四大精霊
無事クエストを終え、大量の金貨を手に入れた俺たちは、一度魔都に戻り装備を整えることにした。
アレだけの魔の泉を占領できたため、作れる武具の質が桁違いに強くなり、生産効率もあがったらしい。
「俺は剣はこれがいいかな」
一度手に馴染んだというのもあるが、何より魔石を装備させる事のできる剣がまずない。
有ったとしても、この剣程の耐久性がなく、魔石を数回使うと壊れてしまうらしい。
「僕はちょっと調べたいことがあるから、みんなで買い物しててー」
と、カオスちゃんは自室に籠もってしまった。
「しかし、よくあんなデカい魔の泉を見つけてくれた。民もこれで益々良い暮らしができるようになるだろう」
魔都だけではなく、デウス王傘下の村々には魔高炉が置かれ、その大量の魔力の恩恵にあずかれるらしい。
「俺の作戦が運よくハマっただけだよ」
俺なんかやっちゃいました? みたいな!
「ヨーイチ殿は機転を聞かせるのがうまいからな」
俺がした土下座を、作戦だと思ってるデウス王。もしかしたら、本当のことに気づいてるかも知れないが。
「じゃあ、俺たちは装備を整えてくるよ」
「あぁ、夜には宴を開くゆえ、なるだけ早くな」
しかしこの王様は宴好きだ。
魔都でも、一般人が使えない武具屋。つまり、王家御用達の店に俺たちは案内された。
「まさかデウス王が、一般人にこの工房を案内させるとは思わなかったぞ」
偏屈そうなドワーフのじいさまがそう言いながら俺たちのなりを見る。
「ふむ、そこの人間のお前は武器はそれでいいんだな?」
「あぁ、手に馴染んだ物が良いんだ」
「まぁ、その剣も相当の代物だ。お前さんにはもったいないくらいだ」
うるさいよ。
「そちらのドラゴンのは刺突剣か。装備は身軽なのが良さそうだな。そっちの魔族のは魔法使いだから、鎧系ではなく、織物でいこう」
一目で俺たちの特徴を掴むと、テキパキと素材を集めてくる。
「まず人間の。お前も全身鎧は無理だが、少し重めの防具にするぞ。このセントライドという、宇宙から来たと言われる鉱石を使う」
そう言って見せられたのは見たこともない輝きを放つ不思議な鉱石だった。
「ドラゴンのは虹彩という素材を使用する」
「これは……! セントウェスティアにしかない素材じゃないですか!」
「物知りだな。知る人ぞ知る幻の鉱石だ。コイツでお前の剣と防具を作る」
セントライドといい、伝説レベルの素材を使って装備を作ってもらえるらしい。
「そして、そこの魔族の娘っ子は魔線鋼という、魔石の糸バージョンのような素材で、防具を作る。魔力を溜めて置けるから、魔法使いにはぴったりだろう。鞭もそれで作る」
あっと言う間に方向性が決まってしまった。
「いやぁ、すごいな。素人の俺でも鳥肌が立つような武具ばかりだったよ」
「そうですね。まさか虹彩まで出てくるとは、魔王御用達のだけありますね」
それほど珍しいのか。
「あのオッサン、ドレスとかのセンスも良かったし、アタシの装備も楽しみね」
新しい武具に思いを馳せ、すでにルンルンなシェルティ。
新しい装備ができたら、一度その効果を確かめてみよう。
さて、やることはやったところで、そろそろお城では宴の準備が終わった所だろう。
カオスちゃんの調べ物というのも気になるしな。
「おぉ、待ちくたびれたぞ、ヨーイチ殿」
堅苦しくない、私服で参加できるビュッフェスタイルにしてくれた。
「こういう所で顔を覚えてもらえると、のちのち良いことがありますよ。人の縁とは侮れません」
そう言ってウェスティアさんは色々な王侯貴族たちと積極的に話していた。
シェルティはひたすら美味いものを食べ続けていた。
俺は少し外の空気を吸おうと、バルコニーに出る。
「あ、お兄ちゃんいたー!」
そこへ現れたのはカオスちゃんだった。
「調べ物は終わった?」
「うん! お兄ちゃんのための調べ物ー」
「俺のための?」
「うん。お兄ちゃん、強くなりたいでしょ?」
そりゃあ、強くなれるなら強くなりたいさ。
でも、魔力も持たない普通の人間が、科学の力を使わないで強くなれるのか。
「この本を探してたんだー」
そこに書かれていたのは、四大精霊の源流、という本だ。
「四大精霊と契約すれば、あるいは強くなれるかも知れないよ!」
確かにゲームとかでも、精霊と契約して強くなる、というケースはあるな。
でも、この作者のもう一つのファンタジー小説も、精霊出てきたぞ。ネタ切れか?
「よし、やるだけやってみるか!」
「やったぁ! これでお兄ちゃんも、伝説レベルの戦士になれるよ!」
「そこまでなのか?」
「うん、この世界の事象を司る源流だからね! 聖山に住むドラゴンの次くらいにすごいんだから!」
スミマセン。その聖なるドラゴンの力を封印したのは俺です。
「じゃあ、装備が出来上がり次第、早速精霊契約の旅に出るか!」
「うん!」
装備が出来上がるまでの約一ヶ月。
俺はカオスちゃんやウェスティアさん、デウス王と特訓しながら過ごした。




