21 側妃の死(シャリア視点)
「衛兵! その者を拘束しろ。護衛は陛下の周りを取り囲み、安全を確保するんだ」
「はっ!」
宰相の怒号が飛び、騎士や衛兵たちが動いているが視界の端に見える。
謁見室は騒然となっていた。私はというと、どうやらエリオット様に抱えられている状態のようだ。エリオット様が必死に私の腹部に手を当てている。
「シャリア! 大丈夫か、今医者を呼ぶ」
「エリオット様、お怪我はありませんか」
「ああ、俺は大丈夫だ。君が庇ってくれたおかげだ。それよりもシャリア、出血が酷い」
私はエリオット様に抱えられたまま咳をすると、その勢いで血を吐いた。
「エリ、オット様、私は、もう……」
「だめだ。君は死んではいけない。まだ君にはやることがあるだろう」
「エリオット様、これは貸しですよ」
「ああ、そうだな。返さないといけない。だからシャリア、死ぬな。死ぬんじゃない」
段々と意識が遠のいていくのが分かる。
何か、何か最後に言うことはあった、か、しら……。
そこで私の意識はなくなったようだ。
―――〇
私は陛下を庇って死んだのか。
また目覚めの悪い夢だったわね。
でも助かったわ。
封印が解けるように死んだと同時に過去の全ての記憶を思い出したもの。
私は気怠い身体を起こし、頭を掻いた。
もし、これが本当ならエリオット様、はあの後大変だったはずだ。
ふふっ。もし、この夢がこれが本当だったなら私はエリオット様に貸しを作っている状態ね!
あれから自分でもメルロワード国のことを調べてみたけど、やはり私の記憶とは相違はないみたい。多少脚色された部分もあったけどね。
これは是非使いたい記憶よね。
誰にも黙っておかないと。
それにしてもエリオット様を刺そうとしたのは誰だったのかしら。私は顔を見たはずだけれど、全く覚えていない。
きっとこの件についてはエリオット様が解決してくれているはずよね。
私は深く考えるのを放棄し、アーシャに着替えを手伝ってもらい、この日ものんびりと利き茶をして遊んだ。




