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クラージュ・イストワール  作者: Hanna
第Ⅰ章 森と戦士の国 アルスター 編 ―紅棘の死の魔槍―
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第12節 救出

 再起を決意し、ロビンたちはノーディンとの決着をつけるべく、最終決戦に挑む!

 ロビンは焔の言葉で再起を決意し、デイビッドの情報を元に救出作戦会議を始める。メンバーは、焔、ジョン、ウィル、ブランド、タックで会議を行う。すると、そこへエマがやって来て、ジョンは言う。


「おい、子供たちを置いて良いのか?」


「八人の子供を産んだ強い母親よ。息子、娘の一人を助ける為にも、戦うわ。」


 エマはそう言う。ジョンは、こればかりには弱く彼女の参加を認めた。子供たちは、森にいる人たちと一緒にいる様に言い、安静にしている。

 ロビンは、簡易的に作ったノッティンガム城の模型を中心にして会議を始めた。


「で、コイツの城は、門が二つ。一つは城壁、もう一つは城に通じている。ブランド。お前は、作戦実行時に城に通じる門を閉めて兵士を封鎖して欲しいが、頼めるか?」


「私が役に立つのなら。それに、ここの怪我人は全員応急処置を施したし、薬も与えたから問題は無い。」


 ブランドはそう言って、グッドサインを出した。ロビンはよしと言って、タックに言う。


「タック、お前は牧師だ。誤魔化しはできるだろ?」


「任せとけ。お前の信頼にこたえるさ。」


 タックは、頼もしい笑顔で答えた。


「そして、ジョンとエマは二人で城壁の上で待機。実行時に、地上へ降りて救出へ向かえ。」


「あぁ。」

「分かったわ。」


 ジョンとエマは同時に返事をした。ロビンは焔にある事を尋ねた。


「それでなんだが、焔。お前は、俺と共に城壁の上に配置する。ノーディンに驚かせる方法を仕掛けたいが、それをお前に一任する。何か案はあるか?」


 焔はロビンの問いに、簡易的に作られた模型を見て考える。城壁は城を囲んでいて、入り口が少ない。方法となれば、一つある。(ホムラ)は言う。


「城の一部を破壊するぜ。城壁に、俺の創った爆弾矢で穴をあける。これなら、避難もできるし、武器を構えている人がいれば侵入できるかもしれねぇ、だろ?あと、ロビンをマリアンの所まで護衛するぜ。」


「あぁ、決まりだな。よぉし‼明日、実行する。万が一の事も想定しておくんだ。デイビッドによれば、アルスター軍の援護が来る。来る前に少し派手に行くぞ。」


『おう‼』


 会議はこれにて終了。ロビンは、ウィルとタックに重要な役目を背負うとの事で三人で話をしていた。

 焔は、爆弾矢を打ち込む練習をするべく、障害物を伴って上からの撃ち込み稽古を始めた。ミスをせず、撃ち漏らさずに矢を打っては回収する事を何度も繰り返す。


「ふぅ…。」


「よう、頑張っているな。」


「タックさん…。」


 タックは彼女の心配をして来た。焔は、最初彼が酒臭いと思って遠慮しがちだったが、彼は酒を辞めた事で今では臭いは消えていた。


「お前さん。大丈夫だったのか。その、戦う事に。」


「…正直のところ、戦いは嫌いです。人の命を奪う事に最初は震えてしまいました。でも、ここで学んだんです。武器を手にする人は、命の重さを知っている事。

 ノーディンはよく分かりませんが、あのコノート戦士の男の人は、強い貴方と会えたことに誇りを持ったと言ったら、一瞬だけ攻撃を止めたように思えたんです。敵側でも、命の重さを知っている者は少なからずいると。」


「なら、お前さんはきっとできる。俺なんか、最初、ロビンを信じていなかった。油断を突いて殴ったが、ここにきてノーディンの企てを知って、こっちに着いた。それと、今更だが、最初は、お前さんの事を疑っちまった。女の身で何ができるのだろうって、我ながら酷い事を思っていた。

 でも、お前さんは怖いと言う感情をもってしても、逃げる事はしなかった。お前さんなら、立派な騎士に慣れるって思った。」


「タックさん。そう言われると、少し恥ずかしいです。」


 タックの話に、(レイ)は照れてしまう。タックは、彼女の頭に大きな手を置いて言う。


「明日。お前さんは重要な役目だが、俺から言える事としては……自信を持て。時には逃げても良い、泣いても良い、ただ諦めるな。…これだけだ。」


「…っ‼はい‼」


 焔は、元気よく返事をした。タックは、彼女の返事に安堵した。稽古を終えて、森の奥へ戻ると、ジョンとエマの子供たちが彼女の元へ駆けつけた。


「焔お姉さん。お兄ちゃんを、助けるんですよね?」


 そう言ったのはマッチの一つ下の妹で長女のジェシカだった。彼女は、末弟のアレックスを背負っていて一生懸命世話をしていた。


「うん。絶対助けるって約束したから。」


 焔はそう言うと、今度は七歳の次女・カトリーナが―


「絶対に、助けてね!」


 と言った。そして、五歳で次男のビリーは―


「姉ちゃん、頑張れよ‼」


 と言い、四歳のヴァイオレット、三男のシリル、二歳のニーナは頑張れと懸命に言った。兄弟そろって、マッチを心配している。でも、戦いに連れてはいけない。だからこそ、自分たちに出来る事をと、両親や皆を助けた焔へエールを送った。


「ありがとう、皆。絶対に約束する。だから、良い子にして待っててね。」


 焔はそう言うと、皆は元気よく返事をした。

 一方、マッチは地下の牢獄から夕陽が差し込む鉄格子の窓を見て思う。


 “絶対に来るって、信じるよ。焔姉さん、父さん、母さん。待ってる”


 また、ノーディンは婚礼の儀もあってか、のんびりとワインを飲んでいた。


「まさか、これほど気分が良いとはこの事だ。あの小娘は、震えていた故にもう来る事は無いだろう。それに、ロビンも死んだ。これで、私は伯爵、いや、王に相応しい‼」


「はい。仰る通りでございます。そして、抗う者たちに死と言う祝福を…。」


「あぁ。明日は、楽しみだ。ハハハハハッ‼」


 ノッティンガム城の一室。マリアンは、ロビンの形見であるペンダントを握り締めていた。


 “あぁ、神よ。どうか、あの人が生きていると信じる事を許してください。……ロビン、貴方でないと、私は…”


 その閉ざされた瞳から、涙が零れていた。

 そして、いよいよ当日。少し肌寒いが、まだ傍観せずには動ける程度だ。皆それぞれ変装をして、ノッティンガム城へと侵入する。最初に戦士に扮したブランドと牧師として潜入したタックは、城門から無事に潜入成功。エマは、荷物を背負って城壁へと昇る。外にはジョンがいる。


「ジョン!こっち!」


 城壁に固定した縄を外へ垂らしてジョンを昇らせる。その間に、兵士がやってきてエマに尋ねる。


「何故、こんな所に?」


「あぁ。私は、高い所から見るのが好きなのよ。」


 エマはそう言って敵の気を反らすと、ジョンは無事に登り切った。兵士は振り返ってジョンに驚くが、彼によって城壁の下へと落とされた。それは、誰も気づいていない。

 そして、嫌な臭いを放つ老人に化けたロビンは無事に入り込んで高台へと昇って行く。そして、城壁の外へロープを垂らして、待っていた焔を昇らせる。焔は、村娘の格好に扮して潜入を成功させた。


 “潜入成功!”と焔、

 “ってか、ここの兵士、お前の顔を見ても村娘と勘違いしていたがな!”とホムラ、

 “あとは、お前の弓の腕前次第だ。気を引き締めろ”とエフは思う。


 焔は物陰で着替え終えて、ロビンと目を合わせて時を待つ。ウィルは、処刑と婚礼を見に来る民衆の参加者に紛れるが、突如誰かに肩を叩かれた。

 そして、昼となり、民衆を見渡せるバルコニーにノーディンとマリアンが現れた。マリアンは、白いドレスで美しく着飾られていた。ノーディンは、彼女にロビンの形見を外す様に言うが、彼女は断固拒否した。奴は、気を改めて集まった民衆に言う。


「お集まりいただき、感謝する。そして、今日は婚礼の儀だけではない。我に歯向かいし者の処刑の儀でもある。」


 そう言うと、縄で繋がれた処刑人…マッチたちが出て来た。しかし、焔、ジョン、エマ、ブランドは目を見開いた。マッチたちの中には、ウィルも紛れていた。ロビンとタックで話していたのは―


「お前は、わざと顔を晒して囚われの身になれ。一度、兵士に襲われた身なら敵も見ている可能性はある。」


「あ、兄貴。ど、どう言う事だ?」


「良いか、ウィル。ノーディンは、お前にロビンフッドは死ぬかを聞くだろう。迷わずに、死んだと言え。良いな。」


 と。ノーディンは、処刑人を処刑台へと上がらせると、ウィルを見つけて話しかける。


「おい‼そこの赤い服、この間ぶりだな。お前に聞く。ロビンフッドは死んだか?」


「……死んだ。ロビンフッドは‼死んだ!だが、俺たちの正義は終わらない‼」


 ウィルは覚悟を決めて言った。マッチも言う。


「お前たちに、負けない‼お前の様な悪い奴は、罰が当たるぞ!」


 マッチが邪魔した事に、ノーディンは腹を立てて―


「…ッ‼もういい‼さっさと処刑しろ‼」


 と言い、処刑実行人はマッチが乗っていた台座を蹴り落とした。それを見たジョンは、咄嗟に駆け付ける。エマも後を追いかけたい所だが、下手に動く事は出来なかった。

 ロビンは、急いで位置を移動して弓を構えて放つ。しかし、まだマッチの首にかかる縄がほどけない。敵がこちらに来ていると気付いて、彼は直ぐに移動して、精神を研ぎ澄ませて二本目の矢を射る。

 見事に命中し、マッチを助ける事ができた。予定外だが、作戦開始だ‼


「ロクスリー…!」


 ノーディンは、生きている事に驚いてそれ以上の言葉は出なかった。


「ロービーン‼」


 マリアンは助けに来てくれた事の嬉しさに、愛する彼の名を叫んだ。

 読んでくださいまして、ありがとうございます。


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


 焔:ま、間に合った‼


 アーサー:キュウ!


 マッチ:焔姉さん、アーサー、あ、ありがとう。助けてくれて。


 ブランド:本当に、意地が悪いな、ノーディンは。ここでの話。地下には、ノーディンの拷問を受けた者たちもいると聞いた。俺は、そっちの方へ向かう。


 焔:ありがとうございます。そちらは、任せます。さてと、私とアーサーは、ロビンをノーディンの元まで連れて行くぞ!悪党は、許すまじ!


 アーサー:キュ‼


 焔:次回!『第13節 この手に正義を』‼


 マッチ:絶対に、負けるな‼ロビン!

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