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第7話 新たな計画、始動

「~~~~♪」


鼻歌を歌いながら街を歩く俺。

そう街、だ。

今日はオルシェンの国境越えてから4日目。召喚されてからはもう一週間たったっけ? よく覚えていない。


『せいりゅうは覚えてないことばっかなの……』


頭の中でため息が聞こえるが……仕方ないだろう? 興味ないことは思い出さないし、思いだそうともしないんだから。


『それは覚えてないとは言わないの……もういいの。ところでなんでそんなにご機嫌なの?』


どうやら俺は諦められたらしい。ま、別にいいけど。今日は機嫌良いし。


「それはな~今日い」「ふざけんじゃねぇぞ!」


俺の説明を大声で阻む誰か。……そもそも口に出す必要はなかったんだが。


「なんでこんな高ぇんだぁ!?」

「だから言ってるでしょう!? 先日高騰したんですよ! あなたも冒険者ならそれぐらい分かるでしょう!?」


……なんかの商品の価格トラブルか。こんなとこでわざと高値で出す利点はないし、さしずめ気弱そうな個人経営者を狙った冒険者のワガママか? あほくせぇ。

帰るか。


「ちょっと! あなた何してるの!」


ん? またなんかあったのか? そんなここ治安悪かったっけ。


「あぁ~ん? 嬢ちゃん、なんのようだぁ?」


さっきの!? まさかちょっかいでもかけたのか!


「こんな往来で大声をあげないでください。迷惑ですっ!」


『そっちなの!?』


お、ノルのツッコミスキル発動。聞こえないけど。


「はっ、ずいぶんと威勢のいい嬢ちゃんだなぁ。だがよー痛い目みたくなきゃどっかいけガキがぁ!」


……肉体言語ってやつか? すごいな。本当に意味が分からない。


『普通の言語なの……多分』

「どうでもいいですからさっさと消えなさい!」

『どうでもいいなの!? ずいぶんと乱暴キャラだったの!!』


テンション高いな~ノルは。……まぁ、俺も少し驚いたけどな。てっきり善人系キャラかと思ったのになんだあれ。普通に危険な方の人じゃねぇか。……関わりたくねぇな。


「あ゛あ゛? 誰に向かって言ってんだぁ?」

「貴様ですよ猿!! もしかして人間はこうも愚かなのですか」


ほら青筋立たせる発言ばかり。言い方考えろよ……けど、人間・・は? なんで人間なんて言い方する? ……まさか、な。いくらスドラルに近いからってそんな。でももしそうなら……


『せ、せいりゅう? なんで今黒い笑みを浮かべたの?』

「いいやなんでもない。今はどっちに転ぶかわかんねぇからな」

『ああ……絶対とんでもない方に転ぶの……』





俺は今、さっき見つけたぼろい宿で魔道書を読んでいる。これが先ほど機嫌の良かった理由なのだが、なんでも黒魔法が載っているらしい。黒魔法というのは普通の魔法と違い、威力は高く、戦闘だけではなく多くの応用が利くのだが、暴走の可能性、多大の魔力の消費などの理由から人々に忌避されるらしい。裏通りの怪しいおっちゃんの話だと、な。

禁術と呼ばれる類の人々に悪影響しか与えない魔法も黒魔法に分類されるため、暴走するといった噂があるらしいが、実際はデマのようだ。魔法の暴走など聞いたこともないし、少なくともこの魔道書にはそういったことの起こりそうな魔法も乗っていない。

……透視や感情操作といった言葉が載っていることから、使用者の欲望が暴走しないとは限らないが。ま、俺には関係のないことだな。というか、これは便利だ。

多少値も張ったが、十分元が取れる。特に睡眠魔法は利用価値が高いだろう。

睡眠魔法というとファンタジーでは定番なのだが、現実の場合それではまずい。悪用されうるからだ。事実、元の世界でも睡眠薬は犯罪に使われることは少なくなかったはずだし。

ああ、ところでさっきの始めはツンデレ的タイプの根は善人キャラ、終わりは明らかに性格の悪い空回りキャラのちび娘だが、あの後俺の出番はなかった。出るつもりは少ししかなかったが、それでも必要なかった。一瞬で片がついたからな。ちび娘が風の(たぶん中級レベルの)魔法を放って男Aは壁に埋没+気絶で終了。

魔法の量を見てみたらそれなりの量だった。といっても、俺みたいに隠してたらわからないけどな。それにしてもロイド並みってのはすごいはず。……展開が俺にとって都合のいいように動いてきたな。


『う~頭が居たいの~』

『ん? ……ああ俺の頭の中でものぞいたのか? さしずめ、俺の発言が気になって』

『う゛……ごめんなの』

『別にいいよ。そんくらい。……けどこの程度で頭が痛いってのはどうかと思うぞ?』

『この程度!? 今後の予定に魔道書の内容、ノルとの会話に明日の細かい行動まで考えてるのがこの程度なの? せいりゅうは考えすぎなの! もう少しばかになってなの~!』


ノルの壊れ気味の発言に、なんだよそれ、と呆れる俺。まったくもって異常なしの日常だ。……もうこの日常は手放せないかな? と平和に少し感謝した。





明日からはこの平和が崩れるからな。



正確には俺が周りの日常を壊すんだが。せいぜい皆の衆、面白おかしく踊ってくれよ?

ニヤニヤ。




『なんでまた黒い笑みなの!?』










例のちび娘を見た次の日。俺は今日もちび娘を見た。

ただし今回は偶然じゃない。単純に言うと、隣の部屋から出てきた。そしてつけている。いわゆる尾行ってやつな。


『もうせいりゅうが犯罪者にしか見えないの……』

『なんでだよ。尾行は警察でもやるちゃんとした捜査だろ?』

『ああ……きっとあの子はせいりゅうの毒牙にか』

『誰の毒牙にだって?』

『う……だってあの子を気に入ったからこれから襲うんじゃ……』

『おそわねぇよ!? どんだけの悪人に成り下がってんだ俺! そういう意味で犯罪者っつったんか!?』


おいおい。いくらなんでもそういう類の犯罪者にはなりたくねぇよ。てかなった時点で俺は人として終わると考えてる。


『そうだったの……安心したの』

『よし、とりあえず後で説教な』

『安心できなくなったの!?』


若干涙声のノルだが無視。当然の報いだ。犯罪者とか極悪非道とか、残虐無比とかなら全然いいが、性犯罪者はイヤだ。そもそも人は遊ぶものであって弄ぶものじゃない。……ぶっちゃけどうでもいいんだがな。

少なくともあのお嬢ちゃんは……俺を楽しませてくれそうだ。


『……それで、あの子はなんなの? せいりゅうが面白がるような奇人変人には見えないの』

『別に奇人変人が好きなわけじゃないんだがな……でもあの子もその奇人変人だから否定できないが』

『?』

『ま、奇"人"変"人"と、言えるかどうかは別として、な』

『?? 意味が分からないの。どういうことなの?』

『ははっ。そこで俺の頭(こたえ)を覗かないっつうのは、やっぱり面白いな、ノル』

『……あんまりそういうことはしたくないの』

『そっか。お、帰るのかな?』


街を一通り見て回って、そろそろ日も落ち始めた頃、ようやくちび娘の雰囲気が変わった。

言うなれば、観察から安堵へと。


(へえ……そこで安堵するのか)


これは楽かもしれない。ちび娘の行動でそう思ってしまった。

しかしそんな自分にすぐ気付いて


(嘗めるな、驕るな、怠るなってね。面倒くさい性分だとは思うが、それはそれ、だ)


自分を戒め尾行再開。


『へ? 帰るって……あっちは宿じゃないの。あっちは……国境? なの』

『ああその通り。ただちび娘の場合、あっちで、帰るんだよ』

『???』


現在ノル混乱中。言語崩壊おこしてんのが面白いから、俺は無言で尾行中。







さて、そろそろか? いや……ここは……ニヤリ


『せいりゅうの黒い笑みが発動したの!』


俺の笑いは必殺技かなんかか? そんな黒いか?

……これから起こす行動は黒いかもしれんがな。さっそく御披露目だな……黒魔法。








〈ガサッ〉


「!」


国境を越えた先の薄暗い森の中を歩く少女は、草陰から聞こえた音に、すぐさま反応する。


(良い反応だ……が、未熟)


〈キィィィ!〉


草陰から出てきたのは、一匹の獣。

醜く、苛立つ声をあげながら、少女へと襲いかかる。

しかしただの獣ではなかった。とてもとても醜い、一匹の――魔獣。


「ッ、風よ! 我が敵を切り裂く、刃となれ!」


少女は風を刃に変え、たやすく魔獣を切り殺す。


(それなりの経験はあるようだな……じゃあ、この場合はどうするのかな?)


ふぅ、と、緊張の解けたため息を吐き出す少女だったが、次の瞬間、彼女の体は、再び緊張し……そして、強すぎる緊張よって、動きが止まった。


〈キィィィ!〉

〈キィィィ!〉


〈〈〈キィィィィィ!!〉〉〉


先ほど斬り伏せた魔獣の大合唱。それは魔獣の大群を意味する。


ところで、この魔獣はフーレムという、ウサギのような、あるいはサルのような魔獣である。

危険度自体はそれほどでもない。ギルドでいえばEランク……少し鍛えた一般人クラスだ。

ただ……それは、一対一に限る。

フーレムが群れを成すことは滅多にない。同族ですら、食い合う獰猛さのせいだ。

もしそれが、一致団結して敵となるようになれば……危険度はBランク以上になる。

数体を相手にしている間に、後ろから食いちぎられる。

更に厄介なのは森の中という生息地だ。青々と繁った豊かな草木は、青緑の体表を持つフーレムを隠してしまう。

かくして、数十体のフーレムの群れに襲われた者は、骨も残らぬ残骸になったという。

そこで今、少女の目の前には――数百体(・・・)の魔獣の群れ。

この少女が生き残るためには、自分以外を焼き尽くす、火の魔法を使わなければならなかった。

だがしかし……少女は動かない。

いや、動けない。むしろ、何もできない。

……彼女に待っているのは、己の肉を生きたまま食いちぎられる苦痛と、死、のみだったろう。





……もしこれが、偶然に起きた悲劇だったなら。





「炎よ! 我が前のありとあらゆるものを焼き尽くせ!」


少女の後方から、大きな声、そして、大きな炎が現れた。

魔獣たちは突然、消えた。より正確にいえば、少女が気付いた時には、既にみな逃げていた。


「大丈夫か?」


少女はその声を合図に、張り詰めた糸が切れるように、倒れた。







少女を助けた少年は、少女を抱きかかえ…………口を歪めたのだった。

……なんでこんな難しいんでしょ。小説って。


なんでこんなに難しいんでしょ。話の概要決まってたのに。


なんで……もういいです。現実逃避は止めます。




スイマセンでしたぁっ!前言がことごとく破綻しました!!


……はい、すいませんごめんなさいゆるしてください……ぷらす、これからについてもです。

来週試験ですっ。更新多分無理! ごめんなさいぃ!

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