第14節 勝利と帰還
ロビンは、仇を取る為、マリアンを助ける為に勝利を手にした。
ロビンが勝利を収めると同時に、援軍生きていたアルスター軍はノーディンの兵士を取り締まっていた。しかし、クー・フーリンはロビンと焔が交戦中と知って城の境内へと入り込む。
扉の魔法陣が消えて、彼は落ちていた父親の剣を手に安堵した。
“約束は果たせたぜ、親父”
そう思った時だった。突如、現れた女がロビンに向かって魔術を放とうとしていた。ロビンは一歩遅く、しまったと思った。しかし、扉が勢いよく破壊され―
「させるか‼」
と声がかかって、女は鎖によって縛られ、魔術の塊は消えていた。そして、ロビンの横を一つの影がすり抜けて―
「二人の邪魔を、するなぁぁぁぁっ‼」
と焔が槍を持って突進し、矛先を女の心臓に貫いて窓を突き破った。焔は直ぐに離れて槍を亜空間へとしまったが、女が自分を見てふっと笑っていた。それがあまりにも不気味だったが、自分も落ちていることに慌ててしまう。
「あぁぁぁぁぁっ‼落ちるぅぅぅ‼」
「キュウゥゥゥゥゥゥ?!」
アーサーも驚いて翼を羽ばたかせるも、焔の重さは尋常であり、一緒に落ちてしまう。その時、聞き覚えのある声が彼らの耳に届いた。
焔は驚いて目を開くと、二階ほどの高さで姫様抱っこをされているのが見えた。アーサーは、焔の胸部に掴まっており無事だった。
「クー!」
彼らを助けたのは、アルスター王国第二王子クー・フーリンだった。
そして、ロビンは焔の無事を確認してマリアンの方へと振り返った。マリアンは、助けられた事が嬉しくて涙を流して彼の元へと歩いて行った。
「うぅ…ロビン。」
「マリアン。君を心配させてすまない。……愛してる。」
ロビンはそう言って、マリアンに口づけをした。彼女は、彼の言葉に涙が溢れていった。
焔とアーサーを救出したクーは、上手く着地して彼女を地面に降ろした。
「無事で何よりだ。それよりも、ノーディンのあの様子は…。」
「うん。ロビンがやったよ。あの女の方は、私が…。」
「お、おい。へ、平気、だったのか…。」
クーは、戦い慣れていない焔にとって難しい事だと思っていた。だが、シャーウッドで何があったのかをある程度は把握していたが、焔が何らかの成長があったに違いない。それでも、クーは彼女に言う。
「焔。覚悟を決めたのか?」
「覚悟だとは思う。でも、シャーウッドで命の重さ…人として生まれる奇跡を知った。
それに、戦う意志を持つのは人それぞれだと思うけど、少なからず人の命の重さを分かっていると信じたい。だから、守る為に戦いたい。そう、決めた。」
「そう決めたんなら、それを貫け。さて、ここの事後処理は俺たちに任せろ。」
「あ、ありがとう。多分、シャーウッドでやる事もあるかもしれない。あ、そうだ。城に戻ったら、クーに渡したいものがあるから。忘れないでね。私も、忘れない様にする。」
「分かったぜ。帰って来るの、アッシュたちも待ってるぞ。」
焔は返事をして、クーと一時別れてロビンとマリアンたちでシャーウッドの森へ帰還し、正義を貫いた事を皆に報告した。それを聞いた皆は、歓喜を上げた。また、ロビンはマリアンと結婚する事を発表した事で大賑わいを見せた。
そして、ロビンの怪我が完治し、皆は数日で森に再び拠点…いや、家が築いた頃。ロビンとマリアンは、結婚式を挙げていた。
牧師でもあるタックは、二人の結婚の誓いの文を読み上げる。
「汝、ロバート・ロクスリーと、汝、マリアン・ネサは、良き時も悪い時も 富める時も貧しき時も 病める時も健やかなる時も 死がふたりを分かつまで 神聖なる婚姻とする。」
ロビンとマリアンは、互いに目を見つめ合って誓いのキスをした。皆は、歓声と拍手を上げた。焔とアーサーは、拍手と共に歓声を上げる。
「おめでとう‼」
「キュ、キュウ!」
その日は、英雄と乙女の祝福に満ちて、森も喜ぶかのように優しい光を森へともたらしていた。焔とアーサーは、翌日、アルスターとコノートの戦いへ参戦するべく、シャーウッドの人々と別れを告げていた。
「無理はするなよ。」
「そうよ。私たちは、いつでも待っているわ。」
とジョンとエマは言う。マッチは照れながらも焔に言う。
「ま、また、来いよ!」
そして、ジェシカ、カトリーナ、ビリー、ヴァイオレット、シリル、ニーナは涙を堪えて焔と―
『また、来てね』
と約束を交わした。また、ブランドは、彼女からオリヴィエの事を聞いて、是非お会いしたいと言い、その事を伝えると約束した。タックは、彼女の頭に手を置いて自分の信じる道を歩いて行けと言い、アーサーには彼女をちゃんと支えろと頼もしく言った。
そして、デイビッドには森の出入り口まで見送ってもらっていた。
「色々、ありがとう。デイビッド。」
「いいえ。俺は、皆の力になった事が幸いだよ。あ、そうだ。ノーディンの部屋を物色して調べたんだが、コノートの女王メイヴと契約関係だったことが分かった。
ただ、あの女については、よくわからなかった。こんな黒水晶を持っていたが、不思議な物だ。後で、ロビンたちに聞こうかなって思ってる。手掛かりが少ないから…。」
「そうだったの。……。」
焔はデイビッドが握っている黒水晶を見て、ふと何かを思い出して話をする。
「ねぇ、悪いんだけど、その黒曜石を私の方で預かってもらっても良い?」
「え?!」
焔は、その黒水晶は、以前にイグラド村を襲った魔術師が持っており、手はずと言う言葉に不気味に感じたからだ。その話を聞いたデイビッドは、悩みに悩んで―
「わ、分かった。この事は、騎士団方の皆に話したから、何かあったら報告して欲しいと言っていた。まぁ、俺たちじゃ手掛かりは掴めないのも分かる感じだから。解明を頼む。」
と言ってそっと黒水晶を渡した。焔は、ポーチの中へとしまって、彼によって出口へ着く。しかし、森はレーシーによって春の温かさが作られているせいか、森に出た瞬間に寒さが来た。
「さぁぁぁむッ‼」
焔は凍えて身震いをする。デイビッドは、ロビンたちが森から出る予定もある為、この事を報告しようと思っていた。森の外には、迎えに来たクー・フーリンがいた。クーは、焔の為に暖かい上着を着せた。
「あ、ありがと…。」
焔は礼を言ってコートの温かさにぬくぬくと感じる。アーサーは、コートの中に入って温まっている。
「クー王子。わざわざ、ありがとうございます。」
「良いんだよ、デイビッド。お前が一番大変だったんだからよ、少しは休め。アルスターの事は任せとけ。」
「ありがとうございます。近く、王へ謁見する予定を考えていますので、報告をよろしくお願いします。」
「おう。任された。……達者でな。」
クーがそう言うと、デイビッドは貴方様もと言って森へと帰って行った。焔は、彼を見送ってからクーに話す事を言う。
「あっ!そうだ。クーに渡す物があって。」
「渡す物?」
クーは首を傾げたが、焔はポーチから緑玉の耳飾りを取り出して彼に渡す。彼女は、事情を話して早速つけるように促す。
「丁度、この耳飾り、ボロボロだったから丁度良い。」
クーはそう言って、元の耳飾りを取り外して焔から渡された耳飾りを付けた。とても、似合っている。光の反射で宝石が煌いている。
“綺麗だし、カッコイイ!”と焔、
“毛先が炎のように赤くて、生え際は紫と、伝説と同じですが、碧もなかなかです”とレイは思う。
「に、似合ってるよ!兄貴!…あっ!」
焔は、思わず出てしまった言葉に赤面してしまった。クーはそんな言葉に驚いたが、何気なく頼もしい感じがして、彼女の肩に手を置いて言う。
「良いぜ。兄貴って呼んでも。焔がそう言うなら、快く受け入れるぜ。」
彼の笑顔に、焔は更に赤くなるのを感じて頬を手で覆った。
“あぁぁぁぁぁっ‼そーゆ所なの‼兄貴っていいたくなるのぉぉぉ‼”と焔、
“分かるよ!分かるっス!”とユウ、
“落ち着けや…。ったく、オタクは”とホムラは思う。
焔は何とか落ち着かせると、肩に乗っていたアーサーは冷たい手で彼女の頬を一生懸命に冷ましているように思えた。彼女はクーの戦車に乗って赤枝王城へ到着した。クーは、焔と共に戦車を降りて、王の元へと行く為一時の別れをする。
「主‼」
「焔!」
すると、アッシュとジュヌヴィエは同時に、焔の元へ駆け寄る。
「遅くなってごめん。でも、この通り大丈夫だ。」
「良かった。こっちは、休戦中だけど、次の戦いに向けて準備中よ。皆も準備をしてる。」
「主はやっぱり、癒されるぅ~。」
アッシュは、彼女をギュッと抱きしめた。しかし、アーサーは目を鋭くさせてアッシュに尻尾や拳で八つ当たりをする。
「イテテッ‼」
「あぁ‼アーサー!コラ、やめなさい!」
「喧嘩は駄目です!」
焔は、ジュヌヴィエと共に喧嘩を征する。アッシュとアーサーは、彼女たちによって喧嘩を止めるが、火花が小さく散っているのが見えて、焔は困惑する。
“まるで、赤と白の竜が戦っているようじゃないか…あれ?それ、どこの伝説だっけ?”
焔は考えたが、思い出す事ができない。彼女は、ジュヌヴィエと共に赤枝王城の客室、自分たち部屋へと向かった。
「はぁ~、フカフカだぁ…。」
ソファーに横たわった焔は久々の心地よさに頬が緩む。しかし、まずは体の汚れを落とさなければいけないと気付いて、直ぐに立ち上がる。
「あぁ‼ソファー、よ、汚したか?ジュヌヴィエ。お風呂に入って来るね‼」
「うん。ゆっくり休んで。後で、お茶にしましょ。」
「うん!」
焔はジュヌヴィエとそう約束して、部屋の風呂場へと向かった。焔は体にタオルを巻いて、アーサーの汚れを落とす。
「はいッと!綺麗になったよ。先に上がってて。」
「キュウ!」
アーサーは急いで風呂場を上がって、タオルで体を拭いている。焔は、自分の体を洗って、湯船につかる。
「はぁ~、いい湯だぁ。暖かい…。」
森では滝に打たれたり、川で体を洗ったりしていたので、湯船は久しぶりだった。それでも、森は森で、町は町で、生活ができる事が分かった。
“いい経験だったかも。でも、別の国に行くってなると、寂しい…”
焔はそう思いながら、久々の湯船を満喫していた。
読んでくださいまして、ありがとうございます。
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焔:本当に、元の世界の暮らしがいかに便利過ぎなのか、分かって来たような気がする。
アーサー:キュウ?……キュ、キュ!キュウ!
焔:えっと、暖かい風呂に入れて嬉しいって事?
アーサー:キュウ‼
焔:そうだな。でも、森の自然の豊かさも良かった。って、時間が‼じ、次回‼『第15節 影の国へ』‼もっと強くなる為に、行ったんだ。




