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短編ホラー  作者: 荻波鶴


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1/7

隣人

トントントン


薄い部屋の壁から隣の部屋の生活音が聞こえてくる。


食事前には包丁の音、夜には電話で談笑する声、夜中はいびき。


向こうの音が聞こえると言うことは、こちらの音も聞こえているはず。なるべく迷惑にならないように注意を怠らない。


なんで電話なのが分かるかと言うと、このアパートは単身用で駐車場も余剰は無い。だから電話だと分かるのだ。






最近の悩みは、東側の部屋から遠慮無く夜中に聞こえる選択の音。どんどんどんどん。洗濯機が回る音が聞こえてくる。時刻は決まって深夜の2時。勘弁してほしいが、夜中にしか帰ってこれない社畜なのだろうと自分に言い聞かせる。厄介事と同情で目を瞑るならぬ耳を瞑ることにしていた。音トラブルはお互い様だ。






しかし、土日も同じ時間に洗濯が回る音がすると心配になる。毎日深夜過ぎまで働いているのではないな。休みは無いのだろうか。






さすがにこう毎日だと、眠りが浅い日には音で起きてしまうことも多々ある。管理会社に電話して注意してもらおう。






trrrr,trrrrrrn


「○×荘の112号室にに入居している者ですが、夜中に113号室から洗濯を回す音が毎日聞こえてきて、寝てても起きてしまって困ってます」


「ちょっと待ってくださいね、今資料を用意しますので


あれ?113号室はずっと空き家ですよ?」


「そんなことはないと思います。だって日中も夜中も生活音が聞こえてるし……」


日中も?おかしい。夜中まで働いているなら日中の音は鳴らないはず。


「確認しましたが、やはりこちらに保管されている入居状況では空きになってます」




そういえばさっきから113号室から、




ドンドンドン




ドンドンドン!




攻め立てるような音が聞こえてくる。




カチャ、きぃぃぃ




何かが入ってきた音がする。

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