観覧の合間に
「きゃっ! あ、あわわっ! や、だ、ダメ……! ひゃああっ! ひぇっ……!」
「……キリカ、落ち着いて。大丈夫よ」
「はは、キリカにはちょっと刺激が強かったかな」
騎士様方の息をつかせぬ激しい剣劇が繰り返し繰り広げられる試合を観戦しながら、その攻防がきわどい場面になる度に私は奇声を発してしまっていた。
そんな私を、お父さんとお母さんは苦笑しながら宥める。
「うぅ、ご、ごめんなさい……」
二人の顔を見て、私は半ば立ち上がりかけていた腰をおろし、椅子にきちんと座り直した。
それとほぼ同時に部屋の扉からノックの音が響き、次いでそれが開かれると、一人の男性が入ってきた。
「失礼致します」
「あ……さっき、試合開始前に挨拶をしてた……?」
「はい。大神官のイシュリーンと申します。神子様、我が神殿騎士達の試合はいかがですかな?」
「あ……は、はい、えっと……す、凄いです……。皆様とても、お強そうですし……」
「はい、皆、日々訓練に励んでおりますからな。特に、神子様の護衛選定の為の試合が行われる事が決定してからは、気合いの入りようが違いました。皆、神子様の護衛にと強く望んでおります」
「そ、そう、ですか……」
その、強く望んで頑張った結果が私みたいなのの護衛じゃあ……うぅ、申し訳ないなぁ……。
「……時に神子様。これまで試合をご覧になった中で、お目に止まった騎士はおりますかな? 騎士は皆優秀ですが、全員を神子様の護衛にするわけには参りませんですからな」
「え、お、お目に? えぇっと……そうですね……? ……あっ、あの、小柄な騎士様! 一人、小柄な騎士様いましたよね? 栗色の髪の! あの騎士様、小柄なのに他の、背の高い騎士様とも対等に渡り合っていて、凄かったです!」
「……栗色の髪の、小柄な……ああ、ログミルドですな。ダグロス・ログミルド。彼はまだ年若いものの、腕は既に一流で、神童と噂されております」
「ダグロス・ログミルド様……」
私が上げたその騎士様は、年齢や瞳の色などはこここからでは判別しづらいものの、柔らかそうな栗色の髪が印象的な、小柄なわりにこれまで危ぶれもせず、順調に勝ち進んでいる騎士様だった。
大神官様が年若い、と言う事は、まだ少年なんだろうか?
もしそうなら、このまま勝ち進んでくれたら護衛に指名させて貰って、兄妹みたいな関係になれないかなぁ?
私一人っ子だし、お兄ちゃんみたいな人、欲しいなぁ。




