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一見無能ですが、異世界征服しちゃいます  作者: 葛葉龍玄


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死んじまっただ!?

「危ない!」

 落としたボールを追いかけて子供が車道に飛び出す。

 もちろんクラクションを鳴らすトラック付き。

 あまりにもお約束な展開に、笑いさえ込み上げてくる。

 誰だ、あんなテンプレ作ったのは!

 覚えているのは、とりあえず子供は助かったということだけだった。


 ………………。

 …………。

 ……。

 ここは……?

 真っ白な世界。

 雲の中に入ればこんな景色が広がるのかな?

 すると、上から神々しい光が降り注ぐ。

 眩しくて目を閉じると、誰かが現れる気配がした。

「木下裕二さん、よくぞ天命を全うされました」

 天使の様な羽を持つ綺麗な女性に話しかけられた。

 木下裕二?

 俺の名前は木下洋一なんだけど……。

「あの、俺洋一です」

「……。はい?」

「だから、俺は木下裕二じゃなくて、きのしたよういち!」

「……。少しお待ち下さい」

 天使は慌てた様子でタブレットを取り出すと、すごい勢いでスクロールし始めた。

 天使もタブレットとか使うのか、とか。もしかして人違いで殺された? とか思いながら待っていると。ビンゴ!

「間違えた」

 ボソリと天使が呟いた。

「マジかよ! 生き返らせて!?」

 子供を助けられたことは名誉に思おう。でもこの天使の手違いで殺されたとか洒落にならん!

「えーっと、生き返らせるとか、そういうサービスはちょっといたしておりません」

「サービスじゃないでしょ? そっちの手違いなんだから、当然でしょ!」

「一度死した者は二度と同じ人生を歩むことはできません。これは憲法16条にも記載されている決定事項です」

 あまりにも酷い仕打ち。

 間違えて天使に殺されて、しかも生き返れない!

 こんな理不尽な話しがあってたまるか!

「えぇ~と、とりあえず次生まれ変わる時も人間に生まれ変わらせてあげるので、それで我慢して下さい」

「え? 間違えた挙句に人間として生き返れない可能性まであったの?」

 馬鹿なの?

「とりあえず、記憶そのままに新しく人間に転生させてあげますので、今の知識を使って、無双しなさい」

 上から目線だな。

 しかも、高校生の知識なんてたかが知れてるぞ。

 下から数えたほうが早いレベルの学校なんだから。

「とりあえずこちらへどうぞ」

 グイグイと俺を押す天使。

「ちょ、待てよ! まだ納得してないからな!」

 光に包まれると、また見知らぬ場所に出た。


「ここは……」

 沢山の人(?)でごった返した役所みたいな場所に出た。

 ヒト、ウマ、イヌ、ネコ、ウーパールーパーなど。

 沢山の生き物の名前が書かれた札の前で不定形の物体が列をなしている。

「とりあえず、この番号札を持って、『人間』の看板があるところへ急ぎましょう」

 天使は何やら慌てている。

「みんな並んでるんだろ? そんな急がなくていいよ」

「駄目です! 見つかります!」

 見つかる? 誰に見つかるんだ?

「来世はウーパールーパーじゃ駄目ですか?」

「いいわけないだろ!」

 記憶を持ったままウーパールーパーで、どう無双すんだよ!

「順番繰り上げて、早く人間に生まれ変わらせてあげますから!!」

「シェルティエラ!!」

 突如後ろから怒鳴り声が聞こえた。

 シェルティエラと呼ばれた天使はビクッ! と身体をすくませると、後ろを振り向く。

 僕もつられて同じ方を向くと、そこにはシェルティエラより沢山の羽がついた偉そうな天使が立っていた。

 天使の階級は羽の数で決まるのかしら? なんて呑気なことを考えていたら、偉そうな天使はシェルティエラの首根っこをとっ捕まえて、どこかへ連れ去ろうとしている。

「あの、僕は〜?」

 置いてけぼりである。

 偉そうな天使も忘れてた、という感じで僕に向き直る。

「洋一さん、アナタも一緒に来て下さい。もしかしたら、生き返ることができるかも知れません」

 お、マジか。憲法16条とかいうのは何だったんだよ。

「これから神に会いに行きます」


 神!

 神!?

 神様に会えるの!?

 なんかすごいことになったぞ!

 天まで届くような大きな扉を開け、いかにもな祭壇がある場所に出る。

「シェルティエラよ!」

 威厳を放つ、恐らく神様がシェルティエラをおもいきり叱り飛ばす。

「お前の不手際はこれで何度目だ!」

 え、コイツそんなにやらかしてるの? 天使辞めさせれば?

「しかも今回は隠蔽までしようとして! 今回ばかりは許されんぞ!!」

「い、いえ。コレには山よりも低く、海よりも浅い訳がありまして……」

 言い訳下手くそかよ。

 しかし隠蔽かぁ。だから急いで僕を人間に転生させようとしてたんだな。

 そりゃ神様も怒るわ。

「すまなかったな、温水洋一よ」

「木下洋一です」

 誰が温水だ。てか、温水洋一さん覚えてる層いるのかよ。

「シェルティエラの不手際で死んでしまったようだな。お主の望み通り、生き返らせてやろう」

「本当ですか!!」

「神は嘘はつかん」

 やった! 神、最高!神かかってる!

 でも、今の知識を持ったまま赤子から、ってのもありかも。

「そしてシェルティエラ。お前は向こう100年天使の資格を剥奪する!」

「そんなぁ! そこをなんとか、神様仏様!」

 相手が神だっつーの。しかも天使なのに仏様って。

「ならん! しばらくは人として徳を積んで参れ!」

 諦めたのか、肩を落とすシェルティエラ。

 天使でも降格とかあるんだなぁ。まぁ、完全に自業自得だけど。

「うちの馬鹿天使が迷惑をかけたな」

「いえ。生き返らせてもらえるなら、万事OKです」

 子供も助かったし良しとしよう。

「というわけで、目を閉じよ、木下藤吉郎」

 洋一だって。

 とりあえず神様の言う通り目を閉じた。

「目を開けたらお前は元の世界に戻っているだろう」

 意識が朦朧とし始める。

 コレで元鞘だ。

 そうして俺は意識を手放した。







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