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境界異常観測録《Re:Genesis》  作者: マチフクとーる
File3 失楽園の少女

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ふたりでひとつ

 熾天使と双子の激闘は終盤へ……超人的な能力で攻め立てる熾天使ガブリエル、特異能力と戦略で翻弄する双子の姉妹。

 双子の姉、ギルの活躍によって奇襲を成功させ、毒によるダメージの蓄積の相乗で敵を追い詰める。

 しかしその代償にギルの身体は限界を迎えていた。前後に満身創痍の敵と味方に挟まれ、戦いの決着は双子の妹、デスの手に委ねられていた。

 目の前には毒に侵され身体中至る所から血を流し続け、呼吸を荒げる満身創痍の敵――背後には右肩に受けた深刻な損傷、そして限界を超えた技の酷使によって実質的に戦闘不能状態の双子の姉。


 逃げ場もなく、割って入る者もいない――今この瞬間、この戦場の結末を決める権利は、他でもなく末っ子のデスが握っていた。


 デスはゆっくりと右手にもつ槍を振り上げる。

 大広間の照明が照らす穂先は鋭く光を反射し、先端がキラリと光る。

 少女の身長ほどの長槍は微かに震えながら標的に狙いを定める。


 あとはとどめを刺すだけだ。


 デスは長槍を両手で握り、力一杯にガブリエルを突き刺した。

 生々しく肉を裂く音を響かせながら、デスの放つ槍撃は、ガブリエルの体を貫きガブリエルの動きが止まる。


「お、終わった……やった……勝った」


 勝利を確信したデスの緊張が解け、そう呟いた瞬間、ガブリエルの頭上に大きな光の輪が現れ、ガブリエルを包むように下へ降りていく。


「私は……神の寵愛を受けし熾天使ガブリエル……何も遂げぬまま朽ちることは許されない。神よ、最後に我に力を!!」



 ――この命が燃え尽きようとも構わない。聞け、これが、熾天使ガブリエルの神託だ。

 その身に刻め! 終焉すら覆す、天上の光を! 終焉の熾福 《ラスト・ゴスペル》!!



 頭から首筋、胴から足元へと光の輪が通っていく。

 傷だらけの身体を巡る光の筋は静かに波打ち、流れ出る血液を止め、荒れた呼吸を静かに戻していく。

 全身を包む黄金の輝きは神聖なる"神の威光"そのものであり、頭上に光輪ヘイローを浮べたその姿は、神気そのものが肉体を駆け巡っているようであった。


 ――もはやそこにいたのは、傷付き倒れかけていた一人の戦士ではなく、神の寵愛を受け、気高き光を纏う熾天使の最後の姿だった。


「そ、そんな……デス達……頑張ったのに……」


 デスの身体中を支配する絶望感。力無く膝をつき、ただその神々しき熾天使姿を見上げ震え上がる。


 身体動かない――戦わなくちゃいけないのに。勝てない、怖い、お姉ちゃん、新橋のおじちゃん、誰か助けて。


 頭の中をそんなことばかりがぐるぐると渦巻くように支配する。

 デスの心は恐怖に屈服し、戦意を喪失していた。


「だ……だれか……助け……」


 腰が抜け思うように身体が動かず、這うように逃げるデスの右脚を光の槍が貫き床に釘付けにする。

 光の槍は燃えるような熱を持ち、右脚の傷口からデスの肉を焼いていく。


「痛いよぉ……熱いよぉ……」


 涙を流しながら力無くギルに向かって手を伸ばすデス。ギルもデスに向けて震える手を伸ばす。お互いに手の届かない距離でも心は繋がっていることを訴える様に、床に伏した双子は、言葉もなく互いへ手を伸ばす。

 触れられないまま、小さく震える手だけが、互いを求め続けた。


 ――次の瞬間、鈍い音が響いた。


 短く肉を裂く音。双子の姉、ギルの背に刺さる一本の槍。手を伸ばす姉の手がゆっくりと床へ落ちる。

 ギルの瞳からは光が消え、血溜まりだけが、なおも静かに広がり続けていた。


「とても儚いわ……運命というのは残酷だけれど、心配しないで。貴方達双子を離れ離れにはしない。すぐに貴方も送ってあげるわ」


 幼い少女の儚い命を憐れむようにガブリエルは目を細め、動かないギルを眺めながら床に倒れ伏しギルへ手を伸ばしながら震えるデスへ語りかける。


「あ……あぁ……」


 デスはただ動かないギルへ向けて手を伸ばし続ける。目の前で起きたことがどうしても受け入れられず呆然とする。

 額からは冷や汗が流れ、瞳孔は開いたまま目には涙が溢れ出してくる。


(なんで? どうして? ギルは死んじゃったの? もう会えないの? デスのせい? おばさんがデスから奪ったの? ギルを……デスから……?)


 その瞬間、ドクンっと大きな鼓動が体を揺らし、脳内でプツッと自身の理性を保っていた線のようなものが切れる音がした。

 頭の頂点から足先まで全身に電流が走る感覚を覚え、全神経が限界を超えたその先まで研ぎ澄まされる。


 頭の中をドス黒く、されど明確な意思が支配する。デスの脳内は一つの言葉で占領されていた。



 ――許せない。



 許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない。



 刹那、脳内を埋め尽くす言葉がテレビの電源が切れるように暗転する。

 そして暗転した真っ黒な画面からうっすらと真っ赤な文字で大きく映し出される言葉。



 ――殺してやる。



 ガブリエルは姉のギルのように動かない妹のデスにギルと同じようにとどめを刺そうと槍を構える。

 身動き一つ取らず、異様なほどに大人しい様子のデスは、どこか一点だけを見つめて固まっている。


「現実を受け入れられなくて絶望しちゃったかしら? でもそのまま大人しくしてくれてたら痛みも感じさせずにすぐに送ってあげられる。貴方達は楽園ヴァルハラでも二人一緒よ」


 ガブリエルはデスの心臓目掛けて槍を振り下ろす――がその瞬間、デスの身体はドロっとした沼のような黒い影の中に消え、ガブリエルの放った穂先も影の中へと飲まれ、そのまま引きずり込むように槍が影の中へと引き込まれる。


 ガブリエルは異変を感じ、槍から手を離す。槍はそのまま影に飲まれ、再び姿を現すことはなかった。

 ――だがそれだけにとどまらなかった。


 ガブリエルの全身を貫くような感覚――いや、実際に貫いている。足元から伸びる無数のガブリエルの槍の形を模した影が脚から胴までガブリエルの体に突き刺さる。

 四方八方から伸びた漆黒の杭は、標的の身体を容赦なく貫き、光の熾天使はその地面に縫い付けられるように黒槍によって串刺しにされる。


「がはっ!? これは一体!?」


 何が起こったのか理解が追いつかないガブリエルの足元の影が揺らぎ、徐々に激しく波打つ。そこからキラリとあやしく光る穂先。激しい飛沫と共に黒が跳ね上がり、その中心から標的めがけて人影が飛び出した。


「デスからギルをとらないでよぉ! バカぁ!!」


 少女の叫びと共に少女の持つ長槍がガブリエルのはりつけにされた胴を貫く。

 その衝撃で影から伸びる漆黒の杭は体から抜け、ガブリエルの体には無数の風穴だけが残った。


 だがガブリエルの身体の表面を波打つ光の筋はその傷口を即座に修復し再生していく。

 思わぬ猛攻に驚きを隠せないガブリエルは戸惑いながらも体勢を立て直し突きを放つ。

 デスはその槍を回避することなく真っ直ぐに突撃する。

 ガブリエルが放つ鋭い一突きがそのままデスの体を突き穿つと思われたその時、まるで光が通ったかのように鮮やかな高速の一撃はデスの身体をすり抜け、命中する手応えなく空を切る。


「ギルを返して! 返してよぉ!!」


 癇癪を起こす子供のように激しく怒るデスの槍はガブリエルの体を何度も突き穿つ。


 たまらずガブリエルは後退しようとするが、デスは足元の離れゆくガブリエルの影の一端を勢いよく踏みつける。



 ――影踏み 《ヴォイドロック》



 すると、ガブリエルの影はその場に固定されるように動きを止め、それに引っ掛けられるようにガブリエルは転倒し体を床に打ちつける。


 すかさずデスは飛び上がり、ガブリエルに向け、槍を振り下ろす。

 ガブリエル間一髪でそれを避け、再び距離をとる。


「身体がすり抜けたり影を操ったり……こちらから触れられないのにあの子からはいくらでも触れられるなんて……なんて理不尽な力なの……?」


 デスの能力を冷静に分析し、その理不尽さに気付いたガブリエルは、改めてデスの潜在的な能力の高さに気付き、勝機を模索しようと思考を巡らせる。


(だからといってあの子の魔力も無限じゃないはず……能力を使わせていればあの子の魔力も尽きて勝機は見えてくる。でも私の肉体の維持もそう長くは保たないのも事実。つまりこの戦いは……)


 巡り巡る思考の中で導き出される答えは一つだった。



 ――この戦い、先に能力の維持ができなくなったほうが負ける!!



 ガブリエルは時間が経つ毎に肉体の維持ができなくなり、制限時間タイムリミットがくると、ガブリエルは死滅する。

 対してデスは魔力量こそ多くないが、能力の使用のON/OFFの切り替えができ、能力を使用しなければ魔力が尽きることはない。

 つまり魔力の消耗をさせるにはガブリエルは攻め続け、透過と影の特異能力を使わせ続けなければならなかった。


「私の身体はダメージを受けても神の加護で再生は出来る。つまりやるべき事は一つ。『ノーガードで攻め続ける』こと!」


 ガブリエルはそう言うと長槍を構え、デスの懐に向けて踏み込み、間合いを詰める。デスはガブリエルの動きに合わせて後ろに後退し一定の間合いを保ちながら同じく長槍で迎撃する。


 金属同士が激しくぶつかり合い火花が散る。槍同士の大きな間合いで生まれる突きと守りの駆け引きはさながらフェンシングのように二人の間合いを膠着させていた


(この子……怒りで我を失っているのかと思えば案外冷静じゃない。さっきからずっと私の槍を狙って払うように攻撃を弾いてる。それだけじゃない……攻める時は私がノーガードで攻めに全て意識を集中しているのを分かって持ち手の肩口を狙って突きを出せないようにしてる。あの幼い身体のどこにそんな集中力と自制心があるの?)


 目にはいっぱいの涙、身の丈に合わないボロボロのローブの切り口からは身体中に負ったかすり傷が露出している身長程の長槍を操り、神の加護を受けし熾天使に双子の姉を傷つけられた憎しみのみで渡り合う双子の妹、デスは歯を食いしばりながら槍を振り、突き、払う。

 身体能力で上回る熾天使の槍撃が体を掠め、致命傷になりうる攻撃は自身の異能力による透過を繰り返す。

 小さなダメージは受け入れ、大きなダメージは透過を瞬時に判断し反射に近い速度で切り替えを行う。

 判断と集中力は極限を超え、現在のデスの集中力はアスリートでいう領域ゾーンに達していた。


(憎い! グチャグチャにしてやりたい! もどかしい! でも……そんな気持ちに身を任せてちゃダメなの! 新橋おじちゃんが言ってた……どれだけ心を乱されても頭だけは冷静でいろって。じゃないと……コイツには勝てないなの! コイツは攻撃を当てても再生される……でもそれだけの力、必ず長くは保たない。集中しろ! 考えろ! 今は守りに徹して、コイツを無力化できるチャンスがくる瞬間までジッと堪えるなの! ギルの仇は討つ! 絶対に!)


 突きが一閃、振り出される薙ぎ払い、何度も槍同士がぶつかり合い、甲高い金属音と火花を散らす。突きを逸らし、横薙ぎを滑らせるように受け流し幾度となく互いの槍柄が交差した。

 熾天使の肉体を貫く少女の槍はその穂先に鮮血を纏うも槍が引き抜かれた瞬間には熾天使の身体を流れる光の筋によって即座に傷口が修復される。

 対して熾天使の放つ槍撃も少女の胴を捉えようかというところでその穂先は少女の身体をすり抜け空を切る。


 互いの目的は同じ、「消耗させる」こと。

 一方は肉体の維持ができなくなるまで。

 もう一方は魔力切れで透過ができなくなるまで。


 肉が先に砕けるか。

 魔力が先に尽きるか。


 激しく打ち合う二人の戦いは終幕へと向かっていく。



 ――ピシッ



 何かが割れる感触、顔、腕や足など肌に現れる亀裂。先に異変が現れたのはガブリエルだった。


 徐々に亀裂は大きくなり、ガブリエルの肉体の崩壊を始めようとしていた。

 だがデスにも疲労が見え始め、回避や迎撃も追いつかず徐々に身体を捉えた攻撃が増え、透過能力を使わざるを得ず魔力の消耗が余儀なくされた。


「クッ……攻めきれない……! 私に残された時間もあと僅か……まさかこんなに小さい子供達に勝てないまま相討ちに持ち込む戦いを挑まされるとは今まで夢にも思わなかったわ……。いいわ。この命、最後まで燃やしてあげる!」


 制限時間タイムリミットが近づくことを告げる肉体の崩壊が始まると、ガブリエルは最後の攻めに出ようとする。

 ガブリエルが広範囲攻撃で一気に畳み掛けるため最後の力を解放しようと槍を頭上で回転させた瞬間――その時を待っていたかのようにデスは一気に間合いを詰め、足元の影を勢いよく踏む。


「今だ!!」


 勢いよく踏まれた影はガブリエルの立ち位置を中心に大きく広がり、鏡写しのように天井も大きく黒く染まる。足元からは漆黒の鎖身体を這うように伝っていき、全身に巻き付く。


「こんなもの!」


 ガブリエルは身体に巻き付く漆黒の鎖を引き千切ろうと力を入れるが熾天使の光さえも抑えつける漆黒の鎖は抵抗を許さない。


 デスは影を踏んだ場所から後方へ飛び退き、左手の掌を大きく開き、その掌の上に叩き落とすように右手の拳を勢いよく振り下ろす。

 そしてその拳を掴み取るように開いていた掌で拳を包むように握った。


 すると、頭上の鏡写しのような影から豪雨のように凄まじい勢いで黒杭がガブリエルに向けて振り注ぐ。

 何十もの黒杭がガブリエルの身体に突き刺さり、磔のようにその身体を拘束し、一切の抵抗を封じた。



 ――影を縫う終の楔 《エクリプス・オブ・グリム・デス》



 完全な封殺。いくら熾天使といえど――いや、神さえも抵抗を許さない深淵の楔。

 デスが持つ本人ですら知らない最大最強、全霊の奥義。

 人外の少女は人を超え、神話的な神力に迫る力を発揮する。


 黒杭と鎖に繋がれたガブリエルはゆっくりと底なし沼のような床の影へと飲まれていく。

 足元から膝下まで抵抗しようとせずとも容赦なく熾天使の身体を飲み込んでいく。


 ――だが神話的な神力に迫る力を見せつけるも相手は、神力そのものを操る者であった。


「言ったはずよ。私は最後まで命を燃やして戦うと……。崇敬せし神父様に忠誠を誓いし熾天使セラフィムガブリエルの名にかけて刺し違えてでも貴方達を倒す!」


 ガブリエルは歯を食いしばり力を込めるとゆっくりと鎖を引っ張りながら黒杭を一本一本折っていき、沈みかけた影から足を引き抜こうとする。

 ゆっくりと沼のような影から力ずくで片足が引き抜かれ、もう片方の足も引き抜こうと足元に力を込める。


「ぐうぅ!! ダメだ……! このままじゃ……やっぱり……デスは1人じゃだめなの……?」


 デスは必死に魔力を込めガブリエルを抑え込もうとするもガブリエルに力負けしてしまい、徐々に押されていく。


「いける……! このまま押し切れば!」


 全身の力を振り絞り、少しずつ力技で拘束を解いていくガブリエルは、僅かに見えた勝機に口角が上がる。


 だがその時、その場にいる全員が思いもよらない事態が起こる。


 ――ガブリエルの動きが止まった。


 ガブリエルは明らかな違和感を感じ取る。

 身体に何か太い物が巻き付いている――それは生き物のように蠢いていた。

 そしてその正体がガブリエルの視界に入った事で明かされる。



 ――それは大きな"蛇"だった。



 それは、すっと忍び寄った一匹の大蛇が四肢に纏わりつき関節の動きを止める。

 ガブリエルは蛇を操る者に心当たりがあった。

 その者が床に伏しているはずの場所へと目を向けると――その者は死んでなどいなかった。



 ――失楽の大蛇 《グリム・サーペント》



 部屋の隅で、少女が握りしめた右手の拳を前に突き出す。少女の名はギル。デスの双子の姉で"蛇"と同化したことで蛇を操る特異能力を手にした者。

 彼女は両目、右肩、そして腹部から血を流して尚、その命の灯火は消えていなかった。


「な!? 貴方は確かにとどめを刺したはず!?」


 とどめを刺したはずの相手がまさか生きていたとは思わず、まさかの増援に驚きを隠せないガブリエルにニヤリと笑うギルは蛇のような先が枝分かれした長い舌を出した。


「実はヘビって死んだふりが得意なんだよね。ギルはずぅ〜と死んだふりしてこのチャンスを待ってたんだ。必ずチャンスが来るって……それに」


 ギルはゆっくりとデスの背後に歩み寄り、ギルの手を外から覆うように重ねる。


「ギル……? 生きて……?」


 デスを支える死んだはずだった姉。

 もう動かないと思っていた。妹の両手に自身の両手を添える姉は小さく笑う。


「まだ、終わってないでしょ?」


 大蛇の締め付ける力が加わり、引き千切られようとしていた影の鎖は拘束する力を取り戻す。劣勢だった競り合いは均衡状態に戻る。


「ギルは……デスを信じてたから! 必ずチャンスを作ってくれるって! 貴方には負けないって! ギルとデスの絆は決して引き裂けない、だって……ギルとデスは……」


 ギルはデスの両手を包む自身の両手をギュッと握りしめる。



「ふたりでひとつなんだから!!」



 ガブリエル頭上の影から追い討ちのように黒杭が振り注ぐ。

 黒杭がガブリエルの身体を貫き再び影の沼へと引きずり込む。

 ガブリエルも苦悶の表情を隠しきれず、ギリギリと歯を軋ませる。


「さぁ! これが最後の勝負だ! デス! やるよ!」


「うん!」


 二人の呼吸、心拍数、全身に込める力が寸分違わず一致する。双子の心が完全に一つになる。二人が最後の力を振り絞ったその時――特異能力と特異能力が互いに阿吽の呼吸で発揮され化学反応が起きた。



 ――双罪双死フォールン・アビサル蛇影堕界デヴォアリング・ツインズ!!



 その瞬間――拮抗していた世界が、軋むような音を立てて沈み始めた。




ミニコーナー企画!


新コーナー! 異能力・特異能力名鑑!


やほ! 毎度おなじみ葉月お姉さんだよ♪


ん? ミニコーナーばっかり出て暇そう? 他にやることないのかだって?


むむぅ〜! 失礼なやつだな〜!

お姉さんは人間に友好的な神様としてこの世界のアレやコレやを教えてあげてるんじゃないか〜! コレもこの世界の創造主でもある作者様に与えられた立派なお仕事なんだからね!


ってまだ本題に入れてないね失敬失敬。


このコーナーでは作中に登場した異能力・特異能力を紹介していくコーナーだよ!

作中に出てきた異能力や特異能力に関するさらに深掘りした解説をどんどんしていくからお楽しみにね!


さて、記念すべき最初に紹介する能力は〜?

やっぱり初めて登場した異能力、「空間操作」だね!


え? 「死神の力」じゃないのかって? 初めに登場した異能力は「中野久美」ちゃんの「空間操作」でしょ! はは〜ん騙されたナ〜?


それじゃあ紹介していこうか!



異能力No.1 空間操作


能力分類 異能力  原動力 呪力


使用者 中野久美(呪霊)


能力概要 


結界内の空間を移動・模倣する能力。

使用には呪力結界を張る必要がある。

使用者の権限による干渉は自由だが他者による内外からの干渉は非常に困難。

必要呪力が大きく人間の使用には向かない。



久美ちゃんの使う異能力、「空間操作」は幽世との結び付きが強い「怨恨」や「未練」など負の感情から生まれる"呪力"を元に使われる「呪術」の一つだね。

「空間操作」は基本、呪力操作によって作られた結界内で空間を移動させたり同じような空間を模倣したりする程度の異能力なんだけど、本来は1つか2つしかできないんだよね。

そう思うと久美ちゃんの「空間操作」はすごかったね? あれだけの数の空間模倣と移動先のランダム配置、極めつけはその全てを動かし、使用者自身も自由に移動できるあの空間操作範囲の自由度の高さだよね。


でもあのレベルの呪力操作は人1人やるのはほぼ不可能なんだ。久美ちゃんの場合、それを可能にしたのは久美ちゃん自身の呪力とあの家自体に蓄積された「中野家」の呪力、そして久美ちゃんが大事にしてた「蠱毒」に詰まった生き物達の呪力、最後に久美ちゃんの犠牲者達の呪力が全てあの家の結界内に蓄積、循環したりなどの様々な要因が重なりに重なっての芸当だったんだよね。


呪力を操れる人間がいたとして恐らくあのレベルを操ろうと思えば100人……いや、300人は下らないだろうね。


やっぱり久美ちゃんってとんでもない子だったのかも……?


「空間操作」は言った通りただの移動手段や迷路を作って惑わせたりするだけの能力だし結界を張ってまず空間作りをする必要があるしでお世辞にも"強力ではない"んだけど強いて言うなら強い部分もちゃんとあってそれは「呪力結界」なんだ。

最初に言ったと思うけど「空間操作」呪力を元に結界を張ってその結界内で使うんだけど、無理矢理入ろうとすると中々入れないし内側から破るのも容易ではないんだ。

実際にお姉さんもかなり苦労したし内部からも殉職した捜査員さんの札がなければ出られなかったでしょ? 呪力結界ってのはそれだけ固くてね、結界主が招いた客以外は入れない某セキュリティ会社もビックリのセキュリティなんだよね。


……まぁ言ってしまえば強力なのは「呪力結界」であって「空間操作」ではないんだけど。ボソッ


ん? いやなんでもないよ! さて、久美ちゃんの「空間操作」の解説はこんなものかな? それじゃあ今回はここまで! また次回!!

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