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男爵令嬢の記憶が交差する  作者: まるねこ


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19/35

19 呆れる兄

 ……確か側妃の執務室に入っていたものはブランジェク伯爵家に関する権利書関係の書類だったわ。


 王宮内に敵が潜り込んでいたから書類は私が持っていたのよね。


 もし、彼の借金を帳消しにする可能性があるとするのならあの国に取りに行くしか道はないのかもしれない。


「おはようございます、お嬢様。いかがされましたか?」


 いつものようにカーテンを開け、窓を開きながら聞いてきた。


「アーシャ、船は好き?」

「えっ? 見る分には好きですが……」

「なら大丈夫ね! お兄様のところへ行ってくるわ」


 私はアーシャの用意したワンピースに着替え、そのまま兄の仕事部屋へと向かった。


「ラルド兄様!」

「ん? フラン、おはよう。どうした? こんな朝早くに」

「船を借りたいのです」

「は?」


 兄は「妹がまた変なことを言い出したぞ」と、いぶかしげな顔をしている。


「今度はなんだ?」

「メルロワード国にちょっと書類を取りにいきたいの」

「……ちょっとという距離じゃないだろ。それに書類ってなんだ? 取り寄せたらいいじゃないか」


「いえ、私が行かなければいけないものなのよ」

「さっぱりわけが分からない。まあ、とりあえず詳しい話を聞くからお前たちしばらく俺は席を外す」

「畏まりました」


 朝から仕事をしていた人たちはそのまま仕事を続け、兄は私と別の部屋に入った。


「で、なんだ突然。また夢を見たのか?」

「ええ、ラルド兄様。ブラジェク伯爵の借金を帳消しにする書類があるの」

「そんな都合のいい話はないだろ。もしそんな書類があるならなぜ向こうの国は今まで黙っていたんだ?」


「ブラジェク伯爵はメルロワード国の港や街の開発に多額のお金を支援していた。ブラジェク伯爵を斬ったのは、薬物で判断が鈍っていたキルディッド陛下。


 その薬を用意していたのがメルロワード国のウェルタ侯爵よ。王妃のアルティディア様も侯爵家が用意した毒のナイフで刺されていたわ。


 ここからはまだはっきりとはしていないんだけど、ウェルタ侯爵と手を結んでいたエフィン公爵なの。しかもイェシュティア国からの使者はエフィン公爵だった。


 エフィン公爵はイェシュティア国が怒っているような内容が書かれた親書を持ってきていた。メルロワード国からは何も言えない状況だったのよ」


「はっ。もしそれが本当だとしたら一大事じゃないか。だが、夢なんだろう? 壮大な夢が過ぎるな」

「ラルド兄様、私、夢かどうか確かめるためにメルロワード国に向かうわ。だってあんなに現実味のある夢を夢だなんて思えないもの」


「うちは金貸しだ。妹の『夢で見た』に金を賭けるほどお人よしじゃない。諦めるんだな」

「ジャロの実……」

「なんだ? ジャロの実って」


「今、メルロワード国内で流通が始まったばかりの果実の一つなの。それは高級薬と言われる薬に必ず入っている果物でとっても高価なものなの。それがブラジェク伯爵家で独占販売できる可能性があるとしたら?」


 私がそう言うと、兄の中で算盤がカタカタと動いているようだ。


「だがな、父にどう話をするつもりだ? もし、夢の話が本当なのだとしたら出国理由を『ブラジェク伯爵家の書類を取りにいく』と書いてみろ。それこそエフィン公爵家に殺されるだろう。


 それに国外に出るにも手続きが必要だし、貿易に関わるとなればメルロワード国の城へ行って謁見の手続きやらなんやらをしなければいけないんだぞ? 時間が掛かる」


「大丈夫、なんとかなるわ!」

「……なんともならないだろ」


 兄は呆れたように息を吐いた。

「まず、私もお父様に話をして動けるところから動いてみるわ」

「まあ、なんだ。頑張れよ」


 なんだかんだとラルド兄さんは国に出国の手続きする方法などを教えてくれた。


 父にも話をし、伯爵家の借金はエフィン公爵家によるのものだという証明を取りに行きたいと説明したの。やはり父も渋い顔をしていた。


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