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短編ホラー  作者: 荻波鶴


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4/7

遊びたい人形

物心がついた瞬間を覚えているだろうか?

私は覚えている。

二階建ての一軒家で、階段の前には子どもの私が転がり落ちないように木製の仕切り板があり、その仕切りの前で車のおもちゃで遊んでいた。なぜ、ここにいるのか、なぜ私はここを知っているのか。子どもながらになぜなぜと考えていたというのが最初の記憶。


幼稚園に上がる頃には好き嫌いが分かるくらいには成長し自我が芽生えてきた。


15時になると母がおやつをくれる。

そこで決まって母のキャーという叫び声を聞いていた。

おやつの皿を持ちながら声の方に歩く。

そこには、トイレに紐で結んであったゲームセンターで取ったような小さなぬいぐるみが歩いていた。

毎回右手の人差し指でツンと人形をつつく。

その瞬間痛みで大泣きしてしまう。

母に「大丈夫だよ。痛くないように絆創膏貼ろうね」と痛いの痛いの飛んでけとおまじないを掛けてもらう。


そこからの記憶はない。

ただ、この記憶も一回や二回ではない。

ぬいぐるみを見ると怖がるからと、トイレからぬいぐるみが撤去された。


大きくなりそんなことも忘れた頃。

倉庫の片付けを手伝っていると、木箱に入ったあの人形を見つけた。

心臓がドクンと大きな音を立てた。

それがその人形の最後の記憶。

なぜそんなに丁重に残していたのかは分からないまま家は立て替えられ人形もどこかへ行ってしまう。


私はなにと相対したのだろうか。

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