表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流星群  作者: こでまり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/11

稲田家の闇 後編

二人は事務所に戻ってきた。

事務所のドアを開けると若林と橋本がまだ先程の映像を見ていた。

「どうだった?」

若林は二人が帰ってきたのに気づいて聞いてきた。

「拓人の父親候補は二人いて、一人はヨットハーバーの従業員で栗元悟志、もう一人は坂井敏行という人物でした。坂井敏行は三十年前に栗元悟志と一緒に東京から来ていて稲田貴子と頻繁に会っていたようです。しかし、坂井敏行は拓人が生まれる前に行方不明になっています」

鍋島が伝えると若林が映像を指差して言う。

「あの後、再度映像を詳しく見ていたら見つけた」

橋本がパソコンを操作して映像を出す。

鍋島と今西はパソコンの画面に表示された映像を見た。

映像には深屋京子と稲田貴子が映っていた。

場所は周囲の映像から病院の駐車場だと思われる。

深屋京子と稲田貴子は暫く海の方を見ていたがその後、病院に戻って行った。

時間はヨットが海にいた時間だ。

それは先程、今西が言っていた内容だ。

画面にはヨットは映っていなかったが時間と方角的にヨットを見ていたと考えられる。

「この女性は、深屋京子と言って、稲田貴子の担当看護師です。そして、稲田拓人の同級生の田中昌大の家にいました」

鍋島が伝えると若林が聞いてくる。

「昨夜の遺体は判明したのか?」

「まだわからないそうです。ただ、田中昌大の可能性があると言っていました。更に、田中昌大は整形して東京に深屋京子と一緒にいたようです」

鍋島が伝えると若林が怪しいなと呟く。

「俺の同級生があの病院に入院しているんだ。近いうちに見舞いに行こうと思っていたが一緒に行くか?」

若林が言ってくる。

「病院に行く理由がなかったのでご一緒できるのならぜひ!」

鍋島は好都合だと思った。

「同級生に確認してみるから少し待ってくれ」

若林がそう言った。

鍋島たちはれまで時間を潰すことにした。

事務所を出て駐車場に向かっている時、今西が聞いてきた。

「この後、どうしますか?」

「深谷京子の自宅に行こうと思う。午前中に田中昌大の家にいたから今日、仕事は休んでいるか夜勤で今頃は自宅にいるはずだ」

鍋島は深屋京子に話を聞きたいと考えた。

それじゃあと言って今西と鍋島は車に乗り、今西は深屋京子の自宅をカーナビに登録して調べる。

暫くするとナビから音声が流れてきた。

今西はナビの案内に合わせて車を走らせた。

駅前の深屋京子の自宅前まで来るとまたしても吉村たちに遭遇した。

丁度、深屋京子のマンション前に停められた車から吉村たちが車から降りたところだった。

鍋島は嫌な予感がしていると吉村が鍋島たちに気づいて鍋島たちが乗った車のところにやってきた。

「これから深屋京子に会いに行きますが、ご一緒にどうですか?」

吉村に言われて鍋島は即答した。

「ぜひ!」

車を近くのコインパーキングに停めて、車から降りる。

吉村たちは鍋島たちを待っていてくれた。

その後、吉村たちが歩きだし、鍋島と今西は吉村たちの後ろをついていく。

マンションの3階にある深屋京子の部屋に行くにはエレベーターを使って行った。

吉村はエレベーターの中でカメラを確認している。

鍋島もエレベーターを降りてからの周囲の状況をしっかり目に焼き付けた。

深屋京子の部屋の前まで来ると吉村が言った。

「話は我々が聞きますので口を挟まないでいただけますか」

「わかりました」

鍋島と今西は答える。

佐竹が部屋のインターフォンを押すと部屋の奥で鳴っているのが聞こえるが反応がない。

鍋島はその間も部屋の前から外の様子を確認した。

部屋の前は二階建ての民家があって高さ的に部屋の入口は見えないようになっていた。

少し離れた場所には商業施設がありそこからも角度的に部屋の出入りは確認できなさそうだった。

佐竹がもう一度押すが部屋の中からインターフォンの音だけが聞こえる。

佐竹がドアノブに手をかけるとドアが開いた。

佐竹が吉村を見る。

吉村が頷くと佐竹がドアを開けて中に入る。

「吉村さん!」

佐竹が叫びながら部屋の中へと入っていく。

その後を吉村も入って行った。

鍋島たちは入って行っていいのかわからなかったので玄関の入り口で待っていたが玄関から見える光景に驚く。

床に倒れている深屋京子がいた。

吉村が深屋の首元に手を当てている。

吉村と佐竹が頷いていた。

佐竹がどこかに電話をしている。

暫くすると吉村が出てきた。

「深屋京子は既に死んでいました。身体はまだ温かいので死後、それほど時間は経っていないでしょう。それに鍋島さんもご存知のとおり深屋京子は午前中、田中昌大の家にいましたのでその後、自宅に帰ってから何らかの理由で死亡したのでしょう」

吉村の言葉に鍋島たちは混乱した。

「死んでいる?」

鍋島は呟いた。

その後、捜査員や鑑識が立ち替わりやって来て部屋の中やマンションの周囲を調べていく。

深屋京子の死は自殺と他殺の両面から捜査されることになった。

このマンションは防犯カメラがなかった為、捜査員たちが周辺の防犯カメラを全て調べていくようだ。

その様子をマンションから少し離れたところから鍋島たちは見ていた。

「吉村さんたちと一緒じゃなかったら第一発見者になっていたかもしれませんね」

今西が言う。

鍋島は確かにそうだと安堵した。

第一発見者になっていたら、また若林に何を言われていたか。

それにしても不思議でしかない。

午前中に見かけた深屋京子は自殺するようには見えなかった。

あの時はたしか10時前だったはずだ。今は午後1時過ぎなので3時間くらいしか経っていない。

この短時間になにがあったのか?

鍋島は深屋京子の自宅マンションを眺めながら部屋に入る方法を考えてみた。

他殺ならどこから入って、どこから出て行ったのか。

マンション内には防犯カメラは無かったがエレベーター内にはカメラが付いていた。

玄関の鍵は開いていたので出る時は玄関から出たのはわかる。

部屋から出てエレベーターを使っていたのならすぐに判明するはすわだが、未だに動きがないことから非常階段を使った可能性がある。

周囲を見渡すが深屋京子の部屋が見える場所は近くにはない。

他殺だとしたら犯人の特定は時間がかかると思われた。

鍋島と今西がこの後、どうしようかと思ってると吉村と佐竹がマンションから出てきた。

その後ろから深屋京子の遺体が運び出されていくのが見えた。

吉村が鍋島たちに気づいて近づいて来た。

「深屋京子の死因を調べる為に検死をします。今のところ、自殺と他殺の両面から捜査していますが、他殺の可能性がありますのでこの部屋を訪れた人物を調べます。鍋島さんたちは私たちとこのマンションに来る以前にここに来たことはありますか?」

吉村の質問に鍋島は無いと答えると吉村はそれなら帰ってもいいと言われた。

鍋島と今西はとりあえず、事務所に戻ることにした。

車に乗り込み今西は車を少し走らせてすぐに近くの公園の駐車場に車を停めた。

「どうした?」

鍋島が聞く。

「ドライブレコーダーに何か写っていないかと思いまして」

今西は後部座席に載せてあったパソコンを開いて操作をする。

事務所から深屋京子のマンションまでの映像が映し出される。

鍋島と今西は無言でその映像を見る。

「もう一度見せてくれ」

鍋島が言うと今西が操してもう一度事務所から深屋京子のマンションまでの道のりが写し出される。

深屋京子のマンションから少し離れたところで帽子を目深にかぶって歩く女性とすれ違った。

「この女性、貴子じゃないか?」

鍋島がつぶやく。

直感で貴子に見えた。

「貴子に見えなくはないですが、貴子が病院を抜け出してどうしてこんなところ歩いているのでしょうか?」

今西が言いたいこともわかる。

答えが出ないことに焦りが出てきていた。

しかし、いつまでもここにいるわけにもいかないので今西が車を出そうとした時、鍋島の知り合いから電話が入った。

「近くまで来たから会いたい」

 そう言われて、鍋島は稲田家のことに手詰まりを感じていたため、会うことにして、待ち合わせ場所の駅まで今西の運転で向かう。

 丁度電車が到着した直後で駅の改札から大勢の人が出てきていた。その人の流れと反対の方に黒っぽい服を着て大きな鞄を持った室田剛が立っていた。

 室田は手にした手帳をしきりに見ていたため、鍋島に気づかない。仕方なく鍋島が車から降りて室田に近づく。

改札から出て来る人の波に逆らいながら鍋島は室田のそばまで来た。

 室田はジャーナリストの端くれで、今は東京を拠点に仕事をしているはずだ。それがこんなところまで来るのには何か事情があるはずだ。

「どうしたんだよ」

 鍋島が声をかけるとやっと気づいたようで室田が顔を上げる。室田は笑いながら持っていた手帳をひらひらとなびかせた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ