2/3
2 待つ女
想い合っていると思っていた男性から言われた。
「私は君とは違う女性と結婚する。だが五年、待っていて欲しい。」
好きだと言われた事はない。手をつないだ事もない。でもわたしは彼が好きで、彼もわたしを好きだとわかっていた。
「で、どうするの?待つの?待たないの?」
お酒を飲みながら聞いてくる。今日はどうしても話を聞いて欲しくて友だちのジェーンを呼び出しての食事会だ。
「一応、待とうかな、なんて、思ってる。…バカかな?」
「いや、良いんじゃないの。あんたが決めたなら。」
「…」
「ふふっ。口、開いてるよ。…反対されると思ってた?」
「…うん。」
「そうだね。あの方は貴族だし、あんたは平民だし?」
「うん。」
「生まれ育ってきた環境が違うもんね。」
「うん。」
「でも、あの方はあんたを好きだよ。あんたの事を大事に思ってくれてる。」
「うん。…ホントは…ホントは待たなくて良いって言われたの。待っていて欲しいけど、待たなくて良いって。女性の五年は長いからって。…ただ五年後に会いに来て良いかって。幸せになってるか確認しに来て良いかって。」
「うん。」
「待ちたいの。」
「うん。」
「信じて待っていたい。」
「うん。良いんじゃない?」




