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7/10 煮えたぎる
影もつかぬ反射光の中を歩いていると、茹だるような熱に希死念慮が高まって行くものだが、真に恐るるべきはまた別にあった。
脂汗をかきながら帰路、スマホをチラ見する。
外気温にさらされ発火寸前の如き熱を発しているそれをスワイプする。
若干遅いレスポンスに焦りを感じつつも、該当の通知を認識する。
……3時間前。
Amazonの通知。
それの受け取りを、落単寸前の2限は許さなかった。
注文したのは二つ。
洗顔料と、衝動買いしたヘッドホン。
どちらも熱に長時間さらされる事を是としたものではない。
足が焦る。
見えている未来は二つ。
沸騰する洗顔料で剥がれ落ちる顔面。
電源を入れてもつかない3万のヘッドホン。
絶望だ。
特に前者。
夏、小学校の当時借りた本当にあった怖い話の漫画。
被った狐面が全く取れなくなり、無理やり剥がそうとして顔面の皮が全部剥がれた少女の話。
以来私はどんなお面であっても顔に被せて被るという事はなくなったのだが、それと同様のことが起きる可能性がある。
煮えたぎる洗顔料、煙を上げるヘッドホン。
焦る気持ちを抑え、私は歩を進めた。




