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裏切られ続けた令嬢は、これが最後であることを願う  作者: Kouei


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第1話 最初の裏切り


『二度あることは三度ある』



 意味は、同じような事が繰り返されるから警戒しなさいという意味らしい。

 注意喚起の言葉みたいね。


 図書館で偶然見つけた『ことわざ辞典』

 最近、東の国の文化に興味を持ち、関連書籍を探していたらこの本に出会った。

 短い文の中に深い意味が込められている言葉に興味が湧いた。


 まさかこの先、それを身をもって体験する事になろうとは、夢にも思わなかった。




 ◇




 私はカルミア・フォルケン

 伯爵家の長女。

 お母様譲りの銀髪に紫の瞳。


 ()()()の婚約者は幼馴染だった。


 ディル・ラグア


 伯爵家の嫡男だ。

 金髪碧眼で天使のような風貌だ。

 

 婚約したのはお互いが8歳になった時。



『ぼくはカルミアをおよめさんにしたいです』

『じゃあやくそくね、ディル』

『『大好き』』



 そんな私たちの無邪気な様子を見た両親が、婚約を取り決めたのだ。

 政略ありきの貴族社会で、純粋に決まった婚約だった。


 それから9年。

 高等学院(アカデミー)を卒業後、挙式を執り行う事になっていた。


 幼い頃の約束が、当たり前に叶う。


 そう思っていたのに―――――……



 夏休みが終わり、新しい学期が始まった。

 そのタイミングで交換留学生が2年生になった私たちのクラスに編入してきた。


 プラリア・コートン

 

 カールされたやわらかそうなパールピンクの髪と同じ色の瞳。

 そんな可愛らしい風貌が、男子生徒たちの注目を浴びた。


 最初、ディルは全く興味を示していなかった。

 けれど、彼女が隣の席になった事で、関わる事が多くなっていく。


 彼女に時間を使えば、私との時間が減る。


 そんな当たり前の事にディルは気付かなかったのだろうか。


 二人が楽しそうにしている姿を見て、私がどんな気持ちになるかなんて考えもしなかったのだろうか…


「いいのか? ディルに何も言わなくても」


 同級生(クラスメイト)のマクトル・シガーが声をかけてきた。


「一度言った事があるわ、婚約者がいるのに他の女性と親しくするのはよくないって…そしたら…」


「そしたら?」


「嫉妬はみっともないって。ご両親と離れ、新しい場所で慣れない生活をしている同級生(クラスメイト)に親切にする心もないのかって……私の言葉を聞く耳はないみたい。今は放っておくしかないわ…」


「カルミア…」


 マクトルが心配そうな顔をする。


「私は大丈夫、気にかけてくれてありがとう」


 マクトルにお礼を言うと、私は教室を出た。

 プラリアと楽しそうにしているディルを見たくなかったからだ。


 大丈夫、同級生(クラスメイト)として接しているだけ。

 私たちには9年間、積み重ねて来た時間がある。


 お互いに相思相愛で結ばれた婚約だった…はずなのに…





「すまない、カルミア。僕はプラリアを愛してしまった」


 は……?

 

 放課後、人気のない学院の裏庭にディルに呼び出された。

 久しぶりに会えると思って来てみたら、プラリアもいた。


 “なぜ彼女が?”


 そう思った瞬間、ディルに言われた言葉。


「そして彼女のお腹には僕との子供が宿っているんだ」


 はあ!?


 彼女とそんな関係だったの!?!?

 寝耳に水とはこのことだ!!


「だから婚約を破棄してもらえないか?」



 !!!ブッチ———————ン!!!



「ふざけないでよ!!」


 私は今まで彼に放置され、鬱積していた感情が爆発した。



 ドッコオオオオオオ!!!



「がふんっ!」


 手にしていた鞄を渾身の力を込めて、ディルの横っ面に叩きつけた。

 勢い余ったディルは顏から地面へ落下。


「婚約破棄?! どの面下げて言ってんのよ!! なんでそっちから婚約破棄を突き付けられなければならないわけ?! それはこっちのセリフよ!」


「カ、カルミア…ッ」


 ディルは鼻血を垂らしながら、殴られた頬を押さえている。


「ディル! しっかりして! あ、あなた、なんてひどい事を…っ」


 そんなディルに寄り添うプラリア。

 

 ひどい事?

 私が悪者!?


 私、いったい何を見せられているの!?


 

「ひどい事をしたのはそっちでしょ! ディルはもとより、あなたにも慰謝料を請求するから覚悟しておく事ね!」


 呆然としているディルと喚いているプラリアを無視して、急いで帰宅した。


 屋敷に入るとすぐに、父の元へ直行。

 母もいたのでちょうど良かった。


 私は今までのいきさつを、時系列に沿って父に話した。

 

 交換留学生のプラリアが来てからディルとの交流が無くなった事。

 ディルがいつもプラリアと一緒に過ごしていた事。

 ディルがプラリアと不貞を犯した事。

 その相手が妊娠した事。

 そしてディルから婚約破棄の申し出があった事。


 全て伝えた。

 

 私とディルは幼い頃から両家とも親密に付き合っていた。

 それ故に両親の怒りは筆舌に尽くし(がた)い。

 そして、その後の父の行動は早かった。

 

 弁護士を伴って、ラグア家へ行くとディルの有責による婚約破棄およびラグア家との絶縁を突き付けた。

 

 父の話を聞いたディルのご両親は顔面蒼白になりながら、ディルをこっぴどく叱責。父には平身低頭状態だったらしい。


 その足で父は、プラリア・コートンの後見人宅へと(おもむ)き、状況を説明し慰謝料を請求。

 預かっていたプラリアの不貞を聞かされた後見人である男爵家当主は愕然としていたそうだ。

 

 後日、後見人から連絡を受けたプラリアの父親であるコートン子爵が当家を訪れ、謝罪とともに慰謝料を支払った。


 だが、何分(なにぶん)プラリアが妊娠してしまっていたため、私たちが婚約破棄した後、ディルはプラリアと婚姻したようだ。 


 そして世間の目を考え、二人は高等学院(アカデミー)を辞めた。



 だが実は、この話には続きがあった。



 その後、プラリアは男の子を出産。

 ところが、子供を見たラグア家の人間は一同驚愕したらしい。


 瞳は母親と同じ色だが、髪が黒だったのだ。


 金髪碧眼のディルとは似ても似つかない。

 家系を遡っても黒髪の子供が産まれた記録はひとつもなかった。

 実はプラリアは複数の男性と関係を持っており、子供の父親はその一人と言う事が分かった。


 当然、ラグア家はコートン家へ離縁及び慰謝料を請求するが、むこうは、籍を入れた後に生まれた子供だから、別れるのなら成人するまで養育費を払えと訴えているらしい。

 まさに泥沼状態。

 

 その話を人伝に聞いた時、いい気味と思ったのは薄情かしら?

 でも最初に私を裏切ったのはあっちだもの。

 まさに因果応報よ。


「ばっっっかじゃないの!? 別の男の子供を身籠っている女と…結婚する…なんて…っ」


 もう流す涙は残っていないと思っていたのに、それは止めどなく頬を伝った。


 そんな男にだらしない女に私とディルの9年は負けたのだ。

 そんな女にディルはいとも簡単に心変わりしたのだ…


 幼い頃から一番近くにいて、共に過ごしてきた時間は何だったのだろうか。

 やりきれない思いが、胸の中に広がった。

 

 彩られた彼との想い出は、全ての色を失った―――――



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― 新着の感想 ―
えええ… 貴族なのに、素行調査もなしに結婚させちゃったの? そもそもが、「婚約者がいる男と関係持って妊娠した」って 貞操観念と倫理観がゼロな人物だってのは分かってるんだから 他の男と関係を持ってない…
ちょっwww 留学生女の親が斜め上すぎる
托卵を受け入れろとは、さすがビッチの親だ。コートン家マジキチ過ぎる…。 まぁ浮気男ざまぁ。
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