Episode:04
「いや、そういう意味じゃなくて……ともかく任務で、年齢的にルーフェイアくらいの子がいるんだ」
「そうなんですか?」
ようやく話が見えてきた。頭の中で整理してみる。
シルファ先輩が学院から何か依頼を受けたのは、間違いなさそうだ。そしてその任務にはどうやら、子供?が必要らしい。
それでシルファ先輩、あたしに話を振ってきたんだろう。もしかするとタシュア先輩が、名前を挙げたのかもしれない。
「嫌なら、ムリにとは言わない。他をあたるから」
「いいえ、かまいません」
シルファ先輩から頼まれて、断る理由なんてない。
「――すまない。きっとお礼はするから」
「あ、じゃぁ、あの、ケーキが」
つい、そう答える。でも以前食べた先輩の手作りケーキ、そのくらいおいしかった。
「なんだ、そんなものでいいのか?」
「はい。先輩のケーキ、とっても……おいしいです」
「おやおや、欲のないこと」
タシュア先輩は呆れてるみたいだけど、あたしはお金よりもこっちのほうがいい。また食べられるかと思うと嬉しくなる。
「どんなケーキがいいんだ?」
「えっと、あたし、よく知らなくて……。でも、白いのがいいです」
「白いの……生クリームか?」
「え? ケーキって生なんですか?」
あれ?
先輩たちが沈黙しちゃった……??
「えぇと……ケーキが生なんじゃなくて、クリームが生なんだ」
しばらく間を置いて、そうシルファ先輩が言う。
「生で食べて、平気なんですか?」
おなか壊さないんだろうか?
――?
なんかシルファ先輩、引き攣ってるような?
それにタシュア先輩、露骨にまなざしが冷たい……??
そして銀髪の先輩は一言。
「どうやら学院では、一般常識も教える必要があるみたいですね」
「……す、すみません」
どうもあたし、世間一般からかけはなてれるらしい。
もちろんこれじゃいけないと思って、いちおう勉強?はしてる。けど世間って奥が深くて、なかなか覚えられないでいた。
やっぱりあたしあのまま、戦場にいたほうが良かったんだろうか?
ため息が出る。
「――まぁ、少しづつ覚えれば大丈夫だろう。私も教えるから。
ところで詳細を少し詰めたいから……場所を、移動したいんだが」
「あ、はい」
シルファ先輩に慰められながら、あたしは一緒に食堂を出た。