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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校二年生
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【第49話】誕生日

 俺はいつもの夕飯の買い出しとさらに生クリームとか製菓用のチョコレートとかをカゴに入れていく。

 そろそろ夏休みに入るというこの時期に遥さんの誕生日があるから、プチパーティーしようとケーキの材料を集めに来た。


 実は俺の誕生日は既に過ぎ去っている。4月の学年が上がって色々忙しかった時期に俺の誕生日があったが、そのときはそれぞれの誕生日を知らなかった。わざわざ誕生日の話題を振るような歳でもないし、聞かれなかったから言わなかっただけだ。

 遥さんの誕生日を知ったのは早乙女さんからの情報リークだ。君たち相手の誕生日知らなかったんだ。と呆れられたのは余談だろう。


 チョコレートケーキにしよう。遥さんチョコ好きだし。


 プレゼントも用意するかな。でもなぁ遥さん自分で欲しいものは買うからなぁ。アクセサリーでも用意するかな。今度は姉さんたちが付けてたような2つが合わさるタイプのものがいいかなぁ。


 ちなみにサプライズでは一切ないから普通に遥さんを呼んでいる。

 あと、早乙女さんも来るって言ってた。夜はちゃんと帰るからとか言ってたけど、俺達はそこまで踏み込んだ関係じゃないし、まだ高校生でそこまでやったらまずいだろう。

 ケーキと適当にお菓子でも買っておこう。



 *



「リンお姉ちゃんな・・・の・・・?嘘だッ!!」


 遥さんが連れてきた梨花ちゃんが俺の姿を見て声を上げた。

 いや、まぁ普段の俺とリンとは相当違うというのは理解してるが、そこまで驚くことはないんじゃないかな。


「現実です・・・!これが現実!!」


 遥さんが梨花ちゃんを揺さぶりながら現実に引き戻そうとしている。

 いや、梨花ちゃん俺の素と会ったこと前に・・・あれ?ない!?


「まぁすずっちって本気で別人だからねー」


 先に来ていた早乙女さんが奥のリビングから出てきて声をかけてきた。


「あのときの!!」


 梨花ちゃんが戻ってきたと思ったら早乙女さんを見て声を上げた。

 確か前に梨花ちゃんが早乙女さんとあったのは、俺が知る限りだとバレンタインのとき以来じゃないだろうか。


「チョコにそのままお湯を入れた人!!」


 梨花ちゃん・・・早乙女さんの覚え方それなんだ・・・


「ちょっ、あれから練習してある程度は出来るようになったからな!!」


 キャンプ行ってキャンプ飯画像を送ってきて飯テロしてくるぐらいには上達したよな。キャンプ飯だけで家庭料理はまだ無理らしいけど。

 多分早乙女さんは練習すれば出来る人だと思う。色々器用だし。遥さん?あれは無理。



 *



「誕生日おめー」

「おめー」


 かるーく遥さんの誕生日を祝ってケーキを切り分ける。買った材料通りチョコレートケーキだ。


「んー、うまー」

「うめぇ!!」


 遥さんと早乙女さんが、うまいうまいと言いながら食べている。梨花ちゃんは静かに頬を緩めながら食べている。姉妹で表情の表し方がぜんぜん違うんだな。と思いながら、俺も一口。

 程よい甘さのチョコレートの味と匂いが口と鼻から攻めてくる。スポンジはしっとりとしたスポンジで口の中で溶けていく。これはうまいな。レシピどおりには作ったけど、折角のホールケーキが崩れるから味見が出来てなかった。成功と言っていいだろう。


「あっそういや、今日パロメロの二人がテレビに出るんだってさ」


 しかも生!!と遥さんが慣れた手つきでリモコンをいじってテレビの電源をつける。


 そういやアカネ君も誘ったけど、仕事といって泣く泣く断ってきていた。柊さんと近藤もなんかそれぞれで用事があるとのことだ。

 柊さんはバイトで、近藤は親戚の法事とのことだ。2つほど県を跨ぐからお土産よろしくーと頼んでおいた。流石に3日前に連絡したら予定はあけれないだろうな。仕方ないんだ。遥さんの誕生日を知ったのが4日前なんだから。

 3日前に遥さんに何かしてほしいことある?と聞いたらプチパーティーとのことだったから声をかけたんだがな。


『それではパロディメロディで歌ってもらいましょう。一瞬のキラメキ。どうぞ』


 生放送の歌番組か。おっ二人共可愛く着飾ってるなぁ。でも俺はあんなスカート短いのは絶対にはかない。頑張っても膝上15センチが限界。


「この二人ってはるさんが推してる二人だよな?」

「可愛いでしょ、携帯の連絡先まで知ってるよー」


 えっ!?と早乙女さんが遥さんの方に振り向く。

 テレビで出ているような人の連絡先を知っていたらそりゃ驚くよな。実際はアカネちゃんがアカネ君でクラスメイトなんだけどな。


「そういうことか。お姉ちゃんが発売前なのにCD持ってたのって」

「そうそう。このアカネちゃんから貰ったの」


 俺も貰ったなぁーって、まだコンポの中にCD入れっぱな気がする。あとで取り出しておこう。


『はい。ありがとうございました。そういえばお二人は、ここに立った時に言いたい事があると言ってた?』

『あっ、はい!!私がお世話になった方でよくライブに来てくれる人にお礼を言っておきたいと思いまして。あと今日誕生日って言ってたので折角なのでいいですか?』


 アカネちゃんが司会の人と会話している。えーと・・・もしかして、もしかするとなのでは?


『お誕生日おめでとうございます!!これからも応援よろしくおねがいしますっ!!』


 これは・・・遥さんに向けた言葉なのでは・・・?



 *


「遥さんにプレゼント」


 気を利かせたのか先に帰っていった早乙女さんと梨花ちゃんを見送ってから、俺は戸棚に隠しておいたプレゼントを取り出して遥さんに渡した。

 二人して「あー用事ワスレテター」と棒読みで言ってもバレバレだからな。示し合わせたように二人で言ってたし。


「ありがとう。開けても良い?」

「どうぞ」


 そういって遥さんはラッピングされた箱を開ける。


「これって・・・」

「ペアネックレス、前のもいいけど今回は合わせて一つになるタイプ」


 リングも考えたけど、まだ早いと思ったからな。せめて結婚できる年齢になってからだな。




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