Episode:21
「――ルーフェイア」
けどわいわいやってるあたしたちの間に、シルファ先輩の厳しい声が割って入った。
「ひとつだけ、約束して欲しい。二度とこんなことは……するんじゃない」
ルーフェイアが、きょとんとした表情になる。
「何か、問題が……?」
「何か、じゃないだろう!」
シルファ先輩が声を荒げて、あたしたち思わず身をすくめた。
「失敗したら、どうするつもりだったんだ!」
「え、でも、その可能性あったら、やらないです……」
ようするに、ぜったい間違いないって判断したからやった、ってことみたい。その辺はさすが、少年兵あがりなだけあるかも。
けどシルファ先輩は、納得しなかった。
「それでもダメだ! 自分の身を、危険に晒すんじゃない!」
「――危険?」
なんだか話が噛み合ってない。それに先輩、かなり怒ってる。
「おまえたち、私の前で何をやっている」
さえぎったのは、殿下。
ヤなヤツだけどこのときだけは、殿下ナイス、って思ったり。やり取りが止まったもの。
「任務で来ていて、仲間割れをしているようでは困る。
それにそちらの……ルーフェイアと言ったか? 彼女がやったことは、仕事としては上出来だと思うがな」
シルファ先輩が答えに詰まる。
あたしたちのやることって、この殿下を守ること。その中には、殿下が危険なときには、自分が身代わりになることも入ってる。
――進んでやりたくはないけど。
だから、状況見て被害を最小限にしたルーフェイアは、間違ってないわけで……。
というか、よく考えたら殿下、ルーフェイアのことかばってる? 彼女のことだけ、名前覚えてるあたりも、アヤシイし。
そんなこと思ってたらドアが開いて、帰る用意が出来たって言われたの。なんでもダミーの車を出して、そのあとふつうっぽい車で、殿下帰るみたい。
「ルーフェイア、だったな。いっしょに来てくれ」
あたしたち、顔を見合わせた。これってやっぱり……。
「あの、殿下! あたしは……」
ルーフェイアが反論しかけたけど、殿下ったら聞く耳持たず。
「おまえは私の、ガードに雇われたのだろう? 職務放棄か?」
「いえ……」
なんか可哀想だけど、こういうふうに言われちゃったら、従うしかなかった。
「ルーフェイア、いっしょに行ってくれ」
「――はい」
仕方なく、って感じでルーフェイアがうなずく。
「何かされたら、ちゃんと言うんだぞ。契約外だ」
シルファ先輩、ハッキリ言いすぎ。
もっともルーフェイアのほうは、意味がわかんなかったみたいで、首かしげてるだけなんだけど。
「おまえたち、少しは口を慎め」
「あ……」
とりあえずこの日は、そのまま屋敷に戻って、エンドになった。