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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校一年生
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【第25話】春休み1

「よし」


やっとUFOキャッチャーでフィギュアを取れた。

今日は一人ゲーセンに来ている。まぁいつもわたし達は一緒に動いているわけではないし、今日は遥斗は今度のイベントの為に漫画の追い込みとのことだ。


「あっくそっ」


・・・聞き覚えのある声が反対側のUFOキャッキャーから聞こえてきた。これは、アカネさんだ。わたしの教えた声の方だ。


「もうちょっと横つつけば行けそう」


また別の声が聞こえてきた。この声も聞き覚えがある。近藤が女装時に出すようにしている女声だ。

そろーと覗き込むとやはりそこにはアカネさんと女装した近藤が一つのUFOキャッチャーを覗き込みながら商品を取ろうとしている。

え?二人共知り合い?


二人共前見たときよりメイクと動きが変わっていて、女子への溶け込み率が高くなっている。


「この辺?」

「もーちょっと」


なんだか二人共仲良さそう。


合流するにもわたし微妙な立場なんだよねぇ・・・両方共リンとして会ったことはあるけど、二人とも知っていることが違うから、どちらからか漏れて面倒なことになりそう。


「取れたっ!!」

「おめでと~」


アカネさんが取ったぬいぐるみを手に喜び、近藤が拍手している。

少しアカネさんがオーバーアクションに見えるのはアイドルの癖かなんかだろう。


「「あれ?リンさん?」」


あっ、逃げ損なった。


「こ、こんにちは」


さて、どうするかなぁ。



「二人は知り合い?」


とりあえず確認。どういった関係なのかは先に聞いておきたい。


「さっき、ここのゲーセンで知り合って・・・」

「同じモノ狙いだったから一緒に狙ってたんです」

「初対面?」

「「です」」


まじですか。相当親しそうだったんですがね。

二人で狙っていたのは手触りの気持ちいい熊のぬいぐるみだ。確か映画の奴で、UFOキャッチャー限定で出たぬいぐるみだったはず。

相当女子に受けていると噂だ。遥さんの部屋にもいつの間にか増えていた。

それを取りに女装でゲーセンに来たってわけですか。


「あっリンさん。今から時間ありますか?

こんなの貰ったんですけど、一緒にどうですか?」


アカネさんから一枚のチケットを見せられる。

内容はケーキバイキングの割引券だ。割引率が相当高い。


「行く」


最近ケーキバイキングには行ってなかったから行く。


「えーと、「(のぞみ)です」希さんもどうですか?」


1グループまでなのでいけますよ。とアカネさんは近藤・・・女装時は希さんでいいか。希さんを誘う。


「いいんですか?」

「おっけ、リンさんの知り合いみたいだし問題ないです」

「じゃあ、お願いします」

「おっけー、じゃーいこー!!」


行くのは良いけど、二人共そのぬいぐるみ持ったまま行くつもり?

邪魔じゃない?


「駅のロッカーにでも放り込みます」


なるほど・・・はっ!?普通にオーケーしちゃったけど、二人からわたしの話題が出たら色々まずい気がする!!

でも、ケーキ食べたい。





「「「おおぉぉぉぉぉぉ」」」


整然と並べられているケーキの壮観さに3人で声を上げてしまった。

前来たときより種類が増えてる。


「取りすぎないように」

「「はーい」」


いくらわたし達の胃袋が男子のものだといっても限界はあるからほどほどにね。

種類が食べれるようにと小さめになっているケーキを数種類盛り付けて、コーヒーを持って席に行くと、二人は既に食べ始めていた。

えーと、飲み物とかいらない人たちですか?


「うまいっ!!」

「おいしいっ!!」


二人共リアクションが違うけど、おいしいってことは伝わってきた。

それにしても、アカネさんはアイドルしている時とはまた違うメイクで印象が違うし、希さんも昔の厚化粧が嘘みたいなナチュラルメイクになっている。変わったねぇ。


わたしもケーキ食べよう。最初は定番のショートケーキから。

フォークで一口サイズに切って口に運ぶ。


「んー」


甘いだけでなくイチゴの程よい酸味が後味を良くする。いくらでもいけそう。

ほえっ?なんで二人共わたしを見てるんですか?


「いや、可愛いなぁーって」


希さんがわたしを見ながら言う。まぁ希さんはわたしが男だとは知らないはずですからね。

普通に女子に可愛いと言っているものだと思う。


「本当に可愛いです」


アカネさんはわたしの素を知ってますよね?


まぁ可愛く作ってますし?動作は母親監修ですけど。

くっとコーヒーを飲んでから二人にも言っておく。


「二人も可愛い」


多分今の状態で男だと分かる人は殆ど居ないと思う。


「ありがと」


アカネさんはアイドル経験からか普通に返してくれたが、希さんは固まった。言われ慣れてないんだろう。



「あー美味しかった」


満足満足と希さんはお腹辺りをポンポンと叩く。

少し膨れたお腹を見て・・・


「妊婦」

「ぶっ!!」


ぽつりと呟いたら希さんが吹いた。

何か吹きどころでもあっただろうか。


というか、体型隠そうと思ってその服にしてると思うんですけど、


「それマタニティー。可愛いけど」

「えっ・・・」

「マタニティーだから妊娠中かな―とは少し思ったりしてたんですが」


アカネさんは希さんのことは知らないですからね。


「フリマアプリで安かったから・・・」


あぁフリマアプリで買ってるのね。よく合わさずに買える。わたしには無理。


「まぁ良いんじゃないですか?ゆったりで」

「ん」





「あっそうだ。連絡先交換しませんか?」


アカネさんがわたしと希さんに聞いてきた。そういやまだ連絡先交換はしてなかった。

わたしの連絡先は既に近藤の携帯にあるわけだけど、こんなこともあろうかとリン専用のスマホは用意してある。仕事用のスマホだけど。

普段用のスマホと全く同じだけど待ち受けが違うからわたしには分かる。

両方知ってるのは家族と遥さんぐらいだけど。


「おけ」


QR読み込みよろ。

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