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銀河帝国皇帝アスカ様、悪虐帝と呼ばれ潔く死を遂げるも、森の精霊に転生したので、ちょっとはのんびりスローに生きてみたい  作者: MITT
第二章「アスカ様の覇権国家建国道」

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第三十九話「イフリートの脅威」①

 その時、私は……アイゼンブルク城の城下町の上空にいた。


 敵の本丸アイゼンブルク城の攻略については、エイル殿とファリナ殿が飛行船での上空支援の上で、空挺降下を仕掛けることで、内部から城門を解放。


 その上で、オズワルド子爵配下の従兵隊が大挙して城内へ突入することで、容易く制圧されたようだった。


 まぁ、当然と言えば当然の結果だ。

 空からの敵を想定していない城塞など、防御拠点としては話にもならん。


 なにせ、このような古代城塞と言うものは、敵が正面から正門めがけて押し寄せてくるのを反撃を受けずに、少人数で撃退する事を想定しているのだ。


 このアイゼンベルグ城も、四方八方を城壁と堀で囲い、市街地とも1kmほどの緩衝地帯を設けることで、敵軍が市街地の建物を遮蔽物として活用できないようにしている。


 この世界のごく普通の軍勢ならば、正面から攻め込もうとも思わない……堅牢な難攻不落の城塞と言えただろう。


 だが……空の上から、飛び道具で見張りをバタバタ射倒され、空の上から兵を送り込まれ、内側から正門を開かれる……こんなものはまるで想定外のようだった。


 まぁ、私に言わせれば、どうみても上がガラ空きなのだから、空から攻めるのが当然……その程度の話なのだがな。


 実のところ、私も王国制圧に際して、この空挺戦術による城塞攻略は視野に入れていて、飛行船を三隻体制とした上で、空挺降下作戦を実行可能とすべく訓示を出し、それを受けてエルフ達が自主的に空挺降下戦術の訓練をやっていたのは知っていたのだが。

 

 よもや、この短期間で空挺降下を実戦で投入出来るレベルに到達していたとは、私も予想していなかった。


 実際、私もアイゼンベルグ城の守りが思った以上に堅牢で、アークが調べてきた抜け道なども封鎖されていて、一筋縄ではいかないと思っていたのだが。


 ちょうどいいタイミングでエイル殿率いる援軍が、飛行船に鈴なりになってやってきたのだ。


 この辺りも、私は一切命じていないのだが。

 状況から、空挺部隊が必要になるとエイル殿が判断して、急遽部隊を編成し増援として送り込んでくれたのだ。


 まったく、エイル殿も有能過ぎて参るな。

 

 そして、その上でぶっつけ本番で空挺降下によるアイゼンベルグ攻略作戦が実施される運びとなった。


 なお、実際に飛行船を使った空挺降下訓練を試しにやった結果、もはや空挺降下というよりも空挺墜落の様相を呈し、けが人続出で散々な結果だった。


 それがほんの一週間ほど前の話だ。

 

 まぁ……本来、軌道降下歩兵の例を出すまでもなく、落ちたら軽く死ぬような高さを身体一つで飛び降りるとか……普通に無茶なのだ。


 ……衛星軌道上からの身体一つでのフリーダイブ等と言う無茶を平然とこなすのは、なかば人間辞めてるような連中の仕事なのだ。


 故に、私も空挺戦術が物になるには、しばらく時間かかると見ていたのだが。

 私の予想はいささか甘かったようだ。

 

 ほんの一週間前までは、グッダグダの墜落による骨折者続出で、メディック総動員等と言う有様だったのに、本番では彼らは完璧に仕事をこなしてみせた。


 まぁ、当然ながらそんな空挺戦術による城攻めなんぞ……誰も備えているはずもなく、前述のようにアイゼンブルグ城はあっさり陥落した。

 

 そして、城内の制圧後……オズワルド子爵自らバーソロミュー伯爵の元に赴き、決着を付けるとのことだったので、そこは一任させる事にした。


 別に、指揮官自ら相手の総大将と一騎打ちなどするまでもないと思ったのだが。

 

 オズワルド子爵とバーソロミュー伯爵の間には、相当に根深い確執があるようで、アイゼンブルグ城の制圧についても、オズワルド子爵の軍勢が主攻を担ってくれた事で、こちらも随分と楽が出来たのだ。


 ひとまず、共に戦ってくれたオズワルド子爵の功に報いるべく、その要望を尊重する……と言う話にはなった。


 なにより、この国の貴族を殺すとなると、同じ貴族による決闘の末と言う建前とするのが、一番波風立たないとの事で、どうもオズワルド子爵はバーソロミュー伯爵を生かして済ませるつもりはないようだった。


 ……私自身としては、すでに戦況は決まっており、バーソロミュー伯爵についても、降伏勧告の一つでもした上で降伏するならば、さしたる条件もつけずに受け入れるつもりではあったのだがな……。


 なにせ、すべての黒幕と言っても、バーソロミュー伯爵からしてみれば、状況的に私を恨んで当然と言えるのだからなぁ……。

 

 その程度には、私は伯爵の既得権益をずたずたに食い荒らしていたし、この国の秩序も何もかもをぶち壊してしまったのも事実なのだ。


 ……自他ともに認める侵略者。

 

 私は、自分自身をそう考えているし、どう考えてもそんなものであろう。

 そこについては、弁護の余地など無いと思うし、私自身がそう思っているのだ。

 

 それで、侵略される者に対し、慈悲の一つも見せないようであれば、泥沼ではないか。

 ま、まぁ……要するに私にもさすがに、良心の呵責くらいはあるのだ。

 

 お母様と言う圧倒的なテクノロジー支援を受けていると言う時点で、この惑星の文明は私に対して、まともに抵抗も出来ずに圧倒されていくのは、もはや確実と言えた。


 その上で、無慈悲に恭順か死を……等とやっているようでは、本気でSFムービーの悪の帝国の皇帝のようではないか。


 ならばせめて、恭順するかあるいは降伏するか……まぁ、どっちも意味は同じなのだがなっ!

 

 どうしても、我が配下として恭順する事や、降伏するのは死んでも納得できないという事なら、死を覚悟の上で戦いを挑むが良い……それくらいの心意気で十分だと思うのだ。


 要は、無慈悲な侵略者ではいかんのだ。


 ……利権の衝突で戦いになること自体は、一向に構わん。


 戦って決着を付けて負けるなら、相手も少しは納得できるだろうし、そう言うのは銀河帝国でも普通に起こっていたし、同じ七帝国同士でも皇帝同士どちらも譲らず、実弾演習と言う形で白黒付ける事もあったのだからな。


 故に、私は争いは否定しない。

 銀河帝国自体がそう言う国だったのだから、その体現者たる私は戦争も戦いも全て肯定する。


 争いのない世界など、所詮は夢物語に過ぎぬ……そんな腑抜けた世界など、衰退し滅びゆくだけなのだ。

 

 何にせよ、死ぬまで戦うと言うのであれば、真面目に相手をし、引導を渡してやるのも情けであろうし、戦意が折れたものや、白旗を掲げるようなものへは情けをかけるべきであろう。


 戦争にもその程度のルールはあるのだ。


 それ故に、私としてはバーソロミュー伯爵とは、一戦交えた上での話し合いを行い、ある程度先方にも納得いただいた上で、出来るだけ気持ちよく、その領土を譲り渡していただく……その心つもりでいたのだ。


 当然の話なのだが、その領土を譲っていただく事は、私としても初めから一切譲るつもりも無かった。

 

 なにせ、このバーソロミュー伯爵領は、海岸部への通商ルート開通を目指す私にとっては、大変に邪魔くさい位置に存在していたのだ。


 バーソロミュー伯爵が善良で人畜無害な人物だったとしても、どのみち、力付くなり話し合いで、その領土を譲り渡してもらうと言う戦略には何ら変わりなかっただろう。


 例え、その土地が数百年来に渡り先祖代々受け継がれていたり、バーソロミュー伯爵が領民の誰からも愛される名君だったとしても、同じことだ。


 なぜなら、私にはそんな事関係ないからだ。

 

 たまたまそこが都合のいい通り道だったと言うだけで、侵略され、国土を蹂躙される。

 地球の歴史でもそんな事はよくあったようだし、我が銀河帝国も似たような事は何度もやっている。


 そう言うツイてない国については、心から同情に値するのだが。

「そこにちょうどいい道があったから」と言うのは、侵略者としては十分過ぎる理由なのだ。


 そんな理由で他所様の国を蹂躙するな等と言われるかもしれないが。

 友好国や拠点と本国を結ぶ通り道が、敵対勢力の勢力下では困るのだ。


 だからこそ、それが中立国だろうが、平和主義国家だろうが、邪魔なら容赦なく潰す。

 国家戦略とは、基本的にそんなものなのだ。


 とは言え、そう考えるとバーソロミュー伯爵は、あくまで私の被害者の代表格であり、私自身が恨んだり、憎んだりするのはお門違いではあるのだ。


 我が神樹帝国の国家戦略上、邪魔くさい場所に陣取っているので、力付くで退去していただく……それだけの話だ。

 

 話し合いの上で、平和的に解決できるなら、そうしたいと一応は、思っていたのだ。

 

 もっとも、向こうもやる気満々で色々やらかしてくれて、先に殴りかかってきたのだから、そこは文句は言わせない。

 

 こちとら、もっとのんびりゆっくりしたかったのに、せかせかと土足で攻め込んでくるとは、実にふざけた話だった。

 

 故に、降伏してきたとしても無条件降伏以外はあり得ない。

  

 当然ながら、オズワルド子爵が、バーソロミュー伯爵をついカッとなって、殺害してしまっても、私は許容する所存だ。


 なにせ、オズワルド子爵もついカッとなるに十分な程度には、恨みつらみを募らせていたようなのでな。

 

 自ら望んで配下に下ると明言していて、裏に表に色々と手助けもしてもらったのだ。

 敵討ちくらいなら、むしろ好きにやらせるべきだろう。


 もっとも、今後も基本的には話し合い路線で行くつもりで、ゆくゆくはこの国の国王陛下とも同様の話し合いの上で、王国を譲り渡すように話し合いをするつもりなのだがな。


 まぁ、すんなり明け渡すとは思えんのだが。

 随分な高齢で死後の魂の行方について、気が気でならないようだった。


 そう言う事なら、この私自らが死後の魂の安寧について、懇切丁寧に説明するつもりだった。

 まぁ、嘘も方便……無血で王国を譲位いただけるなら、いくらでも死後の安寧について語ってやるまでだった。


 そうなれば、後は簡単だ。

 国王陛下のお墨付きと言う事で、すみやかにバラバラの連合国を統一国家体制にするだけだった。


 なにせ、小さな都市国家群状態など、普通に百害あって一利なしだからな。

 そんなものは、スパッと引導を渡してしまえば良いのだ。


 なお、国民や領主を集めて、是非を問うたりと言った無駄なことはしない。

 橋をかけろだの、物価が高いからなんとかしろと言った要望ならば聞かなくもないが。


 国体をどうするかについては、問答など必要ない。

 どのみち、惑星統一国家を建国するともなれば、住民全員の細々とした意見など聞いていられないのだ。

 

 多少無理矢理だろうが、不幸になる者達が幾人も出ようとも、強引に統一国家化してしまうのが最善の道であるし、余計な時間や手間もかからずに済む。


 恐らく、地域による文明格差やら貧富の差も大変なことになるだろうが。

 そんなものは交通、通信網を発展させた上でほっとけば、そのうち均等になる。

 

 弱者救済のセーフティーネットさえ、しっかりしておけば、案外なんとでもなるし、その役目はすでに神樹教会が担ってくれると言う話にもなっており、私としては何ら憂いもなかった。

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新連載始めました!! アスカ様の前日譚! 「銀河帝国皇帝アスカ様 零 -ZERO- 〜たまたま拾った名無しの地味子を皇帝に推したら、大化けした件について〜」 https://ncode.syosetu.com/n1802iq/
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