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Episode:24

「……やれやれ。わがままな殿下だな」

 今度はシルファ先輩、声に出す。

「いくら気に入ったからといって、延長はやりすぎだろうに」

「そうなんですか?」

 最初はあんなに険悪だったことを思うと、気に入ったっていうのはけっこう意外だ。


「でも……シエラの傭兵隊を気に入ったなら、その、いいんじゃ……ないですか?」

 そう言ったらシルファ先輩、さっき殿下にしてた表情を、あたしに向けた。何かまずかったらしい。

「えっと、あの……すみません」

 慌てて謝ると、シルファ先輩が微笑んだ。


「いや、別にいいんだ。

 それにしても延長となると、だいぶ様子が変わってくるな」

「そうですね……」

 建国祭の前までっていう話だから、その後のことはあたしたちは、一切考えてない。

 けどもし延長されるなら、スケジュールはもちろん警護のやり方も、かなり変わってくるだろう。


「建国祭だから……通常とは、違いますよね?」

「ああ」

 答えながら、シルファ先輩がポケットから、何かの紙を取り出した。

「――式典と、それに付随する晩餐会や何かの連続だな」

 思ったとおり、大変なことになりそうだ。


「中止は……ない、ですよね」

「無理だろうな。この国の面子にかけても、予定通りやるだろう」

 やっぱり、と思う。

 何しろこのアヴァン、歴史の古い国で、その分プライドも高い。それがテロ情報で怖気づいたら、沽券に関わるってとこなんだろう。


「シエラの派遣隊に、いちおう伝えてくる。延長の可能性がある以上、情報だけは入れておかないと。

 ルーフェイアは先に、部屋に戻ってるといい」

「あ、はい」

 言われて戻りかけて、でもあたしは立ち止まった。


「どうした?」

「いえ、あの、ちょっと……」

 もし建国祭の間もとなると、いろいろ準備が要るんじゃないだろうか、そう思ったのだ。


「派遣が伸びたとして……あの、例えば服装とか……どうなりますか?」

「服装? あ、そうか」

 シルファ先輩が、スケジュール表を見ながら考え込んだ。

「この日程で殿下に付くと、最悪……正装が要るな。学院かどこかに、頼まないと」

 口ではそういいながら先輩、難しい顔だ。





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