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一見無能ですが、異世界征服しちゃいます  作者: 葛葉龍玄


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始めて魔人と戦います

 俺たちは主に俺のレベル上げをしながら、魔都マギロスを目指すことにした。

 魔獣は基本的には俺が倒す、手に負えない魔獣は魔法の使えるシェルティか、剣も魔法もいけるウェスティアさんが倒す、という流れもできた。

「どうよ、俺もやる様になったっしょ!」

「道場の素人剣法が実践少しつけた程度ですね」

「……。さいですか……」

「まぁ、一番最初に辿り着いたのが私の所だったのは運がよかったんじゃないですか? 私は才能のある者にさらなる力を授けるのが本来の役目ですから」

「そのウェスティアさんでも、俺がなんの才能があるのか検討がつかないと」

「皆目わかりません。むしろ才能なんてないのでは?」

 酷い! あんまりな言い方だ!

「なーんかきな臭い感じがするわね、この辺」

「このあたりは小さな魔脈があるので、魔獣が少し強くなるのと、魔脈を中心に盗賊などがいるかも知れません」

「さっきから話題に出てるけど、魔脈ってなに?」

 魔力に関することなんだろうけど、いまいちわからない。

「失礼。魔脈と言うのは、魔力が泉のように湧き出る場所のことを指します」

 その魔脈を餌場にしてる魔獣は魔力が高く、また魔力も簡単に補充できるらしい。

「だから、アタシみたいな魔法使いは魔脈から魔力を回復して、魔法の上限回数無しに使いたい放題。しかも魔力が尽きてても回復できんの」

 シェルティが補足してくれる。

「この魔脈は世界中の地下を木の根のように張っていて、魔力の流れが悪くなると、爆発して辺りに高濃度の魔力を放ちます。それをしっかり管理しとかないと、天災がおこります」

「それを管理してたのがウェスティアさんな訳か」

「そうです。しかし、私のその能力もあの魔剣に吸われ、私は普通の魔族よりちょっと魔力と身体能力に優れた人にしかすぎません」

「なんか色々すみません……」

「私もあの魔剣があんな所にあるとは知らなかったので仕方ないでしょう。それを一発で見抜いたのは才能かもしれませんね」

 鑑定が才能ってこと? しかも運で? それで世界が救われるのか。

「この辺りは盗賊の根城になってる可能性があります。早めに野営の準備をして、交代で寝ずの番をしましょう」

 ということで、今日は訓練もそこそこに野営に入る。

 しばらくはこのルーティンになりそうだ。


 野営で交代制の徹夜をするようになってから丸3日。

「待って下さい、この先に複数人の気配があります」

 ウェスティアさんの言うとおりなら、魔獣ではなく魔人とのこと。

「白昼堂々なんて、舐めてるの?」

 シェルティーも魔導書を手に戦闘態勢に入る。

 僕も慌てて剣を出にするが、獣ならまだしも、人の姿をした者を切れるのか……。

 剣を持つ手がカタカタと震える。

「ヨーイチさんは後ろに。今のあなたを戦力として数えてはいません」

 とはいえ、自分の身くらい自分で守らないと……!

 草むらから5人の魔人が飛び出してきた。

「おぉ、別嬪さんが二人も居るじゃねぇか」

「後ろの男は剣だけはいい金になりそうだ」

 剣士が3人、魔法使いが二人。

 盗賊たちも僕のことは戦力として、みなしてないようだ。

 まず先に動いたのはウェスティアさん。

 細身のレイピアを手に、早くも一人の剣を叩き落とす。

「くっ!」

 返す剣で敵の身体に三つ穴を開ける。

「こ、殺したのか?」

「当たり前です! でなければ私たちが殺されます!」

「ストーンブラスト、礫!」

 こぶし大の尖った石が二人三人へと飛来する。

 しかし敵の防御魔法に弾かれる。

「ちっ。魔法使いをなんとかしないと!」

 シェルティーが使える魔法は残り3回。

 相手の魔法を防ぐことを考えるなら、攻撃に使えるのはあと一回。

「くそ、強えぞ、あの女!」

 剣士二人が標的をウェスティアさんからシェルティーに切り替える。

「しまっ!?」

 僕の身体が思わず動き出す。

「なっ!」

 相手の剣を、自身の剣で受け止める。

「うわっ!」

 受け止めた衝撃で体勢を崩す。

「やっぱりコイツは雑魚だ!」

 剣士二人は僕に向き直る。その隙に後ろに回り込んだウェスティアさんが剣士二人をまとめて突き殺す。

 俺は尻もちを着いた。

「あと魔法使い二人!」

 基本遠距離でしか戦えない魔法使い二人は、ウェスティアさんの手であっと言う間にやられてしまった。

「はぁ、はぁ!」

 体中が震えている。

「アナタにしてはよくやりましたね、ヨーイチさん」

「ありがとう、ヨーイチ」

 シェルティが俺の肩をバンバンと叩く。

「いてて」

 でも、盗賊団があの程度の数しかいない訳がない。

「5人も殺されては、盗賊団も黙ってはないでしょう」

「なら、こちらから先制攻撃するしかないわね」

 二人は頷き合うと、次の戦いに備えていた。


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