6/25 疑問とそれの解、そして示唆
疑問とは解決されるべきだ。
少なくともそうして人類は発展してきたし、それはある種の原動力とも言い換えることができるかもしれない。
それがたとえ飯を食って夜寝したら24時に起きちゃってどうしようもなくYouTube を見ながら新しく開けたポテチを食べている私でも、何か示唆を得ることができるかもしれない。
…
「使っちゃうから」と「ゆうちょ銀行が歩くとそれなりに怠い場所にある」という理由で生活費を机の上に放置している私がセブン銀行に入金した帰りの事。
天気は半端な雨で、傘をさせども小粒の水滴が風に吹かれて足元に入り込んで来る。
靴の防水性能はそれなりにあっても、上からの水は彼の不得意とするところだ。
専門外を押し付けられた白い靴は、わずかな外出であっても靴下に染み入る多少の湿り気を防ぐ事ができなかった。
私は骨が一本折れたビニール傘をさしている。
人であっても一般に数週間の修復期間を要する損傷である。
自己修復機能のないビニール傘にとっては致命傷であった。
なぜ
なぜせっかくセブンに入ったのに買わなかったのかと思われる向きには、全くもってその通りだと伝えたい。
どうせ雨になるたび使うのだし、さっさと買っておくべきだと私も思う。
傘を二つ持って帰るのが恥ずかしいといえど、晴れてる日に傘を買う事なんてないのだから、一過性の羞恥など棄ておけばいいと思う。
しかし、私は買わなかった。
今後起こりうる数多の不便さと引き換えに、私は徒歩5分の羞恥を排除したのだ。
視界の端でふらふらと便りなさげに揺れる傘の膜が映る。
微妙にしなったその膜から垂れた雨粒が本来守られるべき靴の上部分にダイレクトヒットしている事を知る者は少ない。
私の前を歩く中年の男がいた。
背丈は私より一回りほど小さかったが、その体躯に見合わぬ肩で風を切るような歩法で先を行く、白髪混じりの男だった。
歩く道が大通りということもあり、彼と私の行く道はかなりの距離同じ方向を向いているようで、私よりわずかにゆっくり歩く彼の後ろを長らくついて歩く形になっていた。
視界上部に映るしなだれた傘、視界中央に映る若干寂しくなった後頭部、視界下部に映る泥の跳ねた白い靴。
暫しの葛藤の末、私は彼を抜き去る事を決心した。
元々私の方が若干歩くのが速かったのだ。
並び立つ瞬間だけ加速すれば問題はなかった。
なんの苦もなく抜き去ったあと、私の背後で彼は口を開けた。
「…!」
「……!!」
「……!」
何を言っていたのかはよくわからない。
突如として電話がかかってきたのかもしれないし、私の傘の骨が折れているのを指摘してくれたのかもしれないし、私がその時考えていたアラブの石油王かジェフ・ベゾスの個人メールアドレスを手に入れる方法を教えてくれようとしてくれたのかもしれない。
当時はイヤホンから流れていたRADWIMPSがほとんど全てを消し去っていたせいで、よく聞き取れなかったのである。
なんか言われてんならイヤホン外せば良かったのでは?という向きには、全くその通りだと言わざるを得ない。
だがしかし、世間とは正解のみで成り立っているわけではないという事実も、併せて伝えたい。
ドーパミンに脳を侵されているとき、私の判断力は格別に低下する。
以下、私がギリギリ聞き取れた単語である。
「俺は」
「二宮」
「なんけ」
「醤油」
家の前の交差点を渡った辺りで彼の背後の気配は消えたので、おそらく途中のコンビニあたりで別れてしまったのだろうことが、心残りである。
…
今日の一連の動きでいくつかの示唆が得られた。
浮かび上がった疑問より挙げられる解は以下の通りである。
・雨の日に履いてく靴は白じゃない方がいい。代わりの二年前にAmazonで買った1000円の靴には穴が空いているという事実には、憤りを持って対処する。
・傘はとりあえず新しいのを買うべきである。
少なくとも、折れているのを手前に持ってくるべきではない。後ろに持ってくとリュックが濡れるという向きには、世の中は何かを得れば何かを失うという事実を持って納得すべきである。
・おそらく彼が言ったのは、「俺は二宮和也とジェフ・ベゾスのメアドを何桁か知っている、ヒントは醤油」であり、何桁かメアドが分かったところで全部解んなきゃマジで意味がないという事実と共に忘れ去るべきである。
・でもジェフ・ベゾスのメアドがわかったら穴の空いてない靴と100億円くらいおそらく貰えるため、全ての問題が解決すると思われる。
・100億円手に入るなら傘も別で買えばいいと思う。
・となると醤油を考察する必要が出てくる。
・醤油?醤油って何?つかあの流れから出てくる醤油とは?私が適当なのを踏まえても何?
・考えてもわからないので全てを忘れ去るべきである。
・新しいポテチを開けたけど、よく考えたら昨日開けたポテチがまだパソコンのとこにある。
である。
世の中とは含蓄と示唆に溢れている。




