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3 ジェーン

アタシの友だちは待っている。あの方が来るのを。


アタシは商会に勤めている。貴族向けの商品も扱っている大手の商会。だから知っていた。ソートレス伯爵家の婿殿が文官試験を受けたという噂が貴族の間で出回っている事を。


あの方が婚約者の方と歩いているのを一度だけ見たことがある。といっても馬車から降りて宝石店に入られる数秒間。笑顔でエスコートはしていたし、歩く速度も婚約者の方に合わせていた。

友だちと一緒にいる時、あの方は無表情で笑顔なんて見せない。だけど友だちを見る目は他の人との時と違い、ほのかに甘くなる。

他人に気付かれない様な小さな変化。でも確かな好意。

だから友だちが待つ決断をした時、アタシは反対しなかった。

言葉や態度に出なくても、あの方が友だちを大切にしていると気付いたから。

文官の試験は毎年四月に行われる。あの方が結婚してもうすぐ三年。子供はいないと聞いている。

子供の出来ない貴族は大体三年で相手を変えるという。あの方は婿入りで換えられる側の立場。


もうすぐ友だちが幸せになる日が来るかもしれない。

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