昼_講義室
「……あ〜、なんとなく予想はしてましたよ、なんとなくね」
大急ぎで昼食を掻き込み、校内中を走り回って。約束の時間ギリギリに講義室へ戻った碧流の目に入ったのは。
先ほどと全く同じ姿勢で目を伏せている、朱真と青華の姿、だけだった。
ちゃんと最善を尽くしたのかは、もうあえて聞くまい。あとはこの戦力で戦うのみだ。
「で、そいつらは使えるのか?」
碧流の後ろに目を向けて、自分を棚に上げた質問をする朱真。
態度はともかく、問われた碧流からしても当然の疑問だとは思う。
そして正直、自信を持って頷けはしない。
「うっさい! しゃべんな! あんな美味しいお昼ごはんを隠してたヤツは死ね!!」
いきなり噛みついたのは、そこで拾った紅兎。なぜか朱真に敵意丸出し。
「自信はないですけど、精一杯がんばります!」
胸の前で両手を握る、昨日の謝礼代わりに借りてきた雪祈。
「使えるのか、って聞かれても、私もなんで来たのかよくわかってないんだけど」
そして、小首を傾げる紫絡。
以上、三名。
この総勢六名、東西南北に孔族と流族まで加えたバラエティだけは豊かな陣容で、央香国軍皇太子隊の精鋭を相手にする、しかない。使えるとか使えないとかではなく。やるしかないんだ。ははは。
「目標は、何?」
一通り、三名を見回してから、青華が口を開いた。
目標。それはもちろん勝つことだけど、彼女が言っているのは、きっとそういう意味ではなく。
朱真がニヤリと笑う。
「模擬戦とはいえ戦だ。なら、勝てばいい。せっかく、ルールまで決めてくれたんだしな」
いい勝負なんて望まない、ということか。騙し討ちでも、反則勝ちでも、勝ちは勝ちだ。
青華も一つ頷いて。
「なら、なんとかなる、か」
青い瞳で、碧流を見た。
碧流は、やっぱり頷くしかなかった。




