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4/28 たとえ沈もうとも


心の距離の遠さというのは如何にしたって遠ざかり近づき、波の上を揺蕩う二つの海洋ゴミのように決まった動きを持たずとも、進む向きは同じで一度くっ付いたら離れないと思ったらいつの間にか二つとも沈んでるみたいなあやふやで厄介なものではあるが、物理的な距離というのもこれまた確かさを持って常に離れているので厄介なものである。


返って今の状況はどうか。


随分と延びた日も流石に疲れ切り、ビルの隙間に帰って行った午後6時。


最近漸くベランダにデッキチェアを安定して置けるようになってきたこともあり、久しぶりに外で本を読んでいたのだが、流石に辺りも暗く、寒気も増してきた。


本を置き、部屋に帰ろうとしたタイミングではたと気づく。


足拭きタオルを置いておくのを忘れた。


ベランダ用の靴はない。


故に素足にてベランダで本を読み、戻る前に足を拭いて部屋に入るというムーブをしていたのだが、肝心のタオルを置き忘れた。


部屋に戻るための窓の前にはベッドが置かれている。


朝は日光を取り込み、昼過ぎは程よく陰になるという匠の設計が光る配置だが、ベランダから直で戻った時布団の上を砂で汚すという欠陥もある配置だった。


昨日は雨が降っていた。


故に汚れは最小限だが、小粒が残っている感覚も否めない。


ものぐささは人よりも遥かにあると自負している私といえど、砂まみれのベッドは許容範囲外だった。


足拭きタオルは洗濯籠の中。


距離にしておよそ3m。


全身を横たえようともその先には1m以上の距離があった。


今の私からして、それは遥かな距離と言えた。


ならば変えは。


目についたのは物干し竿のバスタオル。


天井から垂れ下がるそれは、うまく身を乗り出せば確保できそうな位置にあった。


意を決し、ベランダの壁を頼りに身を乗り出す。


空振り。


揺れ動くバスタオル。


窓辺から手を伸ばしても届きそうで届かない。


さながらそれは波の上を漂う海洋ゴミのよう。


ああ。


お前を手にしたのなら、私は決して離したりしない。


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