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泰皇国立皇統学院記 〜 一年目 夏 〜  作者: 都月 敬
3 日目
15/17

朝_講義室


 ――――で。


「なんで僕がここにいるんです?」


 うやむやに終了した剣術講義の後、次の講義へ向かおうとしていた碧流は、なぜか朱真に首根っこをつかまれて、とある空き講義室へと連れ込まれていた。途中、片手でぶら下げられたのは、忘れたい思い出だ。


「お前もあそこにいただろうが」


 回答はシンプル。

 いただけで、皇太子と戦う軍隊に入れられてしまうのか。


 講義室に集まったのは、朱真と碧流、それに青華。

 そして朱真の第一声が、作戦会議、だった。

 しかし、碧流が戦力に数えられるかどうかは、二人とも充分に知っているはず。

 人数が十名と定められている以上、精鋭をもって臨むべき、ではあるが。


「そもそも、オレには集められるような仲間がおらん」


 いや、そこに胸を張られても。

 助けを求めて、青華の方へ目をやるが。


「私も、そこを期待されると弱い」


 武人は頼りなげに目を伏せる。

 あんたがた、腕っ節だけなんかい。


 もちろん碧流には知り合いすらほとんどいない。なにせまだ三日目だ。

 碧流は再度朱真に目を向けて。


「南須国の知り合いとかいないんですか?」

「いないことはないが、オレが声を掛けて、動くようなヤツはおらん」


 だから、そこで胸を張らないで、公子。

 同じく、青華へ目を向けても。


「皇太子を相手取りたい者に心当たりはない」


 擦り寄りたい相手を殴ってどうする、ということか。

 ここで良いところを見せれば皇太子の目にも止まってあわよくば、、、なんて考えもできなくはないが、分の悪い賭けであることは間違いなく、そこに引きずりこむ話術を青華に求めるのは酷に過ぎる。

 考えれば考えるほど、ますます望みは薄くなっていくが、さすがに三人では戦えないわけで。


「とにかく、このままでは作戦も何もありません。それぞれが出来る限り人を集めて、昼休み終了前にまたここに集まりましょう」


 目を伏せたままの二人が、頷いたものだと信じて。

 碧流は講義室を後にした。自分も出来る限りのことをしなければならない。

 なぜ、碧流が一番一生懸命に動いているのか、それは考えないようにしながら。


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