなあと思いますよ。これが今時の若者なのかなーって。」


「なにをおっしゃられる、モイラ先生も十分お若いではありませんか。それに、今の若者がというのは違うと思いますよ、私は他の学園も見てますからね。」


「やだ、ニーブル先生!若いだなんてー!。」


 ニーブル先生をパシパシ叩くモイラ先生、すでに酔っぱらってるの?それとも、天然でこんな?

 まあ、飲み会ってのはこうじゃなくっちゃね。

 適当にアルコールが入って場が和み始める。

 自然と声が大きくなったり、身振り手振りが大きくなったり、気が大きくなったり。

 まあ、酔っぱらってきたって事だね。

 アルスちゃんはニコニコしながら、隣りの初老男性教師となにやら話しているし、シエンちゃんは猛烈に肉を食べながら両隣の教師たちから何やら話しかけられて、受け答えしている様子。

 キーケちゃんは理事長やフレーナさん達と何やら話しており、落ち着いた雰囲気を醸し出しとりますわ。

 大人数での飲み会ってのは賑やかで良いね。

 こうして、みんなの具合を見ているのも楽しかったりするんだよね。

 ニーブル先生とモイラ先生が若者について熱く語っているのをツマミに、俺はエールをお代わりするのだった。


 そして翌日。

 お休みなんだよな、なにするかね。

 この休みの日の朝に、なにしてやろうか迷うのって楽しいもんだ。

 ちょいとキットに乗ってオッドウェイにでも行ってやろうかな。

 よし、決めた!

 と言う訳で馬小屋へ行く俺。


「あら、トモトモ、おはようございます。今日はどこかへお出かけですか?」


「おはようアルスちゃん。早起きだねー。キットに乗ってオッドウェイにでも行ってみようかなーってね。」


「あら、楽しそうです事。」


「アルスちゃんは?今日はなにか予定あるの?。」


「いいえ、特にはないですよ。」


「じゃあ、暇だったら一緒にオッドウェイに行く?。」


「あら、ご一緒してもよろしいんですか?。」


「うん、じゃあ行こうよ。」


「あら、嬉しい。」


 てな具合でアルスちゃんと一緒にオッドウェイに行く事になりました。

 アルスちゃんとふたりで行動するのって、そう言えばあんまりないかも。


「うふふ、キットちゃんに乗らせてもらうのは入学式以来になりますねえ。」


「そうなるねえ。よーしよしよし、キット。今日はオッドウェイに行くぞ。アルスちゃんも一緒だから頼むな。」


 俺はキットの首筋をなでて語りかけた。

 キットは嬉しそうに鼻を鳴らし軽く首を振った。


「よしよし、キットも嬉しそうだ。じゃあ、出発しますか。」


「はい、行きましょう。」


 そうして俺たちはオッドウェイに向かって馬を走らせたのだった。

 チルデイマからオッドウェイは本当にすぐだ。

 すぐなのだが、それは領地の話で市街地までとなるとちょっとした距離はある。

 まあ、ちょっとした距離とは言ってもキットの脚なら1時間もかからないけどね。

 のんびりとしたオッドウェイの田園地帯を抜け、俺とアルスちゃんはキットを進める。

 牧歌的な風景の中を馬で移動するってのは、実に良いものだ。

 馬の目線の高さってのもあるんだろうけど、しっくりくる感じがするんだよね。

 これ、馬車とも違うんだよね。

 風を体で感じて、空気の匂いや熱も味わいながら進むのって好きなんだよね。

 木陰や川の流れの涼しさとか、思っている以上だったりするからね。

 そんな話しをしながら馬を走らせていると前方に街が見えてくる。

 オッドウェイの市街地だ。

 以前に来た時はゴゼファード公の依頼でだったからね。

 今日はゆっくりと観光を楽しむとしようじゃないの。

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